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白パンと黒パン

完全に秋の気候に変わり食事も秋の味覚が増えてきた。

こっちでは旬が違ったりなど自分の世界の食の知識はそこまで当てにならない。

その一方で調理法はそのまま使えるのでそこは問題ない。

なお食文化による考え方の違いは何気に大きかったりする。


「パンが焼けるいい匂いがする」


「キッチンを改造しまくっていろいろ増設したからな」


「この匂いは食パンかな」


そんな増設したキッチンでパンを焼いていた様子の理津子。


買った方が手間は少ないが、たまには自分で作りたくなるのである。


「これはなかなかに美味しそうなホットドッグね」


「ソーセージも自作したからね、美味しいと思うよ」


「買えばいろいろ労力はかからないのに、たまに手作りするよな」


「毎日自作してたら体壊しちゃうから、楽が出来るならそっちを選ぶけどね」


「パンもソーセージも自作するのは普通におかしいと思う」


基本的には買ってくるものを使うが、たまに自作したくなるのは料理好きの性である。

楽が出来るなら楽をするのは立派な知恵なのだ。


自作も毎日やっているわけでもないのだ。


「それにしてもりっちんってパン作りっていうと決まって白パンを作るわよね」


「あたしにとってパンっていうと白パンなんだよね、黒パンはあまり食べた事ないし」


「僕は黒パンの方が馴染みがあるんだけどな、当たり前に白パンを作るとか凄いな」


「そこは昔からパンと言えば白パンだった環境で育ってるからね」


「黒パンって保存食の側面が大きいし、白パンはすぐ駄目になるよね」


そもそも理津子の暮らしていた国は湿度が高いのでパン食には向かない国でもある。

特に夏場はパンはあっという間に駄目になるのだ。


白パンが当たり前になった文化は環境がそもそも違うからなのか。


「白パンって普通にお高いものなのに、簡単に作って出してくるの文化の違いを感じるわね」


「黒パンも食べた事はあるけど、カッチカチだった記憶があるしね」


「黒パンは元々保存食としての側面が強いからな、そりゃ違うだろ」


「使う材料も結構違うしね、高温多湿の国でパンはそもそも向いてないと思うし」


「リツコの暮らしてた国の話だよね、湿度が高いからさっさと食べられる白パンなのかな」


理由はともかくとして高温多湿の国でパンは保存が難しい。

実際店で売っているパンの消費期限は一週間すらないものがほとんどだ。


つまりはさっさと食ってくれという事である。


「りっちんが作るパンのイメージはほぼ完全に白パンなんだというのは分かった」


「その辺は国の環境的な事情だから仕方ないとは思うけどね」


「黒パンはそもそも保存が効くように作られてるからな、レシピ的にも」


「まあだからこそ独自のパンの文化が生まれたとも言えなくはないよね」


「リツコがたまに作る惣菜パンっていうやつの事かな」


こっちの世界では惣菜パンというパンの文化はない。

なので理津子が作る惣菜パンは珍しく見えるのだろう。


美味しいのでとりあえずよしという話でもある。


「惣菜パンっていうのは面白い文化よね」


「こっちだとそういうのないもんね」


「パンは美味しいけど、惣菜パンってこっちじゃ聞かないもんな」


「でもパンに何かを挟んだりすれば大体は惣菜パンだけどね」


「ホットドッグなんかも惣菜パンの仲間なのかな」


惣菜パンはパンに何かを挟んだりすれば大体は惣菜パンになる。

とはいえこっちの世界では白パンは高いからこそ惣菜パンも高くなってしまう。


主流はやはり黒パンなのだ。


「りっちんの住んでた国だとパンは保存に向かないって事なんよね?」


「うん、消費期限も大体三日程度のものばかりだったかな」


「それぐらいしか保存が出来ないのか」


「白パンっていうのもあるけど黒パンっていう文化がなかったんだよね」


「だから売ってるパンも基本的に黒パンだったつて事なんだね」


パンの文化も独自に発展したとも言えなくはない。

気候や環境によって食文化も変わるという話である。


高温多湿の国の食文化はそうして出来上がっていったとも。


「ふぅ、んまかったぜぇ」


「ついクセで白パンを作っちゃうから、そこは仕方ないかな」


「高いものを普通に作るのもな」


「食文化ってそういうものなんだね」


白パンを作るのはもはやそういう育ちとしか言えない。

黒パンという文化のなかった国で育ったからでもある。


パンの文化も異世界でもやはり黒パンが主流なのである。


白パンはそれだけお高いものだと理津子以外のみんなが知っている。

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