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不思議な幼女

こっちの世界もすっかり夏模様になった。

港町特有の海風はあるものの、やはり夏ではある。

とはいえ自分の世界に比べれば全然涼しいし快適に過ごせる。

そんな夏の日に理津子は買い物帰りに不思議な子供に出会う。


「買い物帰りも暑さで食材が温かくなっちゃうよねぇ」


「はぁ、暑いし何か冷たいものでも食べて帰ろう」


「えーっと…あ、あれにしよう」


目に入ったのはアイスクリームの店。


そのまま店に入りチョコミントを頼む。


「はぁ、やっぱりチョコミントだよねぇ、この清涼感が夏には最高だよ」


「じぃ~…」


「ん?お嬢ちゃん、どうしたの?迷子?」


「迷子ではないわ!ただ美味そうだと思っただけじゃ!」


「ふーん、なら買ってあげるよ、好きなのを言っていいから」


不思議な少女に見られていた理津子。

どこか古風で老人臭さがあるその少女。


アイスを食べたそうに見ていたので欲しいものを買ってあげることに。


「はい」


「うむ、すまぬのじゃ」


「見た目は子供だけど、どこか婆臭い…」


「婆臭いとか言うな!これでもピチピチの乙女じゃ!」


「言葉もなんか…お嬢ちゃん、どこから来たの?」


その不思議な女の子は見た目よりは高齢の様子。

ただどこか不思議な感じは漂わせている。


恐らくどこか別の世界から来た人であるというのは分かる。


「そういえばお嬢ちゃん、チョコミントが好きなんだ」


「うむ、このちょこみんとというアイスは昔から好きなのじゃ」


「一つ聞いていい?お嬢ちゃん、何歳なの?」


「年齢か?お主の年齢の10倍ぐらいじゃ」


「あー、なるほど、だとしたらたぶん神界人か、それも神族じゃなくて神様…」


この世界において本当の意味での長命な種族はエルフや神様などがいる。

他の種族だと長生きしても200歳には届かない事も多い。


口ぶりなどからしてもエルフではなく神様だと理津子は思った。


「それで保護者…じゃないや、側近とか警護とかつけなくていいの?」


「別によいのじゃ、それにそんなものがおったら好きな事が出来ぬであろう」


「うん、でも年齢があたしの10倍なのに見た目は子供なんだね」


「おかげで何かと不便なのじゃ、酒を買おうとすると毎回止められるのじゃぞ」


「その見た目でお酒を買おうとしたらそりゃ止められるでしょ」


つまるところ合法ロ、だったりロリババアだったりなのか。

それでもお酒が飲める年齢と言うので、やはり見た目は幼女でも中身は大人の様子。


神様というのは大層な種族であると実感する。


「でもなんであたしを見てたの」


「お主からは不思議な空気を感じたのじゃ、この世界のどの世界の者でもなかろう?」


「分かるんだね」


「妾を誰だと思っておるのじゃ、流石にそこまで鈍くもないわ」


「神様ってやっぱり凄いな」


そんな彼女はやはり神様で間違いないようだ。

見た目は子供でも中身は意外と大人であるのは確かだ。


それに立場もそれなりに高そうなので、やはり偉い神様なのかもしれない。


「チョコミントが好きって言ってたけど、前にも食べた事があるの?」


「うむ、その時からこうして人界に来たら必ずちょこみんとを食べているのじゃ」


「神様がチョコミン党か、お墨付きすぎる」


「お主もちょこみんとが好きなのか?」


「あ、うん、好きだよ、でもアイス以外のチョコミントって大体微妙だけど」


理津子曰くチョコミントはアイス以外は大体微妙らしい。

ギリギリ美味しいと感じたのはチョコミントのドリンクぐらいらしい。


チョコミントが美味しいのはアイスだからなのだと理津子は感じている。


「でも過去にも来てるって事は抜け出してきたりとかなの?」


「うむ、仕事ばかりでは疲れてしまうからな、息抜きにこっそり来ているのじゃ」


「神様も大変なんだね」


「人界は美味がたくさんある、やはり癒やしは人界が一番なのじゃ」


「神界って食べ物が美味しくないのかな」


彼女曰く人界には美味しい食べ物がたくさんあるとのこと。

他の世界にも美味しい食べ物はあるとは思うが、詳しくは知らない。


とはいえ自分の世界の食べ物ばかりだと飽きてしまうのかもしれない。


「神様に美味しいと言わせる人界の食べ物って凄いな」


「満足じゃ、それとお主にはこいつをやろう、白蛇の抜け殻じゃ」


「白蛇の抜け殻…もしかして財布に入れると金運が上がるってやつ?」


「うむ、妾がやるからには本物じゃぞ、これでお主も金持ちなのじゃ」


「はぁ、まあそう言うならもらっておくけど」


お礼に白蛇の抜け殻を渡される理津子。

理津子の世界では財布に入れると金運が上がると言われる代物。


彼女は神様なので当然本物なのだろうが。


「ではまた機会があれば会おうぞ、さらばなのじゃ」


「白蛇の抜け殻…財布に入るのかな」


「まあ神様にもらったものだし、試しに入れてみようかな、それより帰らなきゃ」


神様だという幼女にもらった白蛇の抜け殻。

お墨付きなのだろうからとりあえず財布に入れておく事に。


年齢は理津子の10倍ぐらいでも見た目は幼女。


そんな見た目の苦労は種族特有なのかもしれない。

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