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広いお屋敷

ワインで落ち着いた後仕事を終わらせた理津子とアノット。

屋敷の中は大体は把握しているとはいえ、よく分からない部屋もある。

アノットはそういう部屋も気になるようで、いろいろ見ている。

理津子も少しは気になるようで、許可を取って見て回る事に。


「この部屋は書斎だよね」


「だねぇ、古い本がたくさんあるよ」


「大体は読めるようにはなったけど、難しいのはまだね」


書斎にはロザリオの父親が使っていたと思われる本がたくさんある。


価値などはよく分からないが、資産は足りているので売却する予定はないらしい。


「はぁ~、こいつは絶版になってる小説の初版本じゃんか」


「有名な作家さんなの?」


「うん、この作家さんは一本だけヒットしてあとは鳴かず飛ばずだったの」


「それでそのヒット作なの?」


「んにゃ、ヒット作の次に出した凡作」


小説家というのもやはりそれで食っていくのは大変という話なのか。

アノットが言うには小説家に限らずヒット作を二作出せれば天才という。


どんなに天才と言われる作家でも凡作も作れば駄作も作る。


名作しか生み出せない作家がいたらそれはただの超人だそうな。


「やっぱり作家っていうのは大変なんだね」


「そりゃねぇ、ヒット作だってヒットしたのは偶然、そんなもんよ」


「流行は作られるものっていうのを思い出した」


「寧ろベストセラーってのはにわかが作るんよ、そんなもんさね」


「売れると思ったものが売れずに売れないと思ったものが大作になるとかね」


理津子もそういうものを知っている様子。

やはりヒット作やベストセラーというのは狙って出せるものではないのだろう。


作者がその作品を名作だと思っても、世の中の評価は違うもの。


世の中何が売れて何が売れないかは意外と分からないものである。


書斎はそんな感じなので、別の部屋に移動する。


「ここはクローゼットルームみたいだね」


「でもあるのはそんな豪華って感じでもないね、割りかしっていうかさ」


「ロザリオのお母さんのものだろうけど、贅沢はしてなかったんだね」


「でもこいつはオーダーメイドだね、世界に一つだけってやつ」


「そうなの?だとしたら愛を感じるなぁ」


クローゼットルームにあったのはロザリオの母親が着ていたと思われる服。

それは大切に保管されていて、アノットが言うにはオーダーメイド品らしい。


もちろん普段着ていた服は市販品だろうが、これは贈り物なのだろうか。


「でも愛って難しいよね、なんていうか哲学だと思うんだよね」


「ほー、理津子は愛を哲学と申すか」


「だって愛って一言で言っても形は様々でしょ?姉妹愛とか家族愛とかそういうさ」


「そりゃねぇ、ついでに愛ってのは自分よりも大切なもの、そうじゃね?」


「自分より大切なもの、か」


アノットも普段はやる気がないくせにどこか哲学的な事も言う。

ただ理津子も愛というのは一つではないと考えている様子。


「ま、これを見る限りロザリオのママさんは愛されてたんだなって分かるよね」


「そうだね、オーダーメイドの服なんてどこか素敵だよ」


「うっし、次に行くぜぇ」


次の部屋はどうやら夫婦の寝室の様子。

掃除こそしているが、あまり手はつけられていないようだ。


「夫婦の寝室だよね、ここ」


「みたいだね、ダブルベッドとかどんだけラブラブやねん」


「鏡台とかもあるし、愛の巣だったのかな」


「理津子ってそういう話に抵抗ない系?」


「うーん、特に意識した事はないかも」


確かに眠る時はロザリオがいるにも関わらず就寝用の下着だったりする理津子。

スキンシップにも積極的だったするので、特に抵抗や意識はしていない様子。


「そういうアノットもそういうのはあまり意識してないよね」


「まーねー、愛の営みとかあたしは全然平気だぜ」


「でもこの部屋を見ると仲の良さは伝わるよね」


「オシドリ夫婦ってやつかね」


「でも鴛鴦って確か…」


「それな、なんでオシドリ夫婦なんて言うのやら、鴛鴦を知らんのか」


「とりあえずロザリオのところに戻ろうか」


屋敷の中はまだまだわからない部屋もある。

それはそのうちまた見るとして、夕食の献立を考える事に。


アノットも報酬さえ出せば、働くのできちんと働かせる事にした。


屋敷は広いからこそ冒険が出来るのである。

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