表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
176/344

帝の不思議な冒険

屋敷の方はいつもと変わらない日々を過ごしている様子。

そんな中帝がエミールと喧嘩をしてしまったようだ。

ついカッとなり飛び出してしまったが、それから少し後悔し始める。

とはいえどうにも素直になりにくく公園で少し考えていた。


「はぁ、つい飛び出してしまいましたけど」


「財布も携帯電話も置いてきてしまってどうするか」


「やっぱり素直に謝るべきですよね…」


帰ろうにも帰りにくい感じの帝。


そんな中声をかけてくる人がいた。


「どうしましょうか…」


「お主、何をそんなに悩んでおるのじゃ」


「それは…ってあなた誰ですか」


「我か?それは秘密じゃ」


「はぁ、それで私に何か用ですか」


帝に話しかけてきたのは和装の女の子。

とはいえその雰囲気は見た目よりも大人に見える。


なぜ話しかけてきたのかは分からないが。


「あなた何者なんですか」


「お主の事が気になっての、喧嘩でもしたか」


「まあそんなところです」


「そうか、ならば我に少し付き合え、そのぐらいの時間はあろう」


「つきあうって、まあいいですけど」


そんな幼い見た目の女の子に袖を引っ張られる帝。

連れていかれたのは異界の食べ物などを扱うアンテナショップだった。


意外と行動力はあるようだ。


「ここはアンテナショップ?」


「うむ、金は全部我が払ってやる、奢りというやつじゃ」


「いいんですか?」


「構わんよ、好きなものを言うがよい」


「ならお言葉に甘えて…」


とりあえずお菓子と飲み物を買って外のベンチでそれをいただく。

帝も少しは悩んでいるようで。


その女の子はそれを聞いてくれるというが。


「美味しい…」


「それで何があったのじゃ」


「かくかくしかじかなんですが」


「ほう?友人と喧嘩をしたというのか」


「それで謝ろうと思ってもどうにも帰りにくくて」


その女の子はそれに対して変なプライドは持つものではないという。

ありがとうとごめんなさいが言えるだけで人生は変わるのだと。


だから意固地にならずに素直になればいいとも。


「とりあえず謝ります、私にも責任はありますから」


「それでよいのじゃ、謝るというのは簡単なようで出来ない奴が多いからの」


「なんか不思議な人ですね、あなた」


「さて、食べ終わったのじゃ、もう少し付き合ってもらうぞ」


「まだあるんですか」


そのままその女の子に振り回されるようにいろんな場所を連れ回される帝。

それは今まで経験した事もないような冒険でもあった。


普段は基本的に引きこもり生活なので、こんな駆け回った事はないのだ。


「はぁ、はぁ…流石に疲れますよ」


「お主、体力がないのぉ」


「普段は外に出る事が少ないですから」


「そうかそうか、ならば最後は我のとっておきに行くとするぞ」


「とっておき?」


いろんな店でいろいろ食べて回ったあとの最後に連れて行くのはとっておきという。

そのとっておきのお店というのは人があまり来ない裏路地にあるとか。


そのまま引っ張られてその店に入っていく。


「ここはなんなんですか?」


「ここは我のとっておきなんじゃ、他の者には内緒じゃぞ」


「えっと、お菓子ですよね?」


「うむ、金を払えば金額内で好きなだけ詰められるのじゃ」


「へぇ、面白いですね」


お菓子の詰め放題のお店だと女の子は言う。

二人分の金額を払い、帝と少女は好きなお菓子を袋に詰めていく。


好きなものを金額内で好きなだけ、仲直りにでも使えという事なのか。


「とりあえずこれぐらいでしょうか」


「ほう?結構な量を詰めるのじゃな」


「でもこんなお店があったんですね、知りませんでした」


「こういう店も悪くはないじゃろ」


「はい、えっと、ありがとうございます」


謎の女の子に散々連れ回された帝。

とはいえそれも悪くはなかったようで、どこか楽しそうでもあった。


帰ったらきちんと謝ろうと決めたようだった。


「それじゃそろそろ帰ろうと思います」


「うむ、きちんと謝るのじゃぞ」


「はい、ありがとうございます」


「構わん、では行くのじゃ」


「はい、それでは」


そうして帝は神社に帰っていった。

この女の子は何者なのかは結局は分からなかったが。


だがどこか不思議な感じがしたのは確かである。


「あやつ、恐らくは」


「まあその辺は我が首を突っ込む事でもなかろう」


「さて、帰って菓子を食べるのじゃ」


神社に戻った帝はきちんと謝った様子。

それにより仲直りもきちんと出来たようだ。


ありがとうとごめんなさいが言えるという事の大切さを感じた。


なんだかんだで帝とエミールは仲がいいのだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ