第二回・不審船団を撃破しうるか?
砲声轟々、雷鳴のごとし。
四隻の戦艦のうち、二隻が砲撃を開始していた。
目標はサミダレの乗る航空戦艦より二時の方角、急接近する巨大船影である。
打ち込んでいる砲弾は、火薬だけではなく蒸気鉱石を少量含むタイプのため激しい炎が上がる。
けれども、相手は雲の中から炎をまといながら現れた。
サミダレの仲間たちより幾分性能が良いようだ。
それを見てアマツマガボシが、
「ほーう、奴の名はモットナリか! 噂には聞いていたが、なかなか堅いな! なんて言ってきてる?」
とパンチカードを送る。サミダレが答えて、
「『慌ててやって皆の笑いものになる』ですって……ロシアのことわざかしら」
「そーだね。そんな気がする。二人にはそっちを任せるよ。あんずは伏兵と航空艇を警戒しとく」
というのは、みらくる☆あんずが送ったパンチカード。
確かに、航空艇を警戒すべきですわね、とサミダレは返す。
敵艦には三本ノ矢という名がついている。
その艦長、モットナリは中津国式の戦法を取る。
すなわち、航空艇を発進させ、敵艦を包囲。蒸気鉱石焙烙弾を親の仇とばかりに投擲し炎上させるというものだ。
この戦法は意外と効く。
ただ、下手をすると費用が利益を上回るので、最近の中津国所属プレイヤーは取ることはない。
しかしサミダレはカードで警告する。
「彼は戦闘狂で放火好きですわ。利益よりもジェノサイド、そういう方と聞いておりましてよ」
「となると麿どもを玉砕させるのが目的でおじゃるな? ほほほ、おお、怖や怖や」
パンチカードが行き交う。
「ま、そう簡単には麿どもは潰せぬのでおじゃるよ、ほっほっほ。撃ちや!」
大伴彦麿は乗っている艦の向きを変え終え、味方船団の背後に位置する輸送船団に鳥雷を発射した。
放たれたそれら五発は凄まじい勢いで敵集団へと突進。
しかし狙いは那須与一が弓のごとく正確無比。
一発は敵輸送船団の中心の船に、二発は彼らの左端一隻に、一発は右端一隻に、そして残りは右奥の一隻に。
「あらあら、見事なこと」
砲撃中でありながらサミダレが称賛のカードを送る。
「ほほほ」
雷鳴のごとき砲声の中、鳥雷は炸裂した。
豪炎が上がる。
しかし。
おかしい。
なんと熱波の激しいことだろう。
なんと衝撃波の激しいことだろう。
サミダレたちの乗る全艦が、筆舌に尽くしがたい光と衝撃で揺れに揺れた。
「してやられましたわ!」
サミダレがツインテールを揺らして叫ぶ。
おそらく、敵輸送船団には蒸気鉱石が大量に積み込まれていたのだろう。
そうでなければ、ここまでの威力は持たない。
ただの火炎船団衝突戦法だろうと高をくくっていた。
相手が上手だったと、サミダレは認めざるを得ない。
火炎は届かないものの、強い光による目眩まし、衝撃による航行力の制限は手痛い。
モットナリが狙ったのは、ただの火計だけではなかったのだ。
『ざまあ☆』
モットナリからのパンチカードに全員が歯噛みする。
「ちっ、これじゃクエスト完全達成を諦めざるを得ねえな! だが敵は一隻だ、百パーは無理でも七十パーの利益は確保させてもらうぜ!」
パンチカードがアマツマガボシから送られてきた。
サミダレも姉の意見に賛成である。
故に、
「先に商品を戦艦内に持ち込ませておいて正解でしたわね。こちらの何隻かが大破・撃沈しても、戦艦一隻、商船を一隻残せばわたくしたちの勝利ですわ」
したがって、
「捨て奸役はわたくしが勤めますわ。皆様はこの内にお逃げになって!」
とカードを送る。
「そーだね! サミダレ、また後で会おーね!」
「ぐぬぬ」
「なにがぐぬぬだ、彦麿! さっさとしねえとモットナリ一人に全滅させられちまうぞ!」
五隻は散開して逃走開始。
と、モットナリからパンチカードが送られてきた。
『もっと燃やしたいなー\(^o^)/』
「させませんわよ……!!」
サミダレはモットナリの戦艦に向かって突進する……!!




