表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
167/336

夏の衣替え

こっちの世界もすっかり暑くなり夏も始まった感じがする。

それにより夏服に衣替えしたのである。

夏は流石に暑いので薄着にならないと暑いのは言うまでもない。

とはいえ自分の世界に比べたら全然涼しいという。


「りっちんも夏モード突入かねぇ」


「食事も冷たいものが多くなったしな」


「それだけ夏は暑いって事でしょ」


そんな今日の食事も冷たいひやむぎである。


理津子はそうめんではなくひやむぎ派なのだ。


「また冷たそうなやつが出てきたね」


「うん、かけひやむぎだよ」


「お前はめんつゆを皿のひやむぎにぶっかけて食べるのか」


「こっちのほうが手間が省けるでしょ」


「それは確かにそうなんだけどね」


理津子は冷やしかけうどんの要領で平たい皿に麺を乗せてつゆをかけて食べる。

そこに天かすやカニカマなどを乗せるのがお手軽でいい。


特にカニカマがこっちで手に入る事は驚きだが。


「こういう食い方もいいもんね」


「でしょ、洗い物も減るし、美味しいし一石二鳥だよ」


「そういえばお前、衣替えしたのか」


「うん、流石に暑くて限界だったしね」


「でもリツコの世界と比べたら全然涼しいんでしょ」


こっちの夏も暑いには暑いが理津子の世界に比べたら全然涼しい。

最高気温でも4度ぐらいの差がある程度の暑さだ。


それでも全然涼しく感じるものではある。


「りっちん、夏になると言ってるけど、そんなに暑いとこに住んでたんか」


「あたしの住んでた国は湿度が凄く高いから暑いんだよ」


「要するに蒸し暑いって事だろ」


「そう、特に夜になっても全然涼しくならないからね」


「それは暑いよね、湿度のせいで夜になっても暑いままとか」


こっちの世界も暑いが、自分の住んでた国に比べれば涼しい。

とはいえ港町という土地柄多少の湿度はある。


それでも全然涼しく感じるのは気温と湿度が大きいのか。


「こうして冷たい麺をすすってるけど、ぬるくなるのも早いよねぇ」


「流石にエアコン入れないと夏は生きていけないよ」


「こっちの世界は涼しいって言ってもそれでも暑いんだろ」


「こういう時は乾いた土地に暮らしたいって思うばかりだよ」


「夜になっても暑いっていうのは湿度のせいっていうのが大きかったんでしょ」


理津子の住んでいた国ではそれだけ湿度が高いという事でもある。

暑さの理由の半分以上はその湿度のせいなのだ。


そんな環境で過ごしてきたからこそ暑さには結構敏感になったのかもしれない。


「りっちんの思う暑さってそれこそべったりする漢字の暑さなんかね」


「そうそう、だから服が張り付くみたいな暑さなんだよね」


「湿度ってそんなに不快感を感じさせるんだな」


「砂漠の国とかに行くと夜は涼しいって聞いて、羨ましくも思ったけどね」


「確かに砂漠の国とかは夜は凄く涼しいよね」


砂漠の暑さは夜になると涼しくなる。

それは熱が逃げていくという事でもある。


湿度による蒸し暑さがとにかくしんどかっただけに、こっちは楽園である。


「蒸し蒸しする環境で生きてきた人にとってこっちは涼しいんだろうね」


「それはもうね、湿度が低くなるだけでこんなに違うとか」


「肌で感じてるんだろうな、その辺は」


「衣替えして凄く涼しく感じるようになったしね」


「どれだけ暑い環境で暮らしてたんだろう」


理津子が暑さに対して思うのは、そんな蒸し暑さの違い。

湿度の違いがそのまま暑さに直結している。


衣替えした事もあり、かなり涼しくなったようだ。


「冷たい料理を食っても暑さが和らぐ程度だから、夏は困る」


「冬は着込めば暖かくなるけど夏は全裸になっても暑いんだもん」


「そういうところだぞ、お前」


「だからあたしは夏は本当にきついと思うよ、涼しくなるのが大変なんだもん」


「まあ私も夏は放熱とかが大変だから、分からなくはないけど」


夏は脱いでも暑いのだという理津子。

その一方で冬はたくさん着込めば暖かくなる。


なので夏の方がしんどいという事らしい。


「まありっちんの言い分は分かる、夏は脱いでも涼しくはならんよね」


「だから夏なんて嫌いだよ、食べ物はすぐに腐るし」


「どこまでも暑いからな、涼しくなるには部屋の中にこもるしかないし」


「外で冷たい飲み物とかアイスとか食べようとするとあっという間に駄目になるし」


「リツコが夏を苦手にしてるのはよく分かったよ」


そんな愚痴をこぼしながらひやむぎはしっかり完食する。

暑いからこそ食べないといけないのだ。


やはり暑いというのはそれだけしんどいという事か。


「満足したねぇ」


「冷たいデザートも用意してあるからね」


「この季節は外に出たくないものだよ、本当に」


「夏はしんどいって本当だよね」


夏は誰しもがしんどい季節。

それでもこっちの世界は全然涼しいという理津子。


灼熱の蒸し風呂のような暑さの中で生きてきただけはある。


夏なんて嫌いだというのは理津子は心の底から思う。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ