episode:78
今日から僕は暫く街へと籠る。
完成を急ぐ為だ。転移で帰れるけど帰ってしまうとダラけてしまって進まなくなるのは目に見えている。
みんなには何かあればグリコに言えば僕に伝わるからとだけ伝えて僕は街へと転移をする。
整地は前に済ませてある、城壁もぐるっと一周ok、外堀も作り終えてある。
早めに住める屋敷を作らないといけないのでまずは屋敷の位置を決める。
中央にしてしまうと色々な所への通り道になってしまい落ち着かない。やっぱり領主になるからには目立つ位置にはしたい。というより領主の家が隅っこにあったら威厳が無さすぎるだろう。
一番北側中央に大きく湖を作ってそこに屋敷を建てよう。
うん、それが良さそうだ。
屋敷から湖を眺めれるようにして、たまの休みには嫁達とカヌーでプカプカと楽しんだり。うん、これはいい案だ。
湖の先には城壁に領主専用の扉をつけて、眺めの良い緑溢れる場所にしよう。基本は南門、そして西門だ。しかし万が一の際や、何か必要に迫られた時に領主専用の抜け道は必要だろう。
屋敷の大きさはどうしよう…
よく間違えてお城を作っちゃった的な話があるけど、出来なくはないがそれは流石に…城壁は安全のためだが、家をお城にしてしまっては国王様も困るだろう。他の貴族も警戒してしまう。
イメージするのはロンドンとかにありそうな大きなお屋敷だ。
人も増えてきたし、部屋数は多い方がいいだろう。
建ぺい率とか容積率とか日本ではあったが…
土魔法で耐久面はバッチリだし、地震も起きた事がないから大丈夫だろう。タワーマンションみたいなのを作ってしまったらこの世界の人はなんと言うのだろうか。
流石に構造を知らないから、そんな危ないものは作らないが…
想像すると、面白い。
王国のお城の大きさが大体40mくらいあるのかな…?
日本で見た事のあるお城と同じくらいに見えた。
超高層マンションが58m以上の建物とか聞いた事あるし、
それくらいなのかな…
そう考えると40mくらいの高さの屋敷?マンション?みたいなのは作ってのいいのかな。40mくらいだと13Fとか14F建てくらいかなー。
簡単な家とかマンションの構造は見た事がある、魔法と錬金の力で耐久面は多分…いける。
鉄骨部分をミスリル骨に変えるイメージだ。遥かに丈夫く魔力とも相性がいい。劣化しないよう結界を付与しておけば完璧じゃないか。
あれ…待てよ。
そもそも魔法で頑丈にするなら、骨組みなんているのだろうか。
全ての壁が土台と一体化しているそんな感じで作るならいらない…よね?日本でもっと勉強をしておけばよかった、こう言う時知識がないのが悔やまれる。
お城とかも勿論、骨組みを組んでやっているだろうし、
この世界の人がやっているんだからやるべきか…
骨組みさえ無ければ数日で大体出来上がったのに…
僕はまず、設計図を書いていく…
やっぱりあまりこの世界の文化を壊したくない。
なので、5F建てにする事にした。
2F建てや大きくても3F建てが主流のこの世界では大きいのだが、少しくらいはいいだろう。
1F部分は天井を10mほどと高くし、大きなガラス張りのホテルのエントランスのイメージだ。ガラスが作れるかは試していないが、多分大丈夫だろう。1Fの奥には大きなホールを作り、パーティ会場としよう。
ガラス張りなので湖が綺麗によく見えて印象はバッチリだろう。
おっと…湖が綺麗で思い出した事がある。
夕日が1Fからでは城壁が高くて綺麗に見えないではないか。
湖を作って余裕を作ったつもりだったが微妙に1Fだと遮られるのだ。
そこで僕は1Fから丁度夕日見えるであろう城壁の一部を斜めに穴を開ける事にした、これで景色はバッチリだろう。
エントランスの右側にはゆっくり寛げるスペースを設け、その奥には応接間を作った。
中央には竜騎士の像…乗っているのは少し身長を高くした僕だ。
屋敷と言っていいかはともかく、屋敷に入ってすぐ左手にホテルのフロントのようなスペースを作った。その後ろにはメイドや執事が休憩する場所とメイドや執事が眠ったり出来る男女別の仮眠室を備えた。
ギルドなどでも受付があるし、多分フロントいるよね…?
他の貴族の家へ行った事がないからさっぱりわからん。
厨房は悩んだがホールの奥と2F両方に作った。
1Fのホールの奥はパーティーの時2Fから運ぶのは大変だからだ。
普段は僕達の料理を作るのに2Fが便利なので2Fで料理をして貰う。
2Fへ行く階段は左右に備えた。
主に2Fは寛ぎスペースだ。大きなリビングを作り、みんなでご飯を食べられるダイニング。
その他レグドンやティーナ、親衛隊のみんなの部屋を作った。お手洗いは水洗にしたいので場所だけ確保した。
朝混みあわないように男女で分け、日本のホテルやデパートのように複数人が入れるようにする予定だ。
お風呂は大きなダイニングと同じく湖が見えるようにしたかったので、左右に男女を分けた大浴場を作った。下からは見えないように斜めにガラスを張ったので下から見ると壁しか見えない。
3Fには10部屋程同じような感じで作った。
後はお手洗いがあるくらいだ。2Fからは基本中央の階段を登っていく感じになるのだが、作っていて思った。最上階に僕の部屋をと思ったがこの長い階段をひたすら毎回登り続けるのは…辛い。勿論僕は転移で行くのだが、嫁達が4Fまで毎回歩くのはしんどいだろう。
エレベーター…は構造知らないから無理。
テレポートゲートは…試してみないとわからないし、人に見られたら大変だ。3Fに設置すれば問題ないか?お城でも長い階段を毎日歩いている訳だし。
そうだ…指輪で反応するようにして2Fの階段横にテレポートゲートを作ろう。勿論周りから見れば普通の部屋に見えるように作る。
日本人からしたら見た目はエレベータだ。ただエレベータは動かずテレポートゲートが置かれる感じになる。
とりあえず屋敷を作るのが先だ、後回し後回し。
4Fには嫁達の部屋だ。
レイ、ララ、セイラ、サーナ、ネピリアの5名だ。
だが、ミナの事もあるし…何が起きるかわからない。とりあえず多めに8室くらい作っておくか。
どの部屋も結構な広さになった、これだけの余裕があれば快適に過ごせるだろう。
4Fの部屋にはお手洗いを各部屋に設置してある。
各自で行けた方がいいだろう。
よし、これで…後は最上階の5Fだ。
4Fと5Fの天井は開放的にしたかったので4m程と高くした。
5Fには僕の寝室と仕事をする為の部屋。
魔道具や色々実験をする為の作業部屋。そして露天風呂を設置予定だ。部屋には広めのバルコニーを作った。4Fの各部屋にも勿論簡易なバルコニーが付いている。
僕だけワンフロアーはちょっとずるいかな、とも思ったが、
作業部屋や仕事をする部屋などを考えると結構場所が取られるのだ。
仕事部屋自体は僕だけじゃなく、嫁達も共有で使うスペースとして作っている。オフィス見たいなものだ。
これで大まかな構造は出来た。今のままだとただの硬い土の骨組みに覆われた怪しい建物だ。ここから色々と屋敷らしくしていかなければならない。魔力を大分使ったはずだが、何故だろう余り減っていない気がする。
次にやる事を纏めよう。
・まずは、骨組みを錬金して、丈夫なミスリルにする。
・続いて、壁と床を作ると同時に水が各場所にいくよう配管を通す。仕組みは後で魔道具化してしまえばいいだろう。
・壁、床を錬金で…あれ。
「ソフィア、壁とか床の色変えたりってどうしたらいいの?」
「色なんて錬金じゃ変えれないわよ?そういうのは装飾スキルを高くしないと無理じゃないかしら?普通に色を塗るのが無難ね」
「ミスリルって色塗れるかなー?」
「無理よ」
なんという事だ。このままミスリルで壁や床を作っていくと、シルバーハウスになってしまう。だが、今更どうする。木を使ってみるか?
いや、僕の知識じゃ組み立てられない。
「ソフィア…」
「言うと思ったわ。装飾スキルくらいなら今の私なら付けてあげれるわよ」
「おお、ソフィアが神に見える」
「あのね、最高神よ?私は」
「そうだった。ありがとう。ソフィア」
思わずソフィアの顔にスリスリとしてしまった。
「ちょ、ちょっと急にびっくり…するじゃない」
装飾のスキルを僕に授けて何処かへ行ってしまった。
だが、これで装飾や色塗りが出来る。
まとめの続きだ。
部屋の壁や床、水の配管整備が終わったら、今度は窓だ、ガラス張り予定の部分を全てガラスに錬金しなくてはならない。
そして、お手洗い用の水洗トイレの製作だ。その後は、キッチン、お風呂、テレポートゲート。まだやる事が山程ある。
どこまで実行出来るかわからないがやれる事をやっていこう。
遅めの昼ご飯を食べ終えた僕は、まずは壁と床を土壁で作っていく。
全て終わった所で、魔力が…あれ。半分程残っている。
「ソフィア、僕の魔力が普通なら最初の骨組みで切れるはずが、まだ今だに半分も残ってるんだけど…なんでかわかる?」
「水の精霊の格が上がったからでしょー?水の精霊は魔力の量、回復力を大幅に上げてくれるのは前に話したわよね?格が上がれば大幅に上がったのも当然よ?」
「格が上がったて…もう大精霊に戻ったの?」
「そう見たいね。私も驚いたわ、でも元に戻るには大精霊になっただけじゃ全然ダメ。まだまだ時間がかかるわよ」
これは助かる…思ったより早く作業が終わりそうだ。
日本では50何階建てかのマンションを19日で作った動画とかあげられていた。頑張れば工期は早く出来るのだ。
2週間僕は屋敷作りに励んだ。
トイレや転移の魔道具はまだ出来ていないが、屋敷そのものは完成したと言ってもいい。
床は大理石のような模様に装飾した。1Fの壁や柱は艶のある黒に仕上げ、シックで落ち着いたイメージにした。
竜騎士の像は金色に…と馬鹿な事を考え設置したが、恥ずかしすぎてミスリルの本来の色シルバーに戻した。
装飾品は何を置いていいのかわからないので、天井から大きなシャンデリアだけを付け、シンプルにした。
シャンデリアは魔道具化し、魔力で光るようにしてある。
床に引いたりする絨毯などは長さを測ってオーダーした方がいいと思うが、こう言うのは嫁達に意見を聞いてやるべきだろう。
今日からは魔道具製作に取り掛かる。
作業部屋で作るのだが、この作業部屋だけ特別仕様だ。
安全の為、壁、床の表面だけオリハルコンで作ってある、伝説の金属だ。
なぜこの部屋だけかと言うと、オリハルコンを表面だけ錬成するのにこの部屋だけで4日も掛かっているからだ…魔力が足りなさ過ぎてこの部屋だけで諦めたのだ。薄ーく表面に錬成した程度だが耐久面は試してみたがかなりのものだ。魔力を込めてはいないが赤いボールをぶつけてみたが、傷一つ付かなかった。爆発後試した事を後悔したが、無傷でむしろビックリした。
水洗トイレから製作にかかる。
形は日本での記憶から簡単だ。タンクレスタイプにしよう。
水圧が足らないと詰まる原因になるとTVでみた事あるが魔道具にしてしまうので、問題ないだろう。
便座もミスリルで作るので魔力との親和性が高く、魔道具化しやすい。温まる機能も必要だろう。
ウォシュレット機能は…色々考えたが上手くいかず断念した。
水を流してみないと上手く出来てるかわからないがなんとか1日で作ることが出来た。排水と綺麗な水を分けたりとややこしい…
翌日はキッチンの魔道コンロと冷蔵庫の製作だ。
火が出るように仕組みを作るだけなので余り難しくはない。
火力を調整出来るようにするのが一番苦労した所だ。
冷蔵庫は単純に冷えるようにしただけだ。冷凍庫も同じくただ物凄く冷える箱?みたいなものだ。日本の業務用冷蔵庫をイメージして作ってあるがミスリルの色が丁度ぴったりでよく似ている。
これでマーニ達も喜んでくれるだろう。
そして最後にお風呂だ。
露店風呂は和の雰囲気に仕上げ。装飾で竹のような蛇口にした所からお湯が出る仕組みに作った。
大浴場は、魔力を込めるとお湯や水がシャワーから出る仕掛けになっている。
温度調節機能をつけるのは難しく、適温の夏は38度冬は40度くらいになるようにだけ調節した。
お風呂は全て循環し続ける仕組みを作ったので常に綺麗な状態だ。
シャンプーやトリートメントなども作れたら良かったのだが…それは後々考えるとして断念した。
テレポートゲートはどうしたって?
ゲートは指輪をかざすとそのFに行けるように簡単なボタンだけの魔道具にしたのですぐに終わった。後で指輪を少し改造しなければならないが僕がした時上手くいったので大丈夫だろう。
これで家具などを配置すれば住むことが出来るだろう。
後4日で僕の誕生日だ。
それまでに水がちゃんと出るようにだけしなくては。
街には屋敷から見える人工湖から繋がって各エリア全てに水が流れ、カヌーでの移動も出来るようにしたい。
街の区分けは大体決まっている。
中央には各エリアから橋で繋がった、おしゃれスポット。
噴水、そしてカフェなどが周りに並び綺麗な緑と花に包まれる住民達の癒しの場所となる予定だ。
中央は行き来するにはとても利便性の良い場所なので学校も作る予定でいる。
・東には大きな第一商業エリア、主にギルドなどを建てて貰う予定の場所だ。飲食街や宿など賑わう場所になるだろう。
・西には第二商業エリアと農業エリア、そして孤児院など。
・各商業エリアの南北には居住区を作り、仕事に行き来しやすいよう配慮している。
・メインの南門をくぐってすぐには大きな広場。その周りではフリーなマーケットエリアを設ける。小規模な商人達が自由に商売をする場所だ。広場の中央には大きな竜の像を建てる、シンボルだ。
竜騎士にしないのは、子供の僕が乗ってるのも変だし、別人を乗せるのも違う気がするからだ。
エリアが決まったので、水を流す堀をさっさと作る。
そして屋敷から中心に大量の水を水魔法で流す。外の堀にも流れるよう上手く城壁に穴を作ってある。
まだ地面はただの石で固められ何もない街だが、水が行き渡るだけでとても綺麗に見える。堀の内側は全てミスリルに加工済みだ。汚れないように結界を付与してある。
これで水が出来た。川から取る予定だったが、殺菌やら色々とよくわからない事が多いので魔法で最初は水を作る事にしたのだ。
街が完成したら川と繋げる予定だ。それまでに下水や浄水設備を作らないといけない。ソフィアに後で相談してみよう。
とりあえず屋敷から東側の川を渡った先に水が溜まる浄水場のような物を作った。ここで熱で滅菌してから各場所へと流れるように仕組みを作った。
排水した水が流れる場所は城壁の外の地下に作ったのだが、溜まった水どうしよう。
温めても綺麗にはならないし、ダメだよね。
川に流しちゃうのもあれだし…
「ソフィア…汚い水ってどうやったら綺麗になる?」
「あら、そんな事。屋敷でも使っていたでしょうに」
「え、どういう事?」
「スライムよ。魔物の」
「あー…なるほど。そのパターンね」
「パターンって何よ。あなたは変な所詳しいのに常識が疎すぎるのよ」
スライムで綺麗にするパターンは多かったが、ここでもそれが使われているようだ。
小説書いてる人ってよく考えてるよなー、異世界に行ったわけじゃないのに。実際当たってる事も結構あるのだ。
後でスライムを捕まえてきて入れておこう。
明日は僕の誕生日だ。ほぼ1ヶ月間街で作業をしていた。
帰ったのも3度だけほんの少し話したりご飯を食べたくらいだ。
「ただいま」
「おかえりなさい」
みんなダイニングに集まっていた。
「明日の事忘れてるかと思ってたわ。本当にギリギリまでやり過ぎよ。今日は早く帰ると思ってたからみんな待ってたのよ」
「ごめん、色々とやりたい事が沢山あって集中しちゃって…」
「まあいいわ。夕食を食べる前に、明日の服が出来たから着てみて」
ララが持ってきた服は…煌びやかなまさに貴族という感じの衣装だ。
これを着るのか…お城でのパーティー以来の正装だ。
その時よりも数段煌びやかになっている。恥ずかしい。
スーツのような格好のが僕は好きだ。
だが、ララとレイが選んでくれたものだ、有難く受け取ろう。
僕は着替えをし、みんなのいる所へと戻る。
「どうかな?」
「いい感じ」
「ルイフ君似合うよ」
「ルイフ様、素敵ですわ」
「ルイフ様…カッコイイです」
「ルイフ様…いいです」
「そうね、いいと思うわ。これで明日はバッチリね」
そう言えばみんな貴族だから、こう言う格好慣れてるんだった。
僕だけか、違和感感じてるのは。僕も一様貴族の家系だけど田舎の辺境男爵家に煌びやかさはなかった。
その後、僕は家具とか調度品だったり、何を揃えたらいいかわからないと言ったら、明日の爵位の授与式が終わったら一緒に観に行く事になった。
街を見たらどんな反応をするだろうか…
この世界から見ると異様な建物に見えるかも知れない。
だが、綺麗な景色や外観に対する意識はどの世界も共通だと僕は思っている。不安だが自信を持って行こう。




