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ライトユーザー、異世界では強くあれ。  作者: ラカインスト
第3章 ガウーリアス商会
35/51

第35話

ブクマや評価、感想等々大歓迎です。

評価等してくれた方々、本当にありがとうございます。

ただまぁ…お手柔らかに。心弱いので…


久しぶりの更新すぎて申し訳ないです。

 ベアリアやサク達偵察組の報告会に集まったのは、ボルダーをはじめとする事務方6名とベテラン私兵3名、そして俺だ。

「ドラドラトカゲの足跡を発見しました」

「僕も大きなトカゲ の足跡を」

「自分はビッグコッコの喰われた残骸を見ました」

 北の森に偵察に行ったのは12名。うち、森の東側を偵察した3名が興味深い報告をする。他の面々からはベアリア同様に「妙に静かだった」程度の報告しか上がらなかった。

 となると、議論すべきは…


「ドラドラトカゲですか…」

 ボルダーが少し困った顔をする。それもそのはずだ。

 ドラドラトカゲ、イメージするなら大きくて速いトカゲだ。高さは成人男性の膝くらいあり、全長は大きいやつで4mほど。しかし、尋常じゃないスピードの持ち主で、単騎でギリギリ逃げ切れる速さだという。要はパワーとスピードを併せ持つ怪物だ。戦い方は単純で、一瞬で距離を詰めて、標的の足を噛み砕き、機動力を失わせたところで致命傷を狙ってくる。

 しかし平面には極めて強いが、垂直方向への動きには弱い。その一例として、ドラドラトカゲは荷台に乗っている人間は襲えないのだ。人間なら走って逃げるよりも、近くの木に登った方が安全だったりする。ゲームでは木に登り、真上から剣で串刺しにしていたっけか。


 とはいえ、ボルダーが困っているのは人間への危険性ではない。

「馬を狙われたら立ち往生ですね」

 森の中で奇襲され、ガウーリアス商会の商品を引っ張る馬の脚に噛みつかれれば、馬車を捨てなければならない。

「この森にドラドラトカゲが出るとは…」

 ボルダーが不意に俺の方を見る。

「冒険者として、ドラドラトカゲは対処可能ですか?」

 俺の左右にはベアリアとサクがいたが、年齢的に1番上っぽい俺に話を振ってきた。ここは素直にゲームの定石と現実を考慮してみるか。


「ドラドラトカゲは討伐可能です。しかし護衛任務として馬を守るのは難しいでしょう。あれは攻撃をジャンプ等で避け、真上からの攻撃で仕留めるのが定石です。安い盾や鎧は強靭な顎によって砕かれますからね。ですからドラドラトカゲが馬に攻撃した場合、防ぐ手段がありません」

 念のため、間違っていないかをベアリアとサクの顔で確認すると、ベアリアは小さく頷き、サクは満面の笑みで俺の発言に続く。

「ちなみに馬を守りたいなら人を馬の周りに配置して、その人の足に喰いついたところを誰かが仕留めればいいさ。尤も…そんな生贄戦法は最終手段にすらしたくないけどね」

 俺が言い辛かったことを飄々と口にしやがる。さすがはAランク冒険者様だ。

 サクの発言を聞き、場に居合わせた私兵達がボルダーを軽く睨むが、彼はすぐに苦笑いを浮かべた。

「皆さんにお支払いする報酬分では足を捨ててくださいとは言えませんから、森は避けましょうか」

 ボルダーが俺達に報酬分の働きのみを要求する良心ある人間で安心した。


「しかしボルダー様、森を迂回するとなると…」

「うん、西の山道を抜けよう。元々、森は近道だから使っていただけだし、山道の方は道幅広く、整備もされている。避けるべきは避けようとも」

「わかりました」

「俺達も足を失うわけにはいかん。賛成だ」

「僕もリスクは負いたくないですから」


 事務方、私兵、冒険者、それぞれの賛成の結果、森を回避することとなった。これで俺の不安も多少小さくなるというものだ。

 俺は左に座るベアリアの肩に手を置いた。

「ベアリア、お手柄だ」

 ベアリアがいなければ見落としがあったかもしれない。まずはそのことを褒めておこう。

 するとベアリアは頬を紅潮させて俯く。

「ありがとうございます。私などの違和感に耳を貸してくださったおかげです」

 称賛を受け取りつつも、俺を持ち上げるとは…


「ベアリアさんは本当に博識でいらっしゃる」


 このやり取りを見てか、ボルダーもベアリアを褒める。しかし、彼女の頬の赤みがスッと引いたかと思えば…彼女は人当たりの良い笑みだけをボルダーに返した。尤も、ボルダーはそれだけでも上機嫌な顔をする。

 あからさまな態度の線引きに気づいていないわけでもないだろうに…たくましい男なことで。商人にはそういう図太さも必要というわけか。


「では今日はここで休んでから、明日山道に向けて出発するということで…皆さん、どうぞよろしくお願いします」

「「はっ!」」

「「おぅ!」」


 なんか…ボルダー、いい男だな。もちろん、他意はない。少なくとも中学高校で生徒会長とかできちゃうような優等生で…サッカー部とかバスケ部にいそうだ。偏見だけど。

「フラグ回避もできたわけだしな」

 ボルダーやサクのような優れた人材に、物知り私兵達の和やかな雰囲気、悪くない環境だ。

「え?」

「なんでもない。行くぞベアリア」

「はいクマノヴィッツさん」

「あなたはお呼びじゃありません!」

 サポートも完璧と。いいじゃないか。

〜〜龍の剣用語集〜〜

【ドラドラトカゲ】

駿馬も喰らう素早さを持つ大きなトカゲ 。奇襲されると対処は難しく、ゲームでは登場時、初見殺しのトカゲと恐れられた。索敵系の武技・魔法の重要性を教えてくれるありがたい存在。ちなみに膝上以上の段差の上を陣取れば基本的に安全で、木の上から生肉を吊るして、近づいてきたドラドラトカゲを上から仕留めるレベル上げ方法が初中級者向けに確立された。

鳴き声が「ドラドラ」なので、ドラドラトカゲと呼ばれ、ドリドリトカゲ、ドルドルトカゲ、ドレドレトカゲ、ドロドロトカゲと種類がある。名前の由来はどれも同じである。

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