お芝居を見に行く
夏の暑さは落ち着き残暑の暑さが始まってきた頃合い。
そんな中レミリアから本人が行けなくなったとかでお芝居のチケットをもらう。
会場があるのは港町ではなく交通機関で少し出た先の大きめの都市。
日帰りで行けるとのことらしく、アノットと一緒に早朝から出かけていた。
「旅行の時もそうだけど、首都じゃないそれなりの大きい都市なんだね」
「こういう接続の役割のある都市はいろんな店や施設が揃うからねぇ」
「大きめの劇場が大都市以外にもあるのは意外というか」
もちろん首都に行けばそれより大きい劇場やホールがある。
ただ中継点となる都市には首都より小さいが大きめの劇場やホールもあるのだ。
「中継点の都市に大きめの施設が多い理由ってなんなんだろ」
「人の往来が多いから規模がそんなに大きくない劇団や楽団がよく使うんだと」
「つまり首都にあるような大規模な施設は使う人達の規模も大きいのか」
「だから中規模クラスは首都の施設よりこっちの方が主戦場なんだぜ」
「劇団や楽団も規模が大きいとこは大きい施設を押さえるって事なんだね」
そのまま劇場に向かいチケットを見せて中へと入場する。
開演まで少しあるので物販なども見ておく事に。
パンフレットなどいろいろ売っているようだ。
「物販もいろいろあるんだね」
「そうね、こういうのは物販で稼ぐのが主だし」
「何か買っていこうかな」
「買うにしても終わってからでもええんでない」
「それもそうだね、終わってからでも買えるとは思うし」
買うのは後回しにしてそのまま開演時間になる。
そのままホールに入って指定された席に着く。
そして劇が開演になる。
「へぇ、他種族な劇団なんだね」
「今では珍しくないしね、他種族な劇団っていうのも」
「そうだね、冒険活劇なんだ」
「他種族だからこそ多様な劇が出来るっていうのはあるしね」
「なるほどなぁ、まさにファンタジーだよ」
今回の劇は冒険活劇のようである。
中規模な劇団の演劇とはいえなかなかに面白いようだ。
劇団が他種族になっているのも今では普通だとアノットは言う。
「おー、なかなかに凄いアクション」
「身体能力の高い種族だからこそよね」
「まさにその種族だからこそ出来る事だね、こういうところは面白いかも」
「こういうのは種族の強みよね、まさに強みを活かすってやつ」
「だねぇ、他種族で構成される劇団だからこそ演劇の世界が広がるのか」
そんな演劇もあっという間に時間は過ぎていき閉幕となった。
その演劇の面白さも堪能し、物販でパンフレットを購入する。
帰る前にせっかくなので何か甘いものを食べていく事にした。
「こういうところで食べるのもまたいいかも」
「あまりあの港町から出る事がないから新鮮味はあるわよね」
「でもやっぱり都会はそれなりに高いって感じるけど」
「まあそれはしゃーなし、都会ってのは基本的に輸送費込みで高く付くとこよ」
「港町は魚は安いし、果物の産地なら果物が安いみたいな話か」
都会は基本的に食べ物が高い場所である。
それは様々な地域から美味しいものが集まる代わりに他のコストがかかるからでもある。
産地で食べる魚や果物が安くて美味しい理由でもある。
「演劇なんてあまり見に行かないから、新鮮だったね、レミリアに感謝しなきゃ」
「だね、あの社長割と多忙な人だし」
「でもチケットの譲渡で入れたのは意外かも、そういうチェックはしてないのかな」
「チケットの譲渡は手続きすれば出来るわよ、手続きなしで譲渡したら犯罪だかんね」
「そういうシステムがあるのか、ダフ屋的なものは違法って事ね」
アノットが言うには手続きさえすればチケットの譲渡は出来るらしい。
その一方で手続きなしでチケットを譲渡して入場したら犯罪になるとか。
つまりは正式な手順を踏めば譲渡する事は出来るのだという事だ。
「正式な手続きさえすればチケットの譲渡が出来るのはいいね」
「指定席のチケットは全てこのシステムよ、自由席ならその限りでもないけどね」
「ふーん、まあ確かに指定席は個人情報とか扱うからかな」
「その辺は知らないで譲渡した事でしょっぴかれた事もあったらしいからでないかね」
「そんな事もあったのか」
その辺は過去の事例から整備された法律なのだろう。
それによりきちんとした手続きを踏めば譲渡は合法という事になった。
手続きを踏まずに譲渡されたチケットを使うと犯罪である。
「さて、それじゃ帰ろうか」
「だね、今から帰れば夕方には帰れるわよ」
「なら帰りに何かご飯でも買おうか、今夜は出来合いのものでね」
「それもたまにはいいわよね、んじゃ帰ろうぜぇ」
演劇と美味しいものを満喫し屋敷へと帰っていく。
帰りに出来合いのものをいくつか買って帰り、夕食はそれで済ませた。
チケットに関するシステムも少しは知る事が出来たのも大きい。
正規の手続きを踏めば譲渡は合法なのだと。




