雨が降る日
夏もすぐそこになり暑さも少しずつ増してきている季節。
そんな中今日は雨降りのようだ。
なので今日は外に出る事もなく家に引きこもって過ごしている。
洗濯物なども今日は部屋干しだ。
「雨の日って憂鬱よねぇ」
「こんな日は本でも読んでるに限るな、とりあえず甘いものが欲しくなる」
「ロザリオって典型的なインドア人間だよね」
そんな雨の日に理津子がデザートを作ってくる。
とはいえ簡単なフルーツヨーグルトではあるが。
「フルーツヨーグルトかい、小腹も空いてたし助かるねぇ」
「雨の日は何かと憂鬱だからねぇ、だからこそ洗濯物とかまとめてやっちゃうよ」
「外に出る事もないと時間は余るしな」
「とりあえず夜までには一通り終わらせないとね」
「でも今は休憩なんだよね」
そんな風に休憩を取るのも大切な事。
午前のうちに半分以上は片付いているので、残りをやるだけだ。
そんな雨の日の話だと雨男雨女というものがよく言われる話でもある。
「にしても雨の日は憂鬱よね、眠くなるし」
「我が家だとお母さんが雨女だったな、だからお母さんが出かける日は雨が多かったよ」
「雨女とか雨男とかなんなんだ」
「分かりやすく言うと外に出る予定がある日に高確率で雨になる人の事かな」
「なんでそういう人がいるの?雨を呼ぶ魔法でもかかってるの?」
雨男雨女に関しては詳しい理由は意外と分かっていない。
その一方で晴れ男晴れ女もいるので体質的なものなのかもしれない。
スピリチュアル的に前世で罪人だった人がそうなるとも言われていたりする。
「そもそも雨男雨女ってなんなんよ、なんでそういう事になりやすいの?」
「詳しくはあたしも知らないけど、前世で罪を犯した人がそうなりやすいとか聞いたね」
「またそういう話なのか」
「晴れ男晴れ女もいるし、輪廻転生的な話なのかなと思うけど、なんとも言えないよね」
「前世の話になってくると壮大すぎる気もするけど」
なんにせよ雨男雨女についてはよく分かっていないのも確かだ。
だからこそスピリチュアル的な理由が一説として言われるのだろう。
分からないとはそういう事だ。
「謎は深まるねぇ、雨男雨女の話って」
「でもお母さんは確かに雨女だったと思うんだよね、それは覚えてる」
「前世の話まで出てくるとなるとそれは呪いとかそういう類になるのか?」
「かもしれないね、あたしも詳しくは知らないからなんとも言えないけど」
「でも雨は必要なものだし、晴れも必要だからなんともだよね」
雨が降らないというのもそれはそれで困りもの。
晴れが続くのもそれはそれで問題が起こる。
とはいえ雨男雨女というのは外出する日にピンポイントで雨を呼ぶ事にある。
「でもさ、雨男雨女ってただ雨を呼ぶだけなら別によくない?」
「それの厄介なところは外出する予定がある日にピンポイントで雨が降る事だから」
「そんな事が起こり得るものなのか?」
「凄い人だと外出する予定の日に台風直撃とか当然のようにやってのけるからね」
「それもはや雨どころじゃないような気がするけど」
理津子の母親に限らず雨男雨女に遭遇した経験はある理津子。
そのためやはりそうしたものは存在すると内心では思っている。
凄い雨男雨女は外出、それも遠出する日に台風直撃すらもやってしまうのだ。
「しっかし遠出する日に限って雨が降るとか一種の厄病神なんでないの」
「雨男雨女ってそういうものなんだよ、台風直撃した時は流石に驚いたしね」
「台風ってハリケーンの事だよな?出かける日にそれが直撃は流石に嘘だと思いたいぞ」
「でも本当の話なんだよねぇ、病院に通院する日に台風直撃みたいな話は」
「なんていうか、雨男雨女って凄い存在なんだね」
それぐらいの事が起こるのが雨男雨女だと理津子は言う。
だからこそ雨男雨女などと言われるのかもしれない。
凄い時には出かける日だけ雨でその前後の日は晴れるなどという事すら起こるのだ。
「人間災害みたいな人ってマジでいるんね」
「天気予報で出かける当日は雨なのにその前後の日は晴れるとか普通だから」
「本当に呪いか何かがかかってるんじゃないのか」
「お母さんも結構強力な雨女だったしねぇ」
「理由は分からないけど凄いね」
雨男雨女の恐ろしさを垣間見る話である。
当日は雨だが前後の日は晴れになる。
台風が直撃する事など何も珍しい話ではないのだ。
「フルーツヨーグルトんまかったぜぇ」
「うん、それじゃ洗濯物の残り片付けないとね」
「雨の日だからこそまとめてって事だしな」
「雨の日は引きこもるに限るよね」
そんな雨の日は引きこもってやる事をやる。
雨男雨女とはそれだけの事をやってのける。
台風直撃や当日だけ雨の予報になる。
雨男雨女の力を侮ってはいけない。