表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
174/336

異世界の創作文化

夏の暑さも落ち着いてきた様子で多少は涼しくなった。

そんな中屋敷の書斎には多くの小説などがある。

本屋でも漫画を見る事も多く、そうした文化がある事は分かる。

その一方で夏といえば自分の世界ではあの大きなイベントがある季節だ。


「ねえ、この世界って同人誌的なものってないの?」


「同人誌?なんかの本の事かね」


「本屋で漫画とか小説が普通に売ってるから、創作文化はあるんだよね?」


こっちの世界でも漫画や小説があるという事は漫画家も小説家もいるという事だ。


買い物帰りに買い食いをしながらアノットにそれを聞いてみる。


「漫画家とか小説家は職業としてあるんでしょ」


「あるね、人気の作家とかも当然おるぜよ」


「なら自費出版みたいな事をする文化ってないの?」


「そうねぇ、素人には本を作るのは難しいと思うぜ、まずお金がかかるし」


「だとしたら同人誌、自作本の即売会とかもないのかな」


こっちの世界では出版には相応のお金がかかる。

なので出版社の後ろ盾を得てはじめて本を出せるという。


その一方でネット小説的な文化はあるが、素人に紙の本は簡単には作れないという。


「同人誌を作るにはあたしの世界に比べてそれよりお金がかかるって事なのか」


「りっちんの世界って自分で本を作るって珍しくないん?」


「うん、夏と冬に大きな即売会があるし、他にも即売会は何かと開かれてるよ」


「へぇ、誰でも本を作れて売るイベントやってるとか凄いねぇ」


「あたしの世界だとニッチな性癖はないなら自分で作るっていうのが当然にあるからね」


ないなら自分で作るというのはオタクなら通る道ではあるのだろう。

特にニッチな性癖ならなおさらだ。


同人即売会はそうした人達にはありがたくもある。


「でも同人文化みたいなものはこっちの世界にはないんだね」


「まあ金持ちならそういう事してる人もいるんでないかね」


「お金があるからだね」


「でもそういう自作した本の即売会とか面白いね、それってなんでもいいの?」


「なんでもいいよ、アダルトもあるし完全な趣味の本もあるし二次創作もあるし」


即売会は基本的になんでもあり。

それに加えて完全な趣味の本を出している人もいる。


他にも特定のジャンルの本だけを出すオンリーな即売会もある。


「こっちの世界でも創作文化自体はあるっぽいんだけど、同人文化はないんだね」


「紙の本を作るって結構お金取られるからね」


「でもあたしの世界だと即売会の季節は印刷屋が儲かる季節なんだよね」


「誰でも印刷屋に頼んで本を作れるって大したもんねぇ」


「実際そのイベントがなくなると印刷屋の稼ぎが凄く減るって言われるしね」


即売会は印刷屋にとっても稼ぎの季節。

同人文化は作家だけでなく様々な業種にとっても大きいのだ。


紙の本を個人で作れるというのは様々な人達の力で回っているのだから。


「でも創作文化はあるのに同人文化がないっていうのは意外な感じかも」


「別に創作は紙の本だけでもないしね、ネット小説から書籍化とかはあるし」


「そこはあるんだ、でも同人は完全な趣味の世界だから、その辺なのかな」


「その即売会ってのは要するに自作した本を売るイベントなんっしょ」


「そうだよ、好きな本を作って売るイベントだね」


創作文化はあるが同人文化はない。

そこは創作というものへの考え方なのかもしれない。


あと印刷屋に結構なお金を取られるとアノットは言う。


「創作文化も世界が変われば変わるものだねぇ」


「でも完全な趣味でそういう本を作れるっていうのは立派な事だと思うよ」


「そうだね、そういう好きに作れる文化っていうのは意外となかったりするし」


「国によっては王様を暗殺するような本とか出版禁止とかあるしね」


「こっちにもそういうのはあるのか」


自由な創作文化というのは結構凄いものだとアノットは言う。

国によっては国のトップに反逆するような作品は出版禁止などは当然ある。


また国の軍隊を悪者として描く事を禁止している国もあるとか。


「そう考えると自由な創作が出来るって凄い事なんだなぁ」


「まあ国としても国民がそういう事をするのを恐れてるから出版禁止とかなんだろうね」


「あたしの国の出版の自由を感じるね、完全自殺マニュアルとかあるぐらいだし」


「りっちんの住んでた国ってマジで自由すぎない」


「それがありがたいって事でもあるんだよね」


そうした好きな本を作れるというのは実は凄い事なのだろう。

インチキな本なんかが普通に平積みされているようなところに自由を感じる。


やはりそうした本の出版禁止は国の偉い人がその行為を恐れているからなのか。


「さて、帰ろうか」


「帰ったら美味い飯よろー」


「はいはい、任せておいて」


「美味い飯が食える幸せよね」


そんなこっちの世界の創作文化。

本を作る人は多いが、同人文化のようなものはない。


個人で本を作るとなれば相応のお金がかかる。


印刷屋への依頼は結構高いのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ