小魚ポリポリ
こっちの世界もすっかり夏模様になったので暑さ対策も進めている。
その一方で海風の影響なのか思っているよりは涼しい。
夏の料理も考えつつ家の掃除などもきちんとこなしていく。
そんな中理津子が休憩時に食べているものに目が行ったアノットは。
「こんなもん見つけたんだけど」
「なんだこれ、小魚アーモンド？」
「お酒の肴とか？でもリツコはお酒はあまり飲まないよね？」
それはどうやらおやつなんかに食べる小魚のようだ。
なんでそんなものがあるのか。
「でも酒の肴にはいいんよね、これ」
「ご飯出来たよー、ってそれあたしのおやつじゃん」
「ああ、それでなんで小魚なんだ？食事しながらでいいから聞かせろ」
「まあいいか、とりあえず食事しながらね」
「それじゃ食べようか」
今回作ってきたのは少し辛い味に作ったスープカレー。
先日の竜界旅行で作ったスパイスで作った試作品である。
暑い日はカレーも食べたくなるものだ。
「んでなんで小魚？りっちんってお菓子とか普通に好きだし食べてるよね？」
「小魚はカルシウムを摂るのに食べてるだけだよ」
「カルシウム？それならチーズなり牛乳なりでいいだろ？」
「あたしの国の人って多くが乳糖不耐症だから乳製品からカルシウムは摂りにくいんだよ」
「そうなの？牛乳とかでカルシウムを摂れない体質なんだ」
日本人の多くは乳糖不耐症であるが、割合はそこまで多い方でもない。
ただそれにより乳製品からカルシウムを摂るのは向いていないのも事実。
だから小魚からカルシウムを摂っているらしい。
「つまりりっちんって乳製品を摂っても栄養になりにくいって事でええの？」
「そんな感じかな、それなのに牛乳が好きなのはなんなのかとも思うけど」
「そういえば牛乳とかチーズが好きだよな、お前」
「ただ乳製品を摂取するとお腹がゆるくなるんだよね、悲しい事に」
「要するに乳糖を消化吸収しにくい体質って事だね、なるほど」
乳糖不耐症とはその名の通り乳糖を分解出来ないなどの事がある。
なので乳製品から栄養を摂りにくいという事でもある。
それなのに牛乳が好きだしチーズも好きだしと乳製品大好きである。
「人の体質ってのも何かとあるんだねぇ」
「あたしの国の人の多くがそんな感じらしいとは聞いたよ」
「つまり人種的な体質なんだな、個人差とかじゃなくて」
「全員ってわけじゃないけどね、ただそういう人が多いってだけで」
「それなのに牛乳とかチーズとか大好きなのは好みの話なのかな」
実際理津子は牛乳もゴクゴク飲むしチーズもパクパク食べる。
体質とかは特に気にしていないのは分かる。
まあ死ぬような体質でもないので気にしても仕方ないという事なのだろう。
「栄養が摂りにくいだけで普通に乳製品摂ってるりっちんって逞しいよね」
「牛乳は昔から好きだよ、銭湯に行ったらビン牛乳を一気飲みはお約束だし」
「お前、たまに中年臭いよな、なんなんだそこ」
「失礼な、ビン牛乳は一気飲みするものでしょ」
「リツコってたまに親父臭い一面が出るよね」
そんな理津子の体型をチラッと見るロザリオ。
乳製品から栄養を摂りにくいというのは嘘ではないかと思いつつ心にそれをしまう。
意外としっかりした体型なので、しっかり食べる人だとは分かる。
「りっちんの体型で乳製品から栄養を摂りにくいとか言われても割と反応に困るよね」
「そう？そういうアノットも人の事言えないでしょ」
「僕は健康的な感じがしていいと思うけどな、細い事が美しいとかミイラになりたいのか」
「少年、その若さで割と性癖を拗らせてる感じはあるよね」
「たぶん大体リツコのせいだと思うんだけど」
理津子の羞恥心のなさも割と原因な気はする。
思春期の少年には刺激が強いような事ばかりしてる理津子も悪いのだが。
どんな環境で育ったのかというのはロザリオも思ってしまう。
「あたしもりっちんもデブではないけど健康的な肉感って感じよね」
「お互い割と身長が高いからもあるよね」
「細すぎる女とか不健康そうで怖いから僕は勘弁して欲しいけど」
「少年って健康的な女の人が好きなのか」
「好みが何となく分かるよね」
そんなロザリオの好みもさておきスープカレーは完食する。
乳糖不耐症だが乳製品大好きな理津子。
別に命に関わったりもしないので気にしていないのだろう。
「このカレーいい感じに美味かったぜぇ」
「それはどうも」
「辛すぎるのは勘弁してくれよ」
「ロザリオの好みは中辛だもんね」
そんな体質の話をしつつも気にしてる様子もない理津子。
小魚はカルシウムを摂るために食べているは本人の談。
元々小魚は好きだというので、よく食べているだけなのかもしれない。
乳糖不耐症でお腹がゆるくなるのは仕方がないのだ。
