申請していたものが届いた
最近はこっちも春模様になってきた様子。
とはいえ春でも海風が吹くので割と涼しめではある。
そんな中以前申請していたものが届いた様子。
それは国に申請していた別の世界へ行ける許可証である。
「それってりっちんの異世界に行く許可証よね」
「ああ、この前頼んでたやつが届いた」
「とりあえず渡さなきゃね」
そんな話をしていると理津子がまた試作品を持ってくる。
とりあえずそれを渡す事に。
「りっちん、異世界に行く許可証が届いたってよ」
「あ、本当?それかな」
「ああ、とりあえず開封しておけ」
「分かった、えっと、ハサミはっと」
「そういえばこれなんだろ」
理津子はハサミを使って届いた許可証の封を開封する。
そんな中持ってきた料理はどうやらパイの様子。
それを食べつつ許可証を確認する事に。
「このパイはなんのパイなん?」
「それはベーコンポテトパイだよ、あたしの世界のお店のやつを再現してみた」
「お前、店の味を再現したりする辺りガチ勢すぎるだろ」
「うん、それとこの許可証って顔写真とか貼らなきゃいけないの?」
「それは必要ないよ、見た目は紙だけどマイクロチップが使われてるから」
どうやら許可証には機界の技術も使われている様子。
マイクロチップが使われていてそこに個人情報が全部入っている。
つまり写真などがなくても本人確認が出来るというものらしい。
「だから偽造とかしようにもチップの関係で偽造はかなり難しいんよね」
「ふーん、凄いんだねぇ」
「あと最初のページに特殊な加工がしてあるからな、特殊なライトで分かるんだ」
「ブラックライト的なものかな?偽造は難しくなってるんだね」
「うん、昔は偽造もあったからいろんな世界と協力して改良してきたんだよ」
つまり許可証も発行が始まった最初期には偽造も結構あったのだという。
異世界との交流というのはそうしたテロを防ぐ事にも力を入れねばならない。
それにより改良を重ね改良がされたあとは更新しないと古いものは使えなかったとか。
「まーなんにせよその手のものは偽造される事も多かったって事よね」
「それは分からなくもないかも、あたしの世界でもパスポートの偽造はあるし」
「結局は世界とか国に関係なく悪い事を考える奴はいるもんだよ」
「悪意は世界も国も関係なくそれを持ってる人はいるという事だもんね」
「世の中はいい人ばかりじゃないんだよね」
異世界だろうと国が変わろうとも悪意を持つ人は必ず存在する。
だからこそそれを防ぐために許可証の改良も進められてきた。
今では機界の協力により偽造は相当に困難にものになっているとセルベーラは言う。
「ま、国のメイド隊でスパイやってたあたしに言えた義理でもないけどね」
「それでもスパイの目的って必ずしも悪い事にそれを使うとも限らないでしょ」
「ハッカーだって必ずしも悪人じゃないもんな」
「悪いとされるのはクラッキングだね、ハッキングはそれとは違うかも」
「機界人はアンドロイドとかだとそういうのが出来るのも普通にいるからね」
なんにせよ許可証は無事に届いた。
これで異世界に行く事も出来るようになったというもの。
ちなみにロザリオやアノットはすでに許可証は持っているという。
「んで異世界に行くつもりなんかね、りっちん」
「そうだね、少し調べてから観光とかも兼ねて行ってみようかな」
「その時は一緒に行ってやる、お前だけで行かせるのも不安だしな」
「なんだかんだで少年も優しくなったね」
「それでどの世界に行ってみたいとかあるの」
理津子が興味があるのは空界や機界、竜界辺りなどらしい。
その世界の料理などにも興味はあるが、どんな場所なのかも気になるとか。
やはりまず気になるのが料理なのは理津子らしいとも言えるのだが。
「とりあえず異世界に行った時はお土産よろね」
「分かってるよ、アノットはそればかりだもんね」
「なんにせよその時は付き合ってやる、行く時は言ってくれ」
「うん、頼りにしてるよ」
「異世界も結構面白いからね、その時は楽しんできてね」
許可証は無事に届いて一安心。
どの世界に行くかも考える事にする。
料理が美味しそうな世界に行ってみたいというのがまずではあるが。
「ベーコンポテトパイ美味しかったぜぇ」
「うん、またそのうち作ってみようかな」
「こういうパイも悪くないな」
「美味しかったよね」
ベーコンポテトパイは割と好評だった。
お店の味を再現する辺りも理津子らしさ。
好きなものに向けるのは熱意のそれである。
熱意があれば大体はやってのけるのが理津子なのだ。