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果物がたくさん

こっちの世界もすっかり秋模様になってきた。

食べ物の旬が自分の世界とは違うのが少々厄介なところはある。

そんな中美味しい旬の果物がたくさん手に入ったとのこと。

果物で何か作ろうかと考えて。


「りっちん、今度は果物をたくさん買ってきたね」


「あいつなんでもやりたがるからな」


「旬の果物で何か作るのかな」


そんな理津子が作ってきたものはフルーツタルトとケーキとジュースだった。


洋菓子を作るのは苦手と言っていたのは今では過去の話である。


「また美味そうな、上達するの早すぎない?」


「分量とかきっちり守るだけでいいなら、意外と簡単って気づいたしね」


「お菓子作りはレシピを守らないと美味しくならないしな」


「タルト生地とか小麦粉から作ったんだけど、上手くいったと思うよ」


「生地まで一から作ったんだ、本当に徹底的にやるね」


とりあえず作ったフルーツタルトとケーキをいただく事に。

フルーツジュースは父親直伝のミックスジュースなのだとか。


こっちの世界は果物が安くて嬉しいとは理津子の談。


「んま、りっちんさ、上達するの早すぎて先生完全に面目丸潰れよ」


「タルトに使うシロップとかも一から作ったからね」


「お前は本格的に作らないと駄目な病気か何かなのか」


「うーん、元々コース料理みたいなのは作るのが苦手っていうのもあったからかな」


「リツコの作るご飯って大衆食堂の大衆飯みたいなのが多いもんね」


果物が安いというのは理津子からしたら嬉しい限りのようだ。

なので果物を使った料理なども気軽に作れる。


それは果物を取り巻く事情などもあるのだろうが。


「そういやりっちん、自分の世界だと果物が高いって言ってなかった?」


「自分の世界っていうか、あたしの国だと高かったよ、島国だからなのかもだけど」


「島国だと食べ物の輸入とか何かと大変そうだもんな」


「一応自分の国でも作ってたけど、外国から輸入してる果物は多かったな」


「ふーん、果物が高いのにもきちんとした理由があるんだね」


理津子の住んでいた国では果物は高いものである。

その理由としては輸入品が多かったというのがある。


実際高級な果物は普通に四桁の値段がするとかは珍しくなかった。


「輸入品の果物が高いってのもなかなか難儀な国よね」


「特に外国人の人なんかは自分の国と比べると高いって驚くらしいね」


「自分の国では安く買える果物がその何倍もの値段で売ってるわけだろ?」


「そんな感じみたいだね、あたしはそれに慣れたからなんともだけど」


「果物が高い理由は輸入品だから、国産はどんなものだったの?」


理津子の住んでいた国だと国産の果物でも普通にいい値段がする。

高級なマンゴーやメロンは普通に桐の箱に入る値段である。


ただ輸入品でも安いものは普通にあったので、産地の問題になってきそうな話はではある。


「でも輸入品が高くても値段なんてピンからキリまであるっしょ」


「うん、安いものも当然あるんだけど、安かろう悪かろうだからねぇ」


「高いものがいいものであるとは限らないが、いいものは相応に高いものだぞ」


「言ってくれるねぇ、少年」


「でも高いものはきちんとした管理で作られてるとかじゃないかな」


そもそも作物を作る上において気候が重要になってくるという事がある。

外国の基準で作ろうとすると確実に失敗するのだ。


値段にはそういったところも少なからず影響しているのだろう。


「りっちんの国で果物が高い理由って要因はいろいろありそうよね」


「輸入品が多かったり国産も作るのが大変だったりとかあるしね」


「ただ果物の値段って野菜と果肉なんかと比べるとどうなんだ」


「うーん、割引してないとしても果物の値段は頭一つ抜けてる気がするかな」


「リツコが住んでた国だと果物は外国人が驚く程度には高いって事なんだね」


そうした事情もあるからなのか、果物を気軽に使えるのは大きい。

今回のフルーツタルトやケーキも果物を気軽に使えるからこそ作ったものだ。


ジュースも果物をたっぷり使って作ったのだから。


「このフルーツジュース美味しいねぇ、タルトとケーキだけじゃないんか」


「このジュースはお父さんから教わった秘伝のレシピだからね」


「お前の父親はなんでも作れるんだな」


「自称元ホテルのシェフだしね」


「でもリツコの作る料理とか見てるとそれもまんざらでもないんじゃない」


本人が言うからにはたぶん本当なのだと理津子も思っている。

実際大衆食堂とはいえ客入りは多かったのもある。


それは料理がきちんと評価されていたという事なのだろうから。


「満足したねぇ、先生より上手くなったんじゃない」


「お菓子作りの基本をとにかく守ってるだけだよ」


「もしかしてだけど、調味料とかを目分量で入れる癖が出てただけだろ」


「それなら納得かも」


理由はともかくその可能性はある。

料理の本に書いてある適量やひとつまみといったもののせいだ。


お菓子作りは分量を守らないと駄目なもの。


シンプルに理由はそれのようだ。

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