episode:79
今日は爵位の授与式だ。初めての事なのでとても緊張する。
着替えをし、馬車でお城へと向かう。今日はレグドンとアミアと3人だ。レイはお城へと先に行っている。
お城の前には沢山の馬車が停まっていた。
これ全部貴族の馬車か…とても煌びやかなものから普通の馬車まで幅広くあるが、伯爵以上が集まるだけあって、どれも大きく立派なものだ。馬も詳しくはないが毛並みのいい馬ばかりだ。
二人が先に降りる。
「ルイフ様どうぞ」
「ありがとう」
二人に護衛されつつ、お城の中へと入る。
中に入ると沢山の貴族達が集まっていて、色々と話をしているようだ。誰が誰か全然わからない。
僕が今日の授与の対象だとは思わないんだろうな。
爵位の高い貴族ともなると護衛も強そうな人が多い。
レグドンとアミアは魔剣もあるし、元々強い。この中でも抜きに出てるとは思っているが…
僕はどうして良いかわからず、遂キョロキョロしてしまう。
「ルイフ様、キョロキョロするのはやめてください」
「あ、ごめん。知らない人ばかりでどうして良いかわかんなくてさ」
「わかりますが堂々としてください」
堂々と……しようとする程落ち着かない。
「おお、久しぶりだの」
「ベーン伯爵、お久しぶりです」
ミナの父親のベーン・アイラス伯爵だ。
今日唯一の僕の事を知る者だろう。
「元気そうで何よりだ。マルコは元気にしているか?」
「学園に来てから忙しく父様とはまだ会っていないのです」
「そうか…ミナーラが帰ってきておったからてっきり帰っていたと思ったが、それは仕方ないな。それよりも驚いたぞ、バウムートン様からお主を伯爵にするのを手伝って欲しいと言われた時は訳も聞いておる、儂は賛成派だ。しかしなー…賛成派のが多いが、反対派もまだいての。色々と言われるかも知れんの」
「そうなんですか…まあそうですよね。僕みたいな子供に」
「マルコの息子がそんな事でどうする。父親より爵位が上になるのだ堂々としておれ。それに儂と爵位で言うと同じになる、かしこまるのもおかしい。ベーンさんと呼びなさい」
「はい、ベーンさん。ありがとうございます」
「うんうん、それでいい。注意しておかねばいけないのが二人いる。一人目は侯爵家当主のジュール・キャニアス。奴は以前お主が与えられた土地の開拓に失敗しておるから土地の事は問題ないが。かなりプライドの高い貴族だ。そしてもう一人は、ユーシェル・ハイマー。儂らと同じく伯爵だな。古くから伯爵を継ぐ家系でな…新参者をとても嫌う。嫌がらせを受けた貴族も多い。だがな、厄介なのはその二人が割と力を持っているって事だ。キャニアス家は大商会で財力もある。ハイマー家は領地に鉱山がある。お金もそうだが、下につく貴族もなんだかんだ多い。」
「ありがとうございます。気をつけます」
厄介そうだ…対抗手段は沢山あるが、まだ敵という訳ではない。
できるだけ穏便にいきたい。
「これは、ベーン殿。この間のパーティー以来ですな」
「ルカナ侯爵、ご挨拶が遅れてすみません」
「いいのですよ。今着いた所です。いつも通り接してください。その子がマルコの息子ですか。どことなく似ていますね」
「はい、ルイフと言います。挨拶を。ルカナ・モンスール侯爵だ」
「初めまして、ルイフ・アリオスと申します。ルカナ侯爵お会い出来て光栄です。領地経営の手腕は王国随一と伺っております。是非とも勉強させて頂きたいです」
「ほほう、しっかりしておるの。マルコとは大違いだのー。将来が楽しみだ。わからない事があれば訪ねてくるといい」
ララに色々情報聞いておいて良かった。
時間になったようで城の者が呼びに来た。
護衛の者は残り、玉座のある場所へと移動をする。
僕はわからないのでベーンさんに着いていく。
どうやら偉い人から順に並んでいるようだ。
僕はベーンさんの横にそのまま並んだ。
国王様と宰相だ…目が合った。
なんか笑っている気がしたぞ、緊張してる僕を見て楽しんでいそうだ。
「皆よく集まってくれた。今日は手紙で知らせた通り大切な用事がある」
「では私から説明させて頂きましょう。もう既にワイバーン亜種の事は手紙で存じていると思います。我が国では、軍事面が課題とされておりました、そんな中、あの英雄マルコの息子がワイバーン亜種を飼いならし伝説の竜騎士となったのです。これは我が国の国力強化に大いに貢献してくれるでしょう。そこで、竜騎士となった、ルイフ君には伯爵の地位を与えようと考えています」
「ちょっと待ってください」
「ジュール侯爵何かご不満ですか?」
「竜騎士…と言うのはわかりました。国力が上がるのは私も賛成です。しかし、まだ子供ですよ?いきなり伯爵と言うのはどうかと思いますが。竜騎士として名誉貴族を与えるのが妥当だと思います」
「私もそう思います」
ユーシェル・ハイマー伯爵だ。
「私は賛成ですね。ワイバーン亜種を飼いならすなど御伽の話。どの国も喉から手がくるくらい欲しい人材ではありませんか。そんな人物に伯爵の地位など安いものです」
「儂も賛成だ。帝国や聖国が何かしてくるとは思わないが、竜騎士の存在だけでこの国に手を出しにくくなるだろう。逆に名誉貴族程度で迎えるような事をしたら、ルカナ侯爵のいう通り、引き抜きにかかる可能性もある」
「その通りだ。今回の伯爵位の授与は決定事項だ。反対の意見を蔑ろにするつもりはないが、今聖国が不穏な動きをしておると情報が入っている。国力の増強は急務だ」
「な、そんな情報聞いておりません。それに竜騎士などいなくとも…」
「ジュールよ。黙れ」
「ガラディウス様…私は別に」
「これはほとんどの者が既に賛成をしておる」
「な、私はそんな事は」
「そうやってお主は言うと予想しておったからだ、ユーシェルお主もだ」
「い、いえ、私は文句などは…」
あの人がガラディウス・アスター公爵か…
ガタイいいな…武闘派と聞いているが、一言で二人が何も言えなくなった。
でもこれって恨まれるの僕じゃないのか…?
「ではルイフよ。前に」
「はい」
「では、お主に問う。我が国に竜騎士として仕えてくれるか?そして大事の時には共に戦ってくれるか?」
「はい、この身に誓います」
「うむ、では、ルイフに伯爵の位を授ける。そして家名が必要になる。1週間以内に考えて教えてくれ」
「はい、有難く受け取らせて頂きます」
パチパチパチパチ
こうして僕は無事に爵位を受け取る事が出来た。
無事…とは言い難いか。ジュール・キャニアスそしてユーシェル・ハイマーこの二人には気を付けよう。
その後聖国が不穏な動きをしている事の注意喚起などが行われその場は解散となった。
「ルイフよ」
「あ、ベーンさん、有難うございました、お陰でスムーズにいきました」
「儂というよりも、ガラディウス公爵の力だの」
「いえいえ、ベーンさんのフォローも助かりました。ガラディウス公爵って武闘派と聞いていますが、一喝で黙らせてしまうとは位だけではないのでしょう?」
「ガラディウス公爵は武人としてだけでなく軍を統括する力にも長けておる。どこの領地が一番屈強かと聞かれれば間違いなくガラディウス公爵があがるだろう」
「よせ、ベーンよ。お主の所の軍の屈強さから言われたら皮肉に聞こえる」
「これはガラディウス公爵、私にとってあなたは見本で御座います」
「ルイフです。先程は有難う御座います」
「おう、マルコの餓鬼だと聞いてたからな。思ったよりひょろっとしてるが大丈夫か?彼奴とは戦場で何度も共に戦った。まあ将来に期待したって所だな、だがあの開拓地、簡単にはいかんぞ」
「有難うございます。何とか期待に添えるよう、頑張ります」
僕は二人と別れレグドン、アミアを連れ屋敷へと戻る。
無事に爵位を貰った事を伝え、家名を決めないといけない事を話す。
「そう言えばそうよね。何か案はあるの?」
「んー…なんも考えてない。みんな何かいいのある?」
「ルイフ様ならブレイブなんてどうでしょうか?」
「セイラ、それはちょっと…」
勇者って…まだ言ってるのか。
「だ、ダメですか」
「じゃあ、ゴットではダメでしょうか」
「ネピリア、もっとダメだからそれ…」
「ルイフ君、竜騎士ならドラゴンナイトってどう?」
「ルイフ・ドラゴンナイト…恥ずかし過ぎるよ」
「えー…カッコいいと思ったんだけどな」
「みんなダメね。ルイフ・オーディン、これがいいわね」
なぜ、オーディンを知っているのかは知らないが…
「ララ、それどういう意味?」
「何となく威厳のある名前に聞こえると思って言っただけよ?」
「そうなんだ」
「カッコイイけど…却下で」
「シャルム」
ゆりの花の品種でシャルムとかあったなー。
ちょっとお洒落かもしれない。
「レイ、それいいかも」
「えっへん」
「で、どういう意味があるの?」
「知らない、思い付き」
「どうやらレイあなたの案で決まりのようね」
僕の案…は!?と思ったが皆んなが喜んでいるからいいか。
「ルイフ・シャルムで城に報告しておくわね」
こうして無事僕の家名が決定した。
城に届けられたら各貴族に僕の伯爵位授与の知らせと決まった家名が届くだろう。
「じゃあ、そろそろ街を見せてもらおうかしら?」
「うん、皆んな行こうか」
レイ、ララ、セイラ、サーナ、ネピリア、そして婚約者ではないがアミを連れて街へと転移する。
転移をアミに見せるのは迷ったが…皆んなが大丈夫と言うので信じる事にした。
街へと転移した。場所は屋敷の前だ。
「な…何よこれ」
ポカーンと皆んながしている。
こっちの世界にはない感じの建物だからなー…
いい評価が得られるか不安だ。
「何って…屋敷だけど。どうかな?」
「ルイフ様は神ですか…」
「違うからねセイラ…」
「ルイフ神…」
「ルイフ…一体この見た事ない建物は何よ。それにこの透き通るガラス…」
「ルイフ君、先が見えるガラスなんて見た事ないよー?」
「神の使徒様だったのですか…?」
まだ屋敷にすら入っていないんだけど…早く入ろうよ。
「えっと…気に入ってくれてるのかな?とりあえず…中に入ろうよ」
「え、ええ」
中に入ると、白と黒を基調とした綺麗な部屋、そして天井中央から吊り下げられているシャンデリア。
大きな竜騎士の像。
みんな驚いてるなー、作った甲斐があるというものだ。
「部屋とか色々紹介したいからついてきてね」
僕はまず、1Fのホールを見せる。
まだ何も置いていないが広々としたホール。そして全面ガラス張り。
そして外には湖。まだ湖の向こうは土景色で何もないが、湖に反射する光がキラキラして綺麗だ。
続いて、2Fだ。
2Fのダイニングルームはちょっと自信がある。
ガラス張りは勿論だが、洗練されたモノトーンの部屋。
ミスリルで出来た、ダイニングテーブルと椅子。
ミスリルをなるべく柔らかく仕上げ、木の模様を施してある。
柔らかみを持たせるのに椅子だけで部屋一つをミスリルで覆うくらいの魔力を使った。
「綺麗だけど、ちょっと寂しい部屋ね」
この白黒の洗練さが女性陣にはわからないようだ。
続いて、お風呂だ。
お城にもあっただろうから、レイやセイラは慣れているかも知れない。だが…このガラス張りの解放感は味わった事がないだろう。
「外から丸見えじゃない…ルイフ何を考えてるのよ」
「ルイフ様、エッチです」
「ルイフ君…覗いちゃダメだよ?」
「大丈夫だよ…外からは見えないようにちゃんと設計したんだから」
「何だ、そうなの。私達の裸を見ようとしてるのかと思ったわよ」
僕の作ったシャワーの魔道具もびっくりはしていたが好評だった。
「ルイフ…こんな魔道具も作れたのね」
続いては3Fだが…部屋があるだけで特に説明する事はない為スルーだ。
4Fの皆んなの部屋を紹介する。
「じゃあ、私はここにするわ」
「あ、じゃあ私こっちー」
「私はここ」
「んー…私はここにします」
「私も決めました」
「私は…どうしたらいいですか?」
「んー…とりあえずアミも空いてる部屋使っていいよ。暫くいるわけだしね」
「では、私はこちらの部屋を使わせてもらいます」
僕の案内をスルーして皆んな行ってしまった。
順応し出すと女性陣の行動は早いものだ。
「ね、ねえ。ルイフ君。お手洗いってどこかな?」
「え、部屋に付いてるよ」
「え、そうなの?」
僕はサーナをお手洗いに案内した。
「ここだったんだ。有難う」
「うん」
「ねえ、ルイフ君いつまでいるの?見られてると…出来ないよ」
「え、あ、ごめん。やり方教えた方がいいかなって考えてたら」
僕は簡単に説明して慌てて外に出る。
「ルイフ君、あのトイレ凄いよ。勝手に流れたし、温かかったよ」
「何騒いでいるのよ。サーナ」
「あ、レイちゃん、ララちゃん。お手洗いが凄いんだよー。あったかーいし、勝手に流れるし、凄いの」
「よく分からないけど、私も見てくるわ」
「うん、行ってくる」
暫くすると…
戻ってきた。
「これは凄いわね…というよりこんなの根底からトイレの認識が覆るわよ」
「もう他のトイレで出来ない。ルイフのせい」
「気に入ってもらったようで良かったよ」
みんなが自分の部屋を見て戻ってきた所で5Fの紹介だ。
僕の部屋と露店風呂、そして仕事場、作業場といった特に紹介も何もないのだが。このお風呂の凄いところは緑のボールを付与してあるので入るだけで疲れや怪我が治っていく事だろうか?
他にも色々な所に僕のボールを付与してあるのだが、それは後々。
「ここで仕事をするのね、これは使いやすそうね」
「露店風呂って…外で裸で入るのがルイフ君の趣味なの?」
「変態…ルイフ」
「違うよ。外で入るお風呂はとても気持ちいいんだよ」
「ルイフ様…それを変態と言うのでは?」
誤解をしている…露店風呂の気持ちよさを知らないなんて…
僕は必死に誤解を解くために説明をした。
その結果、今夜露店風呂にみんなで入る事になった。
勿論湯浴み着を着て入るらしいが。
これは困った…どんな顔して入ればいいのだ。
ポーカーフェイス…のスキルさえあれば…
「家具とか任せてもいいかな?」
「ええ、私達に任せて、大体の寸法も必要なものもわかったし早速王都に送ってくれるかしら?」
僕はアミとセイラを見えないように結界を張りみんなを送り出した。
結界は万能ではない…しかし、アミを聖女と知るものは王国には多分いない。そしてセイラは安全とは言い難いがこれまでの敵を見ていると僕の結界がばれることはないと思う。
長い時間ではないし、大丈夫だろう。
どんな屋敷に変わるのか楽しみだ。
「あ、後ルイフ君、私思ったんだけど屋敷の外壁って作らないの?なんか全体から丸見え過ぎて…私だけかな?」
「それ私も思った」
「そうね、確かに見られ過ぎるのは嫌ね」
「あー屋敷で満足して忘れてた。戻ってくるまでに作っとくね」
「はぁ…戻ってくるまでにって普通は何日もかけて作るのよ」
「う…ある程度が出来たらちゃんと自重するから大丈夫だよ」
最近ちょっとやり過ぎかな…でもせっかく出来るなら快適な生活を送りたいと言うものだ。基本的に主要な商業区の大きな建物そして、最初の移民の人が住む家以外は大工さんとかにお願いしてやるつもりだ。住人や職人、働き手に対してお金を落とす事も大切だと宰相に言われていたのでちゃんと理解してるつもりだ。
僕は転移でみんなを送り、街へと戻ってきた。
とりあえず、屋敷を囲う外壁だ。
1F部分が半分も隠れればいいだろう。
5m程の高さと3m程の分厚さで湖側は景色が見える用に開けて一周ミスリルの外壁で囲った。そして正面に馬車が入れるよう大きめの門を作った。
門から、扉まではついでなので、大理石調に馬車が2台ほど行き来出来るくらいにミスリルで地面を引いてみた。高級感が出て品が出たと思う。こんな家に住んだ事がないから…
実際どうなのかは分からないが僕なりに満足だ。
ホテルの入り口の用に馬車が降ろした後ぐるっと回って帰れるように広いスペースを玄関前に設けた。
そして、土地はまだまだ広いので門を出て左側の壁際からグリコ用の簡単なボックス型の家を建てた。
ただの四角く大きいだけの小屋?小屋とは言えない大きさだがそんなイメージだ。日が入るように大きな窓を付けてある。
これで雨にも濡れないし、快適に過ごして貰えるだろう。
ミスリルの床だとひんやりしてしまうので、土を柔らかく加工し寝床を作った。
後必要なのは、従者達の寮、まだ警備兵しか居ないが兵舎、移民達の住むアパートの様なものだ。
そして僕の考える街作りに欠かせないのが、道全てをミスリルにすると言うものだ。電気がないこの世界では魔力で色々代用している。
魔力を電気線のようなもので各家庭に届ける、こんな事は知識もないのでやれる気がしない。
なので僕は道…そして橋などを魔力の通りやすいミスリルにし、電気線代わりに使おうと思ったのだ。
上手くいく保証はないがやってみる価値はあるだろう。
住民が快適に過ごせる環境これは僕の中で絶対だ。
と言う事で…まずは、橋がないと街を移動出来ないので。
手摺の付いた橋を必要な場所に設置していく。装飾は…後回しだ。
続いて、通行の通りとなる道を作っていく。
どんな地面にしようかと思ったが、綺麗な白で統一した。
そして汚れたりしないように道や橋には結界を付与しておいた。
従者用の寮なども早く作りたかったがここで魔力も残り僅かとなったので今日はここまでだ。
王都の屋敷へと転移で戻る。
屋敷に戻ると既にみんな帰っており僕を待っていたようだ。
「遅くなったかな?ただいま」
「私達も色々こだわってたら時間かかっちゃってさっき戻ったとこよ」
「うん、ルイフ君も気に入ってくれると思うんだ」
「そっか、みんな有難う、助かるよ」
オーダーが済んだものをまとめておいてくれたようだ。
部屋用の家具やベッドやカーテン。
エントランスや屋敷内に引く大きな絨毯。そして調度品なども良さそうな物を注文しておいてくれたらしい。
1週間程で全て用意出来るらしくその時に荷物が多いので、僕も一緒に取りに行く予定だ。
本当は食器類など色々揃えるのだが、これは僕が作ろうと思っていらないと言ったのだ。たまに大学の帰りに寄っていたデパート内の文房具屋…その帰りブラブラと各階を歩いたりしていた時に良くおしゃれなグラスやお皿など食器類を見ていた。高くて買えなかったが、ここでは真似して作る事が出来る。しかも高価なミスリルや錬金で作るとても綺麗に透き通るガラスでだ。
よく小説である創造の魔法のように簡単に建物を作ってしまったりするような凄いスキルはないが、十分僕の理想を叶えてくれている。
とても有難いことだ。
1週間の間に従者の寮、そして兵舎、移民のアパートを仕上げる予定だ。その間にでも小物は作っていけばいいだろう。
完成したらとりあえず引越しだ。そして移民を募るのと、街の建物などを建ててくれる職人さん達の手配だ。
その他、冒険者ギルドへ行ってギルドを僕の街にも置いて欲しいと頼まなくては。街を守るのは何も兵士だけではない。魔物退治に慣れた冒険者が街に居てくれるだけでとても助かるのだ。
そして、冒険者は、武具や防具を買うし、宿泊もする。
街のお金を円滑に動かす上でも必要だ。
次の日から僕は、寮作りを始めた。
男子寮、女子寮と作るのだが…景色が全部屋見えるようにするのは土地がいくら広くても屋敷を大きくしたので並べるのは難しく仕方なく門に入って右側に3F建ての白黒のマンションのような物を作った。
まずは男子寮だ。
本当は各部屋にお手洗いやシャワールームを付けてあげたかったが…
流石に魔道具の生産だったりが大変なため。
2Fと3Fに30部屋ずつ作り、お手洗いを左右と中央に一つずつ計3つ作る事にした。お手洗いの中には個室水洗トイレが4つと立ちトイレが5つだ。朝混み合っても十分大丈夫だろう。
1Fには大きな食堂と大浴場を作った。各階には難しいが、毎日綺麗に過ごして欲しいので、お風呂は必須だ。
女子寮も殆ど同じような作りだ。違うとするならば、お手洗いが全て個室で同じく9つの水洗トイレが設置してある事だろうか。
大浴場も似たような感じで作ってある。
トリートメントとシャンプー…そしていい香りのボディーソープが作れればやはり完璧なのにと思ってしまう。知識がないのがとても悔しい。あっても、魔法でなんとか出来ないとどうにもならないのだが。
そして各部屋は大体10畳程の広さの1ルームだ。簡単な収納と棚、そしてベッド。その他小さいシンクが付いている。従者用の寮としては広めだが伸び伸びと生活をして欲しいので少し王都の寮よりも余裕を持たせた。
「うん、いい感じだ」
それにしても緑がまだないので、白黒を基調としていると綺麗だがさみしい感じは否めない。
なぜ白黒に全部するかって?…
それは…無難だからだ。色を色々使ってお洒落にしようとしたあげく、とんでもなくダサいと思われるような建物になってしまっては大変だ。白黒はこの世界でも色々な場所で使われている色だ。
間違いが少ない色なのだ。
そして兵舎だが、屋敷から西側、川を越えた先に作る事にした。
大きな訓練場と1000名程が暮らせる兵舎を作る。250名が暮らす兵舎を4つ作る。
兵舎で囲った真ん中に訓練場があるイメージだ。こちらも10畳程にしようかと思ったのだが、人が多く、大浴場とかも従者寮よりも大きい物を考えなければならないため、10畳は変わらないが、4名1室の共同部屋にする事にした。2段ベッドが二つあるイメージだ。
本当に頑張った。同じ様な部屋を作り続けるのはとても飽きる。
途中から何か面白い装飾を付けてやろうかな…などと、無駄事をひたすら考えていた。
これで従者寮、兵舎が完成だ。
後は移民の為のアパート作りだ。
移民と言うのはどれくらい来るのだろうか…
人口の目安がわからない…もしかすると全然来ないかも知れない。
11歳の子供が治める街。竜騎士の街とは言え胡散臭いと感じる人も多いだろう。
とりあえずは、3F建ての部屋数30のアパートを兵舎とは少し離したさらに西側に10棟程建ててみる事にした。
300部屋…多いかな?300世帯が暮らすって日本で考えるととても少ないよなー。と言うか日本だとマンションの階層が何倍もあるし、人口も多い。
そもそも比べるのがおかしいのだ。
アパートの近くには、公園などを子供用に幾つか作る予定だ。
橋を渡り南側へ向かうと西門が見えてくる。
西門付近は全て農地として運用していく予定だ。
広い農地から中央に向かっていくと少し小さめだが商業エリアも作る予定だ。メインの商業エリアとは別に住民が利用しやすい場所として作る予定でいる。孤児院は農地の近くに建てるのがいいだろう。
さらに南も居住区にする予定だが、ここはこの世界の職人に任せる予定でいる。ここまですれば街として職人や働き手、移民を呼んでも大丈夫だろう。商売をする者が増えるまでは、食料は当面は配給する予定だ。
商売人の知り合いと言うと…ヘルン商会のココットさん。と豊臣商店のゴエモンさんくらいか。ココットさんは帝国の人だからセイラの事もあるし難しい。ゴエモンさんは大和の国の物が食は中心だから馴染みのないものばかりになってしまうし、小さい商店なので支部を出すとなると難しいかも知れない。
ここは国王様達に相談してみるべきかな…
今日でちょうど1週間。王都に注文した品を午後から取りに行く約束をしている。ついでにレイとララを連れてお城へと行ってみようと思う。
屋敷へと戻るとみんな準備が終わっており、僕待ちだったようだ。
いつも待たせてしまっているようで申し訳ない。
夢中になると時間を忘れてしまうのだ。
「ルイフ遅い、早く行こう」
「ごめん、レイ。うん、早速行こっか」
「しゅっぱーつ」
サーナのテンションが高い。とても楽しみにしてたからなー。
みんなを連れて王都の貴族御用達の大商会、ゴージャンス商会に向かう。ここでは様々な物が売っており、大体の物がここで揃う。
全てにおいて品質が良く、お金のある貴族からとても人気だ。
僕の実家のような貧乏貴族では買えない代物ばかりで
縁のなかった場所だ。
見るからに気品のあるものばかりが置いてある。
「これはこれはレイナード様にララ様この度は沢山の注文有難うございました」
「そちらが今回の購入者のルイフ・シャルム伯爵様で御座いますね、初めましてゴージャンス商会、商会長のゴルダスと申します」
「ルイフ・シャルムです。よろしくお願いします」
「ええ、これからもご贔屓にお願いします。本日のお会計ですが白金貨10枚となります」
僕は白金貨を出し支払いを済ませた。
今でこそ、気にする必要のないお金だが…よく考えたら1億円だ。
絨毯一体いくらするんだか…そんな絨毯を踏むのか…
うん、考えないようにしよう。
「お運びはどうしましょう?」
「では屋敷の庭までお願いします」
「はい、では今すぐ運ばせますので、先に屋敷にてお待ち下さいませ」
僕の領地に店をと思ったが、こんな高いお店が出来ても仕方ないだろうと思い辞めておいた。特に宛てもないし、自分でやろうかな…?
しかし、ルートも無いしな。魔道具屋をすれば儲かるだろうけど、食品や雑貨はどうする…?
やっぱりどこかにお願いしないと難しそうだな。
「ララ、街にお店がいると思うんだよね」
「ええ、いるわね」
「どうしようか?いずれ商人も来るだろうけど、全部を僕がやる訳にも行かないしどこか商会に食品や雑貨をお願いしたいんだよね」
「そうね、色々考えたんだけど最初は人数もそれ程いるわけじゃ無いし自分達でやるのはどうかしら?」
「え、それは僕も考えたけど仕入れルートなんてないよ?」
「あら作る必要もないじゃない。ルイフなら、セイラルの森で高級な魔物のお肉が取り放題じゃない?野草も豊富よね。野菜は近くの町の農家と交渉すれば大丈夫だわ。そのうち商人も増えるし街での生産が追いついてくるわ」
「なるほど…確かに。って僕しか取りに行けないんじゃ」
「そうよ、でもね。ランクの高い冒険者が集まってこればその必要もないわよ。セイラルの森の近くに街が出来るってことは安全に森に潜れるの。高ランク冒険者からしたら最高の場所になるのよ」
確かに…街つくりに必死でそこまで考えていなかった。
「じゃあ、お店を作るね。住民が来やすくて農地が近い方がいいから、農地横の商業区に大きめに作ろうかな」
「それでいいと思うわ。従業員や解体出来る人を複数人雇う必要があるわね、移民の中から従業員は補充すればいいから解体を出来る人が居るわね。お店を任せる人には心当たりがあるから任せて」
ララに相談した瞬間から…次々と決まっていく。
僕が知恵を絞っていた時間はなんだったんだ。
これからは素直に相談しよう。
ララに相談している間に、屋敷の庭には荷物が届いたようだ。
僕は全て亜空間倉庫にしまう。
レイとララとはこの後お城へ行く予定なので。
セイラ、サーナ、ネピリア、アミを先に街へと送る。
街っていう言い方も分かりにくい…そろそろ街の名前決めないと。
僕はレイとララを連れてお城へと行く。ちゃんとアポは取ってある。
いつもの部屋で待機していると、国王様達が到着する。
「待たせたな」
「来ないだはお疲れだったね。それで今日は何の用だい?」
「えっと街に住んで貰う移民と、建物を建てて貰う職人さんの手配をお願いしたいです」
「手配はするのは問題ないけど、開拓が進んでからでいいよ?手配自体は結構すぐ出来るからさ。職人さんも同じだね。開拓が出来て建物を建てる段階になってからじゃないと、仕事がない状態では手配も出来ないからね」
「はい、街がある程度出来てきたので今すぐ手配して貰いたいと思って来たんですが、近々僕も街へと引っ越しする予定でいますし」
「何を言っておる…あの大草原を開拓するだけでも年単位の時間が必要だぞ?それに、セイラルの森の魔物が徘徊するような場所だぞ…」
「そうだよ、ルイフ君。冗談は良いから今の進捗状況でも聞こうかな」
「お父様、これは事実よ。既に城壁、私達の屋敷、基本的な道、移民300家族が住む場所は出来ているわ。だから今すぐ手配して頂戴」
「うん、早くしてお父様」
「な…レイナード本当なのか?」
「ら、ララ冗談じゃないのかい…」
国王様と宰相は顔を見合わせ、驚いた表情で戸惑っている。
「そんな事を言うために国王様を呼び出したりしないわよ」
「ふむ…落ち着け」
「え、ええ。久しぶりに動揺してしまいましたよ。この歳で動揺する事が戦争以外であるとはね。まさか開拓を済ますだけでなく、移民の住む場所まで確保しているとは思ってませんでしたから」
「そうだな…ルイフよ。パーティーはいつ開く予定でいる?」
「そうですね。3ヶ月以内には出来るかなと思ってます」
「ふむ、分かった。とりあえず職人と移民の手配は儂らに任せろ。そのパーティー儂も参加しよう。期待しているぞ」
「パーティー参加って、誰がお城に残るんですか…ってまさかまた私に残れとか言うんじゃ…」
「大丈夫だ。そこは考えておるから。お主も参加出来るから心配するな」
え、国王様来るの?成り立ての貴族のパーティーに国王様とか来たらまた妬まれない?大丈夫?だろうか…
「はい、期待していてください。移民と職人の件お願いします」
そんな事言えないよなー。
僕は無難な答えを返し、お願いも出来たのでレイとララと屋敷へと戻る。
そして街へと転移をする。
「ただいま」
「あ、おかえり。ルイフ君、レイちゃん、ララちゃん」
「おかえりなさい」
みんな荷物をある程度整理して置いてくれたようだ。
モノトーンな空間に絨毯が引かれ温かみが出た気がする。
「いい感じね」
「でしょー。私達で頑張ったんだよ」
「ありがとう、みんな。これでもう引っ越しも出来そうだね」
「そうね、従者のみんなはどうやって連れて来るの?」
「とりあえず、馬車だよね。やっぱり。レグドン達に護衛を頼んで連れて来て貰えばいいかな?グリコに運んで貰うってのもありだけど」
「馬車がいいわね。余りに不自然過ぎるのはよくないわ」
「そうだよね。じゃあ来週出発して貰う感じでいいかな」
「そうね、進めておくわね」
よし、これで引っ越しも問題なさそうだ。
「じゃあ、僕はお店を作ってくるね」
お店のイメージはスーパーで良いのかな?
でもレジとか無いし防犯対策はどうしよう?
出来れば日本で知ってるスーパーの様な感じにしたい。
まだ置ける物は少ないけど総合的に色々と買える場所って本当に便利だと思うんだよね。屋台とか商人が増えればまた在り方も変わるんだけど、住民がボッタクリとかに合わないように適正価格の物を常に置いておきたいのだ。
場所は農地横に作る予定の商業区の中央だ。
箱型のスーパーなので作る事自体は容易に出来る。
倉庫も併設し、棚を沢山作る。
そして食品が常に新鮮でいられるように、冷たいものは冷たく出来るように、魔道具を作り設置した。
スーパーには絶対にある保冷棚の異世界版だ。
これで後は引っ越しと移民、そして職人さんが来るのを待つだけだ。
僕はララに僕の考えを伝え、スーパーの事を任せて王都に戻る。
王都に戻って来たのは冒険者ギルドに用があるからだ。
久しぶりに来る気がする。




