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野良メイド

昨日の魚料理もなんだかんだで食べてくれたロザリオ。

理津子が念のため好き嫌いなども聞いてみたが、どうやら果物が苦手との事。

ロザリオは野菜は食べられるが加工されていない果物が苦手らしい。

要するにドライフルーツなどは食べられるとの事だが。


「さてっと、始めますか」


「何をするんだよ」


「お菓子作り、こっちの材料でも出来ると思うからね」


理津子は料理も得意だが本当に得意なのはお菓子作りだ。


こっちの世界の材料でも作れると思い朝食後に材料を買ってきたようで。


「お菓子作りか、何を作るつもりなんだ」


「手に入った材料からココアクッキーかな」


「ふーん、味見ぐらいはしてあげてもいいけど」


「素直じゃないね、反抗期かな」


そんな話をしつつも調理を開始する。

理津子はかなりの甘党なので、デザート系には目がない。


特にパフェが好きらしく、ジャンボパフェなんかもペロリだとか。


「そういえばロザリオは魔法の研究してたよね」


「そうだよ、それが何か?」


「いやね、お菓子作りって計量の世界だからクラフト系の趣味と相性がいいんだよね」


「そうなのか?」


理津子が言うには、お菓子作りとは材料をきちっと計量して作るものだという。

なのでそういう細かさなどがクラフト系の趣味と相性がいいのだという。


細かい計量、分量を守る、そういった事がクラフト系の趣味と重なるのだとか。


実際大学でやたらお菓子作りの上手いオタク男子がいたらしい。

その彼ともお菓子の事で話が盛り上がった事もあるらしく、そこからの繋がりなのだとか。


そのオタク男子曰く、趣味はフィギュアやプラモなどのクラフト系の趣味らしい。


理津子はそれを聞いて意外な発見だったと感心したとか。


「生地は出来たから、あとは焼くだけかな、オーブンにセットして…」


「理津子って何気に器が大きいのか?他人の趣味とか笑わなさそうだし」


「好きなものを否定する理由もないでしょ、好きなんだからそれでいいのに」


「僕も引きこもりだったし、それは言えるかも」


そうしてオーブンからクッキーの焼ける匂いが漂い始める。

すると何やら音が鳴り始めた。


「この音何?」


「ああ、防犯システムだよ、流石に引きこもりでもそれぐらい設置するし」


「焼けるまでまだあるかな、とりあえず見てきてくれる」


「流石に放置も出来ないしな、少し待ってて」


そうしてロザリオが音のした方に向かう。

それから少しして侵入者らしきメイドを連れてきた。


「おい、お前何してたんだ」


「メイド?侵入者ってこの人なの?」


「いやー、甘い匂いにつられてさ、ついつい引き寄せられちゃって」


「どうする?」


とりあえず話だけでも聞いてみる事に。


悪い人には見えないようだが。


「で、お前はなに人の家の庭に不法侵入してたんだ」


「あー、聞いてよ、ご主人様があたしにお菓子禁止令出したんだよ!」


「何かやらかしたっぽいね」


「戸棚にあった高級なお菓子を拝借しただけなのにさ、酷くない!?」


どうやら雇い主のお菓子を勝手に食べてお菓子禁止令が出されたらしい。

それに不満だったのか、脱走したようだ。


「お前、メイドやっておきながらそれはないだろ」


「うっさいわ!あたしは甘いものがないと死ぬの、働きたくないの」


「どうするのこれ」


「それよりこの匂い、甘いものだよね、いい匂いだ」


嗅覚だけはやたらと鋭い様子。

とりあえずクッキーを食べさせる事にした。


「クッキーは食わせてやるからご主人様に謝りに行け」


「嫌でござる、お菓子禁止令を解いてくれるまで帰らないからね」


「困った野良メイドだね」


「甘いものはあたしの命なんだよ!お菓子くれないなら働いてなんかやらんもんね!」


ふざけた態度ではあるが、頑固な一面もあり一貫した考えは持っている様子。

とりあえず少し様子を見る事にした。


「あ、焼けたみたい、少し待っててね」


「わくわく、甘いもの~」


「どうするんだ、こいつ」


「クッキーか~、楽しみですなぁ」


それから少ししていい具合に焼けたココアクッキーが運ばれてくる。

野良メイドの話も聞くにしても、どうしたものか。


ご主人様はどこの誰なのか。


とりあえずは様子見に落ち着く事に。

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