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episode:67




僕は教皇派の貴族の家へと向かう。

まずは、西側のバファエルの屋敷を探す事にした。


うん、確かに…これは探すまでもなかった。

他の家より遥かに大きい、全裸像が飾られている…


これはバファエル本人だろうか?

こんな卑猥な像を飾るとはどれ程自分に自信があるのか。

男の象徴部分がとても大きく作られている…


屋敷の前に着くとその像は扉の外に作られており、参拝が出来るようになっているようだった。

子宝祈願でもさせるのだろうか…


門には二人警備しているものがいるようだ。

僕は壁を乗り越え庭へと入る。


庭には8人の警備兵…厳重だ。

どこから入ろうかと僕は悩んでいた。


「ルイフ、ここの地下室にとても衰弱した女の子達がたくさんいるわね」


「地下室なんて見当たらないけど…と言うか嫌な予感しかしないんだけど」


「あっちに大きな木があるでしょ?あそこの裏に隠されてるようね」


んー…今はする事があるが。とりあえず確認しない訳にはいかないし地下を先に見にいくか。


僕は大きな木の裏へと回る。

警備…はいないようだな。


木の裏には草が無造作にかけられた場所があった。

そこの草をどかすと地下への扉が現れた。


「ここか…」


僕は扉を開けてみる。中は薄暗い…奥の方に光が見える。

そっと扉を閉め奥へと向かう。


「い、いややめて、きゃー誰か助けて」


「はっはっは。もっと叫べ。誰も助けなんて来ないがな。その顔を見るのが最高なのだよ」


叫び声が聞こえる…これは叫び声というより発狂に近いような…

僕は恐る恐る光が漏れる部屋を覗き込む。


そこには裸の女の子が二人、一人はぐったりとしていて倒れている。

もう一人は必死に叫んでいる。


その前にいるのは…外の像で見た人物だ。

バファエルか…何をしているんだ。


「そろそろいい頃合いだな。お前のも頂こう」


「い、い嫌。やめて…お願い。やめて」


「その顔、いいのう。恐怖に震えた女の処女の血の味は最高だからの」


なんて趣味持ってるんだ…こいつは。

倒れている女の子は…きっと血を無理やり出され飲まれた後なのだろう。痛みで気絶したのかもしれない…。


バファエルが襲いかかろうとしている所に僕は近づき手刀で気絶させる。


「うおっ」


あ、ちょっと強過ぎたかな?手刀なんてした事ないからとりあえず首の後ろ辺りを強めにチョップしてみたのだ。


うん、気絶してる…泡吹いてるが大丈夫だろう。


「大丈夫?」


「ひゃ…。あ、あなたは」


「僕は偶然通りかかった冒険者だよ」


「助かったんですか…私」


「うん、もう大丈夫。怖かったね」


安心したのかがっくりと膝を落として泣いている。

それにしても落ち着いてみるとこの部屋凄い血生臭い匂いがする。


そして倒れている女性…よく見ると下半身が血まみれだ。

触れてみると…息をしていない。


血を流し過ぎたのだろう…助けれなくてごめんね。

こんな酷い状態を見る事になるなんて、言葉が出ない。

少し僕が来るのが遅れればこの女性もそうなっていたのか。


あまり長居は出来ない…ので少し申し訳ないが。

外へ向かう事にする。


「あまりここに居ると見つかってしまう、だから怖い思いした所悪いけど…外へ行こうと思う。他にも君みたいな女性はいるのかな?」


「は、はい。すみません。大丈夫です。私と…そこにいる女性以外はいないと思います。多分、他の女性はその人みたいに…」


全員血を流して死んでしまった…という事か。

なんて事をするんだ…。悪魔のような人物だ。


僕は…気絶しているバファエルを女性が付けられていた拘束具で繋ぎ、服を風魔法で切り刻み、ついでに髪と下の毛をツルツルにした。


本当はもっとやってやりたいが…日本人としての記憶が躊躇させる。

こんな奴の子孫が残るのはこの世界のためにならない…

僕は…切ってやろうと思ったが、男として怖くなり出来なかった。


子供じみた悪戯と帳簿を盗みバファエルの精神状態を悪くさせる。

これくらいしか出来ないけど…少しは浮かばれる人もいるだろうか。


「ルイフ…あまりこういうのは言いたくないんだけどね。呪属性の魔法を使えば、酷い行為をすることを禁止させたり出来るのよ。契約魔法と違って、相手の承諾はいらないの。ルイフにはあんまりそう言う魔法を知って欲しくはないの。でも…この現状は私も許せないのよ」


僕はバファエルに魔法をかけた。

イメージしたのは…人を傷つける行為を行ったり、悪事を考えると尿漏れが止まらなくなる。


痛みを伴うよう最初は考えたが、それよりもこちらの方がバファエルには辛いだろう。痛みで気絶されてしまっては意味がないのだ。


僕はとりあえず…毛布を女性にかけ、抱きかかえみんながいる部屋へと戻った。


コンコン


「誰かしら?」


「僕だよ」


ガチャっ


「早かったわね?っと…また女を拾ってきたのかしら。しかも目が赤く腫れてる。無理やり連れてきたりしてないでしょうね」


「違うよ…とりあえず中で話すから。この子を保護してて欲しいんだ。ついでにお風呂にも入れてあげて」


「はぁ…わかったわ。サーナ任すわね」


「わかったよ。ルイフ君…ちゃんと訳は聞くからね」


僕は訳を話した。

少し濁そうとしたら、ララとレイは大丈夫と言うので、そのまま伝えた。二人は動揺していたが…さすが王族と宰相の娘だろうか、すぐに落ち着いた。


「ルイフは厄介事を持ってきすぎ」


「そうね…なんで外へ出るたんびにトラブルと遭遇するのよ」


「そんな人を毎回事件ばっか起き現場に居合す名探偵みたいなのと一緒にしないでよ」


「何を言ってるかわからないけど…少しは反省して」


「ごめんなさい」


軽くスルーされ…怒られてしまった。

しかし、僕は好きで遭遇していない…某名探偵も同じ気持ちなんだろうか。


とりあえず、任せて大丈夫との事なので僕は再びバファエルの屋敷へと向かう。


屋敷の警備は先程と同じだ。まだバファエルに気付いていない。

というか…本人以外で誰が知ってるんだろう。


あんな趣味人には話せないよな。


僕は屋敷の窓から書斎室のような場所を見つけたので、

窓を割って…なんて事はせずテレポートで中へと入った。


煌びやかな調度品が並ぶ書斎室。恐らくバファエルの書斎に違いない。しかし、どこを探せばいいのだろう。

隠し場所…か。こういう時本棚の本をどかすとスイッチがあって裏に隠し扉がとか。そんな訳ないか。


僕はとりあえず策もないため、本棚の本を全て魔法で浮かして見る。

特に何もないようだ。

そう上手くはいかないか。


本棚もついでにどかして見る…

すると。


「あった…」


まさか本当にこんな所に扉があるとは…

スイッチみたいなハイテクではないが、本棚で隠した隠し扉だ。


いくつもの鍵がかけられて厳重にしてあるが、僕には関係ない。

時空魔法で全て切断していく。


部屋の扉を開けると中にはぎっしりと白金貨や黒金貨が入った箱や、古い本、そして恐らく裏帳簿だろうと思わしき書類。その他にも貴重そうな魔道具などが沢山あった。


古い本を気になって取ってみる…

悪魔の書と書かれている。


中には悪魔との契約方法が書かれていた。

その中の一つに処女の血で体内を満たし続けるとある…

これを見てこんな事をしていたのか。


悪魔と契約すると…寿命が10倍ほどに伸びると書かれている。

後は闇魔法…そして魔力量の増大など人間の欲を駆り立てるような内容が書かれていた。


僕はその本を即座に燃やした。


その他白金貨や黒金貨…

迷ったが全て頂戴することにした。敵国の悪い人物からの搾取はいいよね?消して盗みではない…と納得する事にした。


後でわかったのだが、白金貨が5万枚 黒金貨が800枚。

日本円にすると総額1兆3000億円!ものお金を隠し持っていたのだ…


帳簿を見た限りこのお金は全て悪事を働いて稼いだお金とわかった。

有効活用させて頂こう。


勿論、本棚はずらした状態で放置だ。

書斎に戻ったらとてもびっくりするだろう。それよりも全身の毛や拘束された状態に驚いてそれどころじゃないかも知れない。


僕は宿泊施設へと帰還する。

転移で扉の前へと戻った。


コンコン


「ルイフね」


「え、あ、うん」


ガチャっ


「なんでわかったの?」


「元々この部屋に人なんて来ないのにルイフが行って20分程よ?丁度戻ってくる時間くらいだと思ってたのよ」


「そっか、僕の方は完璧だよ。帳簿と戦利品を手に入れてきた」


「流石ね。戦利品って何よ?」


「魔道具と裏帳簿に書かれてた隠し金?」


「持って来ちゃったのね…」


「あれ、敵国の悪い人の悪いお金だよ…ダメだった?」


「いえ、悪くはないわ。役立てましょう」


「うん、僕の街の資金に使おうと思う」


「それで一体幾らあったのよ」


「白金貨が5万枚と黒金貨800枚かな」


「ルイフ…どんな街を作る気よ。国の運転資金を超えてるわよ。ルーンステラ王国の今年の運転資金が大体黒金貨300枚くらいね。お父様には言ったの内緒だけど私の家で資産が黒金貨20枚程かしら」


ララの家金持ちだ…

黒金貨20枚って200億円だよ。


日本の国家予算とは比べものにならないけど…

この世界で黒金貨20枚はかなりお金持ちに入るのではないか?


僕の実家は白金貨を持ってるかすら危うい…

田舎の町では銅貨と銀貨で十分だからなー。


「実家の事考えてたのでしょ?ルイフのお父様の爵位の男爵だと給金は年に白金貨1枚ほどね」


まさかの白金貨持ってたんだ。と言っても町の運営にまで使ってるからお金も余らないんだろうな…


「僕って今かなりお金持ちじゃない?」


「かなりどころじゃないわよ。王族よりもお金持ってるわよ、詳細なところはわからないから予想だけど…レイも知らないだろうしね」


こうして僕は大金を手に入れたのだった…

それから僕の人生は急落した、なんて事にはならないように気をつけよう。と言ってもこの世界で僕はコンビニバイトをしている大学生ではないのだ。冒険者としてもそこそこは稼げるし伯爵位を貰えたら給金も貰える。お金に取り込まれるような事はないだろう。


前世の僕がこんな大金手に入れてたら狂った人生になっていたと思うが…。


「ルイフ君。戻ってたんだ」


「サーナ、ただいま。あの女性どうなった?」


「今は落ち着いて眠ってるよ」


「そっか、なら良かった」


「うん、それでどうしよう?あの人…親に売られたみたいで…行く宛もないみたいだよ」


お金と娘を取り替えたのか…

この世界では奴隷もいるし、人身売買は特に珍しい事ではない。

けどやっぱ、おかしいよ。そんなの。


「屋敷でメイドにでもなってもらおうか?」


「うん、ルイフ君ならそう言うと思って起きたら伝えようって話してたんだ、本戦が終わるまでは私が面倒見とくね。応援出来ないのは残念だけどみんなは本戦頑張ってね」


屋敷も狭くなって来たし、早く街作らないと…

家の改築に時間をかけるよりも新しく屋敷を作った方が早い。


「サーナ有難う。頼むよ」


いつも頼ってばかりだ、お金も余裕が出来たし何かプレゼントをしたい。小説などで良くあるシャンプーやトリートメント、化粧品…日本の物が渡せたらなー…お取り寄せスキルが欲しい。


ないものを言っても仕方ないので僕が出来る最善な物を送ろう。


時間も経ち部屋に戻らないといけないので僕は一旦戻る事にした。


「ただいま、遅くなった」


「ルイフ遅いよ、タイラ先生が見回りに来て誤魔化すの苦労したんだから」


「そうでござるな、ルイフ殿は食べ過ぎてトイレに籠ってる事になってるでござるよ。ウインナーの食べ過ぎの話をしたら納得してくれたでござる」


まじか…僕は長時間トイレでう●こしてると思われてるのか。

あれから2時間以上経っているがいつタイラ先生来たんだろう。

2時間も籠ってると思われてたらなんか嫌だ…


「あ、ありがとう。助かったよ。もっと違う言い訳だともっと良かったけど」


「咄嗟に思いつくのがそれしかなかったんだよ」


「下手な言い訳はバレるでござる」


否定出来ない…

聖女や女性を救っていたなんて言い訳出来ないもんね。

二人を信用してないとかじゃなく巻き込みたくない。


明日1日は婚約者+ミナと観光予定だ。

午前中は最終の調整の訓練時間が取られている。


午後から観光予定だ。本戦前で就寝時間も早く取られているため夕方には戻らないといけない。


明日はトラブルのない1日になりますよーに。


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