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第27話

ブクマや評価、感想等々大歓迎です。

評価等してくれた方々、本当にありがとうございます。

ただまぁ…お手柔らかに。心弱いので…


少しずつ忙しくなってきて、更新が遅くなりつつあります。

「いやぁー、昼間からの酒は堪らんなぁ!」

「そ…そですね」

 なぜかアレックスに連れられてきたのは近くの酒場。そこには昼だというのに、大勢の人がほろ酔い気分で騒いでいた。酔うと耳が遠くなり、声が自然と大きくなるというのは…どうやら本当のことのようだ。

「兄さんも飲めよ」

「はぁ…」


 これが酒…クソ不味いな。これが大人の味だというのなら、大人というやつは味覚が狂った変人なのかもしれない。「断る勇気キャンペーン」と称してお酒を絶対に口にしなかった18歳の俺にはもはや苦痛でしかない。


 俺は木製ジョッキになみなみ注がれた透明な液体を無理矢理…可能な限り早く胃袋に流して、途端に頭が揺れそうになるのを堪える。そしてそれらをアレックスに悟られないように笑顔を見せる。

 さて、本当に笑えているのだろうか。

「いい飲みっぷりだな。もう1杯いくか?」

「いえいえ、あんまし飲むと…その…」

 優しく断る方法…おお、あれならいけるか。

「ベアリアに怒られますから。金もないのに何をしているんですかって。あれは静かに怒るもんですから…1杯だけで勘弁していただきたい」

 …酒臭い酒場に入る前に断れれば良かったのだが、あれを譲ってもらった以上、付き合わざるを得ないわけで、この1杯をもって許していただこう。

 アレックスも俺より早く一息に酒を飲み干すなり、少し惜しそうな顔をした。


「確かにあの奥さんは口うるさそうだな」

「ええ、まぁ筋違いのことは言わない以上、言うことは聞くようにしています」

「それが若い娘と付き合える秘訣かい?」

「いやぁ…どうなんですかね」


 アレックスは普通に追加の酒を注文するので、俺は早々に水を頼む。

「ところで昼間から酒場というのも…」

「暇だしいいってことよ。暇だからな」

 暇って2回も言うし…ソランさんの時もそうだけど、なぜ俺をダシに使う…

 などと思っていたが、不意にアレックスは目を細める。


「それに、俺の勘だが…兄さん、なんか聞きたいこと、あるんじゃねぇか?」


 …………なぜわかった。

 思わずアレックスの顔を真顔で見てしまう。しかし…これはこれで好都合かもしれない。

「いや、アレックスさんには敵いませんね」

「よせやい。んで?」

 ペトラス商店の客の8割がラスマ外の客と聞いた時から、とりあえず聞いておきたいことがあった。


「ペトラス商店、またはアレックスさん自身、リットランへは行かれますか?」


 ラスマの街西口で聞いた話によると、リットランへは直通の乗合馬車はなく、いくつもの街を経由しなければいけないらしい。それでは乗り換えに使う時間と労力がもったいない気がしてならない。


 ーー乗合馬車はないが、不定期で商人の馬車なら行くぜ。乗せてもらうにゃ…ちと高ぇなーー


 そういことも聞いてるし。アレックスというコネを使えば、安く早くリットランに行けるのではないか?


「リットラン…なるほどね」

 アレックスもこちらが意図することに気づいた様子。そりゃ文無しアピールしてるし当然か。

「そうだな…………急ぎか?」

「急ぎです」

 しかし、アレックスは首を横に振った。

「確かにリットランには行っていたが、最近は行く用事がないんだわ」

「…あー」

「Cランク冒険者なら護衛依頼も出ているはずだぜ?」

「やっぱりそうなりますか」


 水と酒が運ばれてきて、俺は水で唇を濡らす。

「リットランまで行く最中に危険な箇所ってありますか?何分、土地勘がないもんですから」

 コネが使えないとなると、3万タロンを稼ぐか、リットランまで行く護衛依頼を受けるかだが、極力戦闘は回避したい。護衛中に野盗や魔物の類に襲われてはたまったものではない。その手のノウハウがない以上は自衛で精一杯だろう。

「街道整備はされているし、リットランに近づけば近づくほど安全だぜ?何せ神都だからな」

「神都…………俺達、大聖堂に用があるんですよ」

 安全なら依頼を受けた方がいいのか?

「商人の馬車なら何日くらいでリットランまで?」

「積み荷の規模にもよるが…俺のレクトが牽くなら基本的には7日前後だな」

「ちなみに…」

「乗合馬車で行こうとするなら14日はかかるだろうよ」


 そうか。自動車で高速道路に乗ってどこまでも、とはいかないわけだ。転移魔法とかファンタジーならではの技術はないみたいだし、想像以上に時間を食うな。大学の入学式には絶対間に合わねぇ…っていうか、授業料の振り込みとかしたかな…してないと講義受けられないよな…


「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー…」

 盛大に溜息をついて頭を下げる。アレックスはそんな俺の肩を優しく叩いて慰めてくれるが…口が臭い。

「おいおい兄さん、そう落ち込むんじゃねぇよ…って、おいあんた」

 しかし、突然アレックスの口ぶりが変わったので、アレックスの顔を見ると、アレックスは俺の背後を見上げていた。その表情は初めて見る強張ったものだった。


「失礼。あなた、リットランに行きたいのですか?」


 背後から聞こえてきたのは中性的な声。俺はそこでようやく背後の気配に気がついて振り返る。

「ワワワ…ワイズマン…」

 真っ白な短髪に金色の瞳、そこに立っていたのは眩しいほどの笑顔を見せる美青年だった。

「なるほど…こりゃまたイケメンさんで…」

 気のせいか、今一瞬彼の背後に薔薇が咲き乱れていたような…

ーー龍の剣用語集ーー

【魔法使い】

ゲームを始めた時に選べる初級職の1つ。魔法を使って味方の補助から攻撃まで幅広くこなせる。ただし、覚える魔法の数は膨大で、使用するMPの管理や場面場面による正しい判断が迫られるため、初心者には不向きとされている。転職によって、さらに覚える魔法や役割も増えることでガチ勢向き。

ちなみに上級職の1つ【魔法少女】は専用装備が他職と比べ物にならないほど多く、武技『私は絶対にあきらめない!』を使えば絶対に死なないという…圧倒的なまでに優遇された職業になっている。運営会社の筆頭株主が重度のロリコンでアニヲタと噂されているが…おそらく関係ない…はず。

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