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冷やし中華作りました

こっちの世界もすっかり夏模様になり暑さ対策は必須な季節。

とはいえ自分の世界に比べると全然涼しく感じている理津子。

海風があるから涼しいとは言うが、正しくは湿度が低めなのだろう。

湿度があると暑いというのは嫌というほど知っているのだから。


「相変わらずなんか冷たい食事でも作ってるん?」


「夏だからって別に温かいものでもいいんだが」


「ここはそこまで暑くもないもんね」


そんな話をしていると今日の昼食が運ばれてくる。


相変わらずきっちり作るのが理津子らしいが。


「なんか華やかなもん作ったね」


「冷やし中華だからそんな華やかでもないと思うけど」


「冷やし中華な、要するに中華麺を使った冷麺だろ」


「元も子もない事を言わない」


「美味しければいいんだよ」


とりあえずその冷やし中華をいただく事に。

ちなみに理津子は冷やし中華は狂信的なごまだれ派らしい。


父親が作る時もごまだれで作る事が多かった影響っぽいが。


「そういやりっちんってアレンジレシピみたいなのってよく作るよね」


「あー、あれはアレンジレシピというより食べやすくしてるだけなんだけど」


「要するにアレンジではなく魔改造だな」


「それは国民性なのか、その国の人の血には逆らえないからなのかは分からないけど」


「魔改造ってつまりなんでもありな改造だよね」


理津子もこっちの世界の料理を研究した上でいろいろ手を加えている。

それはアレンジレシピというよりも魔改造なのである。


そこはやはり血には抗えない宿命なのかもしれない。


「冷やし中華も割と美味いよね、麺から手作りしてるからだろうけど」


「冷やし中華ってそもそもあたしの国で生まれたもので中華料理じゃないんだよね」


「お前の国は料理に外国の名前を使うのか?」


「ナポリにナポリタンはないし天津に天津飯はないしトルコにトルコライスはないんだよ」


「そういうのが好きな国民性って事なのかな」


そういう料理に関する多様性的なものは昔から培われている。

だからなのか料理は外国の味付けも普通にするし好みに味付けをする事もある。


美味しいものを食べたいという食に対する貪欲さも国民性なのかもしれない。


「でもなんで外国の名前を料理に使うんよ」


「お父さんが言うには敬意もあるんだけど、昔の人がつけたから詳細は分からないとか」


「リスペクトとかはあったのかもしれないな」


「ただイタリア人にナポリタンは宣戦布告並の行為らしいから、なんともだよね」


「確かナポリタンってスパゲッティをケチャップで炒めたやつだよね」


冷やし中華は日本生まれの料理であり中国料理ではない。

昔の人が名前をつけた理由も様々あったのだろうが、詳細までは分からない。


それでも父親曰く生まれた経緯についてはきちんと知っているようではある。


「その外国へのリスペクトはあったとしても現地人には許しがたい行為ってあるよね」


「イタリアでスパゲッティにケチャップは殺されても文句は言えない行為らしいし」


「それは流石に誇張しすぎだろ、現地ではそんなに許せない行為なのか」


「なんにせよあたしの国は外国の料理を魔改造して食べやすくしてきた国だからね」


「冷やし中華もそんな魔改造で生まれたものなのかな」


冷やし中華は魔改造かはともかく、日本生まれの中華料理である。

ファミレスなんかに割とあるなんとか風という料理は基本的に本国にはないものだ。


理津子もそんな魔改造のなんたるかを父親から学んでいたようではある。


「でも魔改造って言葉が凄いよね、なんでもありじゃん」


「寧ろその自由さが料理の多様性を作り上げたんだと思うけどね」


「お前の国の人間はなんでも受け入れて進歩してきたんだな」


「確かになんでも受け入れる懐の広さはあるよね、だから魔改造が定着したんだし」


「リツコが料理が得意なのはお父さんに教わった他にそういう理由もあるんだね」


だからなのか人の好みに合わせるのは割と得意ではある。

異世界の料理も自分好みに作り変える程度の逞しさはある。


この世界の料理は自分の世界に比較的近いがそれでも近いというだけなのだ。


「りっちんの料理スキルは魔改造出来るからよねぇ、そういうのは強いわ」


「そうだ、あたしの世界のネットに繋ぐとか出来ない?そっちの流行とか知りたいんだけど」


「うーん、機界人の技術者に頼めば狭い範囲の中限定でなら出来るんじゃないか?」


「つまり出来なくはない感じか、サインにでも相談してみようかな」


「元々この世界がいろんな世界と繋がってるから、不可能ではないとは思うけどね」


以前親に連絡したように狭い範囲だけから繋ぐ事は出来るのだろう。

幸いスマホは今も残してあるので、繋がるのなら使い道はある。


パソコンからはどうなのかは分からないが。


「冷やし中華んまかったぜぇ、ごっそさん」


「うん、夕食のリクエストとかあったら早めに言ってね」


「冷やし中華も外国生まれ、リツコの世界の料理は凄いな」


「魔改造とかアレンジレシピのその上って感じだよね」


理津子の世界のネットに繋げないかという考え。

サインに頼めばなんとかなるかもしれない。


そんな理津子の料理の腕前は魔改造をいとも簡単にやってのける事もある。


血には抗えないのかもしれないのはそんな民の歴史なのかもしれない。

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