今年の冷やし中華
夏が近づきつつあるためか気温も上がってきた最近。
とはいえ湿度は日本に比べれば幾分かはマシなようでもある。
そんな中今年も夏の風物詩であるあれを作る事に。
冷たい麺料理は夏の風物詩的なところがある。
「もう冷たい料理作り始めてるんね」
「あいつが製麺機を買ってきた理由は分からなくはないけどな」
「便利な道具はなんでも使うよね」
今年も始まった冷やし中華。
なお理津子は冷やし中華というよりは冷やし麺という認識ではある。
「今年も始まったねぇ」
「うん、今年も冷やし中華始めたよ」
「まだ夏には早いだろ、それなのにもう始めたのか」
「あたしの世界だとファミレスとかはこの時期にはもう始めてるからね」
「結構早くに始めちゃうんだね」
冷やし中華の好みもあるので、タレは好みのものをそれぞれ使っている。
理津子はゴマダレ派だし、セルベーラは醤油ダレ派だったりする。
どっちでもいいという人は食べたい方を用意する。
「にしても冷やし中華って中華料理じゃないんっしょ」
「あたしは冷やし中華って言ってるけど、本心では冷やし麺でいいじゃんって思うよ」
「でも中華麺を使ってるなら中華でいいんじゃないのか」
「その辺はお店とかの感覚だよね」
「リツコは冷やし中華だけど冷やし麺なんだよね」
冷やし中華と呼んでいるが本心では冷やし麺と呼んでいる理津子。
まあそこは美味しければ名前などどうでもいいのだというのがある。
中華麺を使っているので冷やし中華、それでいい。
「でもりっちんの住んでた国の人って魔改造が得意なんっしょ」
「うん、技術者とか料理人とかもだけど0を1にするより1を2にするのが得意かな」
「そういうのは国の国民性とかなのか?」
「元々戦争で焼け野原にされた国だしね、外国の文化を取り入れて発展した国だし」
「焼け野原にされたのにそこまで復活したの?凄いね」
日本という国自体が取り入れられるものは取り入れて発展してきた国だ。
だからこそ1を生み出すよりも1を2、凄い時には10にしたりするのが得意。
それでも生み出したものがまったくないという事でもない。
「冷やし中華もそんな既存のものから生み出された発想なんかね」
「土台はあったと思うしね、だから冷やし中華もそんな1が2になった料理でしょ」
「お前が多様な料理を作れる理由もそんな国で育ったからなのか」
「少なくとも外食でも和洋中にイタリアンからフレンチまでなんでもあるしねぇ」
「そんななんでも食べられる国で育てば料理もいろいろ作れるよね」
理津子の料理好きは父親の影響が強いのは確かだ。
とはいえそんな国で育ったというのも確実に大きい。
冷やし中華もそれを考えた人は素晴らしいと思っている。
「ただ今あるものをさらに凄いものにするのが得意な国民性なのは話から分かるよね」
「ネット文化で有名なコピペでも生まれたものを小型化するのが日本だしねぇ」
「小型化まで出来るのか」
「実際指に乗るサイズのメモリーカードとか作る国だし」
「それって小型化とかそんなレベルじゃないような」
ただこっちの世界では機界人は基本的に電脳の容量無限は標準だったりする。
それは機界の技術が圧倒的に進んでいるからではある。
とはいえそのサイズが作れる事自体がアノットやロザリオからしても凄いのだが。
「でも技術でも料理でも完成されたものをさらに上のステージに出来るのは凄いわな」
「冷やし中華って本場の国にはない料理だしね」
「そういうのって外国の料理人がアレンジしたとかもあるんだろ」
「あるね、回鍋肉なんかは本場のやつはキャベツは使わないとか言われてるし」
「食文化が豊かな国なんだね」
世界三大料理はトルコ料理、中華料理、フランス料理である。
食文化が理由でそう言われるが、現代ではそれが当てはまるかは微妙なところだ。
それはかつての豊かな食文化がそれに由来するという事でもある。
「りっちんの国は外国の文化を取り入れて魔改造したから多様なものがあるんよね」
「うん、だから本場のものと比べると味が少し違うとかもあるしね」
「そこはアレンジされてるし、魔改造とも言うんだな」
「そういうところが1を2にするのが得意な国民性って言われる理由なのかもね」
「取り入れられるものはなんでも取り入れるからこその国っていうのは分かったよ」
冷やし中華も割と好評ではあり、夏の訪れを感じさせる。
夏はもう目の前であり、これから少しずつ暑くなっていく。
とはいえ暑くなったときにこそきちんと食べねばならない。
「ふぅ、ごっそさん」
「うん、また暑くなったら涼しいメニューとか考えてみようかな」
「栄養はきちんと摂れるものを頼むぞ」
「冷やし中華も美味しいしね」
そんな夏のメニューも考える。
冷たいものが多くなるが、それだけだとお腹が冷えてしまう。
暑いからこそしっかり食べる。
スタミナ系の料理が増えそうだ。




