竜界旅行~帰宅~
竜界旅行も満足行く程度には楽しみ帰宅する日。
とりあえずはゲートのある都市へと今は移動中。
そこから人界に移動し、さらに屋敷のある港町まで移動する。
帰る頃には日も落ちていそうである。
「竜界も面白かったね、知らない事も知れたし」
「お前、なんだかんだで勉強は好きだよな」
「好きな事だから勉強したいって事なんじゃないの」
理津子もこれで好きな事への知識欲は貪欲なものがある。
それは言うまでもなく料理に対する好奇心の強さにある。
「それにしてもあっという間だった気がするなぁ」
「お前の怖いもの知らずな行動の方がずっと心臓に悪かったぞ」
「そう?知識っていうのは表だけに触れても得られないものなんだよ」
「それにリツコって凄く食べるし」
「あれでも腹八分目なんだけどね」
食堂でもこれでもかと食べて拍手喝采だったりもした。
美味しそうに食べてくれたのが地元の人達には嬉しく見えたのだろう。
食に関しては作る事も食べる事も手を抜かないのは理津子らしさである。
「さて、ゲートのチェックして並ぶよ」
「ああ、やっと帰れるしな」
「なんだかんだで少年も楽しんでたよね」
「ロザリオって少し表情とか柔らかくなったんじゃない?」
「あー、そういえば、あたしが来た当初に比べると笑うようになった気がする」
理津子が屋敷に召喚された当初のロザリオは表情がそんな変わらないタイプだった。
だが今は割と笑うようになったし、表情も柔らかくなっている。
それはなんだかんだで理津子がそれだけ影響を与えているのかもしれない。
「少年さ、少し氷も溶けたんじゃない」
「お前に振り回されてるからだろ」
「そういうところは年相応なのかもね、反抗期も近いかなぁ」
「リツコの刺激が強すぎるのが悪いんじゃないの」
「年頃の男の子にはあれぐらいでいいの」
そうしているとゲートの順番になる。
そのまま渡航券を確認しゲートを調節し、そのゲートを潜る。
そして人界に無事に戻ってきた。
「さて、それじゃ屋敷のある街へ移動しようか」
「だな、帰ったらゆっくりしたい」
「少年、もう少し体力つけようね」
「なんでリツコってロザリオを少年って呼ぶの」
「うーん、その呼び方がしっくり来るからかな」
理津子のロザリオの呼び方については本人も気になっている様子。
ただ悪意はなく、男の子の呼び方としてこれがいいと思っているらしい。
そういうところが年頃の男の子には刺激が強いとも。
「こっちの世界は何かと面白いね、また一つ賢くなった気分」
「お前、そこまで賢くないと思うぞ」
「まあ確かに昔から赤点を取った事はないけど、赤点を回避出来る程度の成績だったね」
「それ凄い微妙な成績なんじゃないの」
「ただ赤点は一度も取った事はないけどね」
理津子のそんな凄く中途半端感がある頭のよさ。
ただそれぐらいという事は優等生でも馬鹿でもない感じらしい。
ただし家庭科だけは一度も成績を落とした事はなかったらしいが。
「さて、着いた、屋敷に行こうか」
「だな、やっと落ち着けそうだ」
「また機会があれば別の異世界にも行ってみたいな」
「その時はまた一緒に行こうね」
「うん、それじゃいざ屋敷へ」
そのまま屋敷へと帰宅する。
留守番をしていたアノットが出迎えてくれる。
こういう時はアノットの安心感もあるものだ。
「お帰りー」
「ただいま、留守番ありがとね」
「とりあえず荷物とかを運び入れるぞ」
「うん、とりあえず簡単な食事とかも用意しないとね」
「お風呂入ってさっさと休みたいよ」
そのまま荷物などを運び入れる。
片付けは明日にするとして、今夜は軽く済ませて休む事にする。
食事などはアノットが用意してくれていたようだ。
「食事なら作ってあるよ、レンジでチンしたりオーブンでブンして食べてね」
「ありがとう、こういう時はアノットは頼りになるよね」
「なんだかんだで有能な奴だからな、アノットは」
「流石は元メイド隊のエリートだよね」
「それじゃ温めて食べようか」
そのままアノットが作ってくれていたものを温めて食事にする。
風呂の方も洗ってくれていたらしく、お湯はすでに張ってあるという。
怠け者のアノットだが、仕事に関しては有能なのだ。
「お土産はそこにあるから明日にでも開けようか」
「食べ物っしょ」
「そうしないと不満そうにするし」
「お前は食べ物じゃないと怒るからな」
そんな扱いもアノットらしさではある。
とりあえずは無事に帰宅する事が出来た。
明日からはまたいつもの日々に戻る。
またどこか別の世界に行きたいと思う理津子なのだった。