第七回・クエスト完了 その一
航空戦艦黒蓮時雨。
三本ノ矢との激戦により、少々危なっかしく飛行している。
副官NPCがサミダレに、消火と応急修理を終えたことを告げた。
サミダレは頷いて下がらせる。
「さて……皆さんは一体どこまでお行きになったのかしら?」
彼は独りごちた。
パンチカード用紙を取り出し、通信役の副官NPCに渡す。
「モットナリは打ち破りましたわ。そちらに損害は?」
サミダレのパンチカードがアマツマガボシ、大伴彦麿、みらくる☆あんずの手に渡る。
「損害はないな。輸送船団も無事だ」
とは、アマツマガボシからのパンチカード。
「ほほほ、しかし一人で打ち倒してしまうとは」
「あんずにはまだ無理かなー、そんな芸当」
とは、大伴彦麿、みらくる☆あんずからのパンチカード。
ふう、と溜息を吐くサミダレ。
一段落である。
だがまだクエストは完了していない。
「そちらの現在位置はどこでいらして?」
「ああ、そろそろ沢北に着く頃だ。こっちが街に入ったら、代わりにモットナリ討伐についても報告しておくか?」
アマツマガボシからの返信に、ぜひそうしてくださいまし、とパンチカードを送る。
何とかクエストは達成できそうだ。
サミダレはクエスト目的地である沢北の街に進路を取るよう命じた。
しばらくして。
「かんぱーい!」
サミダレたち四人は酒場に集っていた。
クエスト完了により、百万両の収入があったのだ。
さらに、空賊であるモットナリの乗船を撃沈したことにより二十万両の追加収入も得た。
これならば黒蓮時雨を完全に修復できる。
その気になれば現在より改善した装備に変更もできるだろう。
しかし、とりあえずは、
「何とか乗り越えたことを祝おうぜ」
アマツマガボシの提案により、飲み会と相成った。
みらくる☆あんずのみソフトドリンク系の飲み物だ。
クレイジー・スチームワークス・クロニクルでは飲酒もできる。
現実でも心地よい酔いを体験しうるのだ。
それでいて何ら健康に有害な影響を及ぼさないのである。
とはいえ、未成年には一応飲酒禁止の措置が取られている。
この心地よさを物理アルコールで……と考えさせないためだ。
さて、一行の飲み会で新たな冒険を始める切っ掛けが起こるのであるけれども、次回へ待っていただくとしよう。




