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松茸は安いもの

残暑は残っているものの秋に突入した気配は感じる時期。

こっちの世界は食べ物の旬が理津子の世界と異なるため面倒も多い。

秋の味覚も当然こっちの世界では珍しいものが並ぶ。

そんな中旬ではないがこっちでは安く買えるものもあったりする。


「りっちん、きのこをたくさん買ってきとったね」


「きのこの旬は冬なのにな」


「リツコの世界では旬も違うって言ってたよね」


そんなきのこ料理だが、たくさん買ってきたのは松茸の様子。


理津子の世界の秋の味覚であり、高級きのこだがこっちではそうでもないようで。


「松茸料理ねぇ、また安いきのこをチョイスしたもんね」


「あたしの住んでた国だと松茸は高級食材だったし、ついね」


「きのこの旬は冬だぞ、ついでに松茸なんて物好きしか食べないぞ」


「世界の違いだよね、まあ美味しくは出来たから」


「なら食べようか」


こっちの世界では松茸は物好きしか食べないという。

理由としては香りが強すぎるせいで味を感じにくいのだとか。


なので松茸は他のきのこよりも安く買えてしまうのである。


「うん、美味いね、松茸ってこんな美味しくなるんか」


「こっちだと松茸って安いんだね、まさかあんなに安いとは」


「松茸なんて物好きしか食べないからな、だからありがたがる奴なんていないぞ」


「世界の違いを感じさせるなぁ、まあ外国でも似たような感じとは聞いてたけど」


「リツコの世界だと松茸って高級食材なの?」


正しくは日本という国でだけ高級食材なのが松茸だ。

他の外国に行くと松茸は大した価値はない。


なので外国人からしたら不思議に映るという。


「でもりっちんの国って変なもんをありがたがるんね」


「松茸って凄く高かったからねぇ、あたしも少ししか食べた事はないし」


「お前が食文化の豊かな国で育ったのは分かるけど、変なものを好むのはよく分からん」


「松茸もそうだけど、外国では安いっていうのはあったしね」


「松茸って香りが強すぎて食べたがる人は物好きって言われるんだよね」


こっちの世界の松茸はそれだけ食べる人は少ないという事なのだろう。

流通こそしているものの、安く叩き売られる不人気なきのこだ。


なので使うとしてもそれを食べるよりは汁物にしたりする程度なのだと。


「松茸が高級食材なのってりっちんの住んでた国の話なんだよね?」


「そうだよ、他の外国に行くと松茸は大した価値もないって聞いたから」


「要するに他の国では価値のないきのこをありがたがる国民って事か」


「元々食にはうるさい国民性だけど、あたしの国は独特なところはあるのかもね」


「でも外国だと松茸は食べる人もいないようなきのこって事なんでしょ?」


松茸に対する考え方は国によるものはある。

とはいえ理津子は美味しい松茸を知っているので、美味しい食べ方も知っている。


食べられるのなら美味しく食べる方法もあるだろうという事だ。


「松茸ってこんな美味しくなるんねぇ、料理の知識が増えた気分だわ」


「松茸ご飯とかお吸い物とか美味しいからね、こっちだと安いから嬉しいし」


「お前の世界だと高級食材だから気軽に食べられるものでもなかったんだろ」


「うん、一本5000円とかするのも普通にあったからね」


「松茸ってそんな高いの?こっちだとパックで300メイルぐらいでしょ」


つまり松茸に対する考え方がそれだけ異なるという事だ。

こっちで買ってきた松茸は傘が開ききったしいたけよりさらに大きいような感じのもの。


松茸は高級きのこなどではなく、物好きしか食べない安物きのこなのだ。


「確かに松茸は美味しいけど、きのこの旬って冬なんだぜ」


「こっちの世界ではそうみたいだね」


「寒さで引き締まってお前が言う旨味ってやつが凝縮されるんだよな」


「冬になったらキノコグラタンでも作ってみようかな」


「寒くなったら期待してるね」


松茸は美味しい、だがこっちの世界では価値もない安いきのこの一つにすぎない。

しかも山に行けば大量に生えているらしく、下手すれば店より安く大量に採れる。


使い方次第では美味しくなるものの、松茸を好きという人は変わり者扱いされるとか。


「んまかったぜぇ、普段あまり食わんもんを美味しくいただけるのもいいね」


「こっちだとあたしの世界の高級食材が安いとか普通だからねぇ」


「異世界とはいえ食材への考え方の違いだな」


「料理次第では美味しいものになるのは分かったけどね」


松茸は山で簡単に採れる安物きのこである。

なのでこっちの世界での松茸は物好きか貧しい人が食べるようなきのこなのだ。


それもあり苦学生などは白米と松茸で食事を済ませるような話もあるという。


松茸が安いというのは異世界だと感じる理津子だった。

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