episode:65
今年も最後です。まだ掲載し始めてあまり経ちませんが慣れない文章の中、読んでくださった方ありがとうございます。来年も更新頑張っていきますので、是非続きを読んで頂ければと思います。
ありがとうございました。
そろそろ自由時間も残り僅かだ、僕達は雑貨やアンティークと言っていいのかガラクタなどが売られている面白そうな場所を見つけて売り物を見て回っていた。
僕は見ながらもチョコレートの作り方を思い出しながらイメージの中で製作中だ。
「あら、今代の聖女がいるわね。街中で隠れているようね。さっきの暗殺者達が動き回ってるのが見えるから、追われてるのかしら」
チョコレートの事を考えているとソフィアが急に変な事を言い出した。
聖女…
追われている…?
あれっ、それマズイよね。
「えっ聖女が追われてるの?」
「だからそう言ってるじゃない」
「ごめん、ちょっと考え事してた」
「どうせロクでもない事でしょうに…ニヤニヤして何考えてたんだか」
ぐっ…そんなニヤニヤするような変な事じゃないが、否定できるほどの事でもない。悔しいが…確かにどうでもいい事だ。
「それより、何処にいるの聖女」
「そこにいるじゃない」
「え、何処?」
「そこよ」
「えっ 置物じゃないの?」
「その中よ」
怪しい…近寄り難い置物の中に隠れているようだ。
ハニワ…?いかついハニワのような置物。確かにここの中にいるとは思わないか…後ろは壁だし置物に目がいくからいい隠れ場所かも。
「ロッツ、ケンジちょっと用事が出来たから先に帰ってて」
「わかったよ、遅くなると先生達がうるさいからね」
「わかったでござる」
「うん、早めに戻るよ」
さて…僕は怪しい像の後ろ側へ気配を消して近ずく。
どうしようか…とりあえず。
コン コン コン
像を叩いてみた。
「ひゃっ」
像がビクッと震え女の子の声が聞こえた。
コン コン コン
像がピクピクと小刻みに震えている。
「あの、誰かいらっしゃいますか?」
「いないです、誰もいないです」
この聖女は馬鹿なのだろうか…答えてしまっている。
「えっと…返事が返ってきてるんですがいないんですか?」
「そうです。いないです。だから何処かへ行ってください。お代なら後でいくらでも払いますから」
お店の人だと思っているようだ。
「お店の人ではないですよ。今いないようですね」
「では、どなたなのですか?なんでしつこく話してくるんですか?」
「何というか…味方なので安心してください?」
「……なんでハテナなのですか」
「ルイフ、何してるのよ。助けに来たから俺について来いって言っちゃいなさいよ」
「いやいや、ソフィア…僕何が起きてるかわかってないし…初対面だよ?」
「僕は冒険者のルイフだよ、王国の人間だから…何があったのかわからないけど困ってそうだから助けにきたよ」
「王国の冒険者さんですか…?なぜこんなところに…」
「学園の代表選手だから本戦に参加しに来たんだよ」
「そうだったのですか…でも危ないのでここから離れた方がいいです。学生さんには難しい問題なのです」
「そうですか…では僕は帰りますね」
「え…帰っちゃうのですか?」
「はい、危ないからとおっしゃったので学生には荷が重いと思いまして」
「それは…何というか。言ってみただけです。簡単なので行かないでください」
「いえ、簡単でも僕はただの学生なので、そろそろ戻ります」
「待ってください。私は聖女です」
「わかってますよ?聖女がどうしましたか…?」
「聖女ですよ?」
「僕にとっては聖女より聖女と思える女性がいますのであまり興味はありません」
「…そんな…聖女の私になびかない人なんていないはずなのに…ボソボソ…ボソボソ」
「美女で聖女な私を好きにしていいのですよ?」
何を言っているんだこの聖女は…
関わると面倒くさくなりそうな匂いがする。
向こうから断らせよう…
「では、あんな事やこんな事をしてめちゃくちゃにしていいのですか?」
「へっ…そ、それは…」
「ダメなんですか?さっきのは嘘ですか?」
「い、いいですよ。好きにしてください、だから行かないでください」
あれ。どうしてこうなった。
向こうから嫌がってくるはずなのに…受け入れられてしまった。
「わかった。じゃあとりあえず出てきて貰ってもいい?」
「クシュン…今は…」
「今は…?」
「服がないのです」
「裸って事?」
「そんな…裸ですけど。恥ずかしいから言わないでください」
「聖女って変態だったんだ。裸で怪しい像に入ってるって…」
「違います!服を着ていたらこの像に入れなかったのです。だから…」
「理由はわかった。でも出てきてくれないとどうしようもないし、それに服ないから変わらないよね」
服を僕が用意するって選択肢もあるのだが面倒くさい。
それに同じ年齢くらいの女の子と聞いているし、まあきにする程ではないだろう。僕には素敵な婚約者達がいるのだ聖女になんて何も感じないさ。
「わ、わかりました」
僕は周りから見えないように結界を張った。
これで暗殺者に見つかる事もないだろう。
「あ、あの」
「今度はどうしたの?」
「で、出れないです」
聖女ってもっとなんだろう、僕のイメージが崩れていく。
僕は像の横の穴から手を入れ像を開けようとする。
「きゃっ、どこ触ってるんですか」
ものすごーく柔らかい感触がした。
もう一度…むにゅ。
「きゃっ…は、早く出してください」
これ以上は嫁達に罪悪感が出るので…やめておく。
僕は像をパカっと開いた。
出てきた聖女に僕は言葉が出なかった。
か、可愛い。それに胸が…
「そ、そんなに見ないでください」
泣きそうな顔をしながら手で胸を隠している。
僕も恥ずかしくなり目線を下に逸らす。
「だ、ダメー。そっちは見ちゃダメーー」
聖女が突撃してくる。
むぎゅ。
この感触は…天国か。
聖女の胸で目を塞がれている。
30秒…が経過した。
そして1分が経過した。
「く…くるしい…」
「あ、ごめんなさい」
本当に天国へ行きそうになった。
僕は持っていた嫁用の服を聖女へと渡した。
考えが甘かった…この世界の美女はレベルが桁違いなのだ。
その美女が裸で出てきたら冷静でいるのは…無理だった。
動揺を悟られないよう僕はポーカーフェイスを貫く。
「いいよ。気にしてないから」
「私の初めて奪ったのに、気にもしてくれないのですか…?」
「誤解を生むような言い方しないの。君がぶつかってきたんだよ?」
「そうですが…私の胸触りましたし。責任とってくださいね」
「責任と言われても僕には婚約者だっているし」
「じゃあこの街から私を王国まで逃してください。そしたらもう何も言いませんから」
「王国って僕、本戦に出るから…まだ5日は滞在するよ?」
「えええ、それは困ります。見つかってしまいます」
どうしよう。嫁達を頼るしかないよな…
だが、やっぱりこうなったとか言われそうだな。
また女の子連れてきた…とか思われるのだろうか。
僕悪くないよね…はぁ、仕方ないか。
転移は見せられないし。レイ、ララ、サーナの3人に事情を説明して頼むしかないかな。
「事情は後で聞くとして、3人だけ君の事話してもいいかな?」
「君じゃなくて私は、アミュート・アルテミスです。アミって呼んでください。それが必要な事なら構いませんが…あまり人を巻き込みたくないのですが」
「わかったよ、アミ。でも必要な事だから、とりあえず僕達の泊まっている所まで行くから、僕におぶさってもらってもいいかな?」
「おぶさるのですか…?」
恥ずかしそうにしているが…僕が気配を消し結界を張って移動するのが一番安全だ。
「そうだよ、見つかりたくないでしょ?」
「わかりました。でも…いえ、なんでもありません」
僕はアミをおんぶして宿泊施設へと戻っていく。
途中、アミの薄い服越しの胸が僕の理性を揺さぶるが何とか気配を隠したまま宿泊施設に着いた。
後は3人の部屋へと行くだけだ。
男女分かれているので見つからないように行かないとやばい。
場所はソフィアに聞いて分かっている。大丈夫だとは思うが慎重向かう。
部屋の前に到着した。
トン トン
トン トン
「誰かしら?」
「僕だよ、ルイフ」
ガチャっ
「どうしたのかしら?寂しくなって来ちゃったの?」
「それは否定出来ないけど、ちょっと訳があって」
ララはちょっと照れているようだ。
「ララちゃん誰か来たの?」
「ルイフよ」
「ルイフ君だー。会いに来てくれたんだ」
「絶対来ないはずのルイフが来た、なんかよくない事」
レイ鋭い…だが僕だって会いに来るかもしれないじゃないか。
まあ、そんな恥ずかしい事出来ないから当たってるのだが。
僕は結界を解く。
「またルイフ君が女の子…連れて来た」
「その子誰よ」
「女…」
「えっと…聖女?」
「な…あれだけ言っておいたのに本当に聖女様を連れてくるなんて…呆れてしまうわね。諦めるしかないのかしら…」
「ルイフ君…まさか聖女様までお嫁さんにするとか言わないよね?」
「戦争…」
「レイ物騒な事言わないでよ。それにお嫁さんにしないからね?」
僕は訳を話した。
ロッツとケンジと屋台を歩いていると…
変な像に聖女が入っていて、僕は関わらず行こうとしたけど、
無理やり…
そう脅されて仕方なく助けてしまった。
「脅されてってひどい…私の初めてを奪っといて」
「聞き捨てならないわね、ルイフどういう事」
「ルイフ白状する」
「ちょ、ちょっと待って。アミ、誤解を招くような事言わないでよ」
「じゃあ、そんな言い方しないでよ」
「分かったから…とりあえず訳を話して貰えるかな?」
「わかりました。私の名前はアミュート・アルテミス今代の聖女を務めております。アミで大丈夫です。ご存知かも知れませんが今聖国は2つの勢力に分かれています。それが教皇派と聖女派です。と言っても私はお飾りに過ぎません。実際には教皇派と聖女派の貴族達と言っていいでしょう。
昨日私は教皇と教皇に仕える者達の会話を聞いてしまったのです。対抗戦の本戦を利用し、他国の責任として聖女を始末すると。このままでは聖魔法しか使えない私は殺されてしまいます。なので処分品であるあの像に…私が聖女と分かってから仕えてくれている側付きの者に頼み入れてもらってそのまま売り払って貰ったのです。
まさか露店売りの商人に買われて外で過ごす事になるとは思わず出る機会を無くしていました。
そこへ来てくださったのがルイフ様です。誰も気付いてくださらない…私を追っている者にも見つかってはいけない。そんな状況で賭けでした」
「その側付きの人やばいんじゃないの?」
「いえ、私が逃亡した時は別の用事で出掛けているように予定を組んでおいたのでいつ逃亡したかわからなければ疑われる事もないでしょう」
「理由は分かったわ。それで初めてを奪われたと言ったのはなんだったのかしら?」
ぎくっ…そこを突っ込むのか。
ややこしい事になる予感しかない。
「それより…」
「ルイフ黙って」
「これは聞かないといけないよね」
「私の…胸をルイフ様に」
顔を赤くして…恥ずかしそうに言うアミ。
確実に誤解を生む仕草だ。
「ルイフどう言う事よ…触りたいなら私達のを触ればいいじゃない。それとも大きいのがそんなにいいの?」
「ルイフ君…私も聖女様と同じくらいあるのに」
「…」
レイは自分の胸を触って黙ってしまった。
これから成長するから大丈夫だ!
と言ってる場合ではない。誤解を解かねば。
「誤解だよ…アミを像から出す時に手を像の中に入れたら裸だったから当たってしまっただけだよ」
「本当なのかしら?聖女様」
「ええ本当です。誤解をさせてしまってすみません。それにアミとお呼びください。あなたがルイフ様の婚約者の方ですか?」
「ええそうよ。と言ってもここにいる3人は全員婚約者よ。もう2人王国に残っているわね」
「えっ5人も居るんですか?もしかして…王族の方でしょうか?」
「いや、ただの冒険者だから…気にしないで。王族はそこにいるけど」
「ルーンステラ王国第二王女レイナード・ルーンステラでございます」
いきなりレイが姫様モードになると違和感が凄い。
「王女様でしたか。…無礼失礼しました」
「いい、レイと呼んで」
こっちのが自然で僕は好きかな。
「いいのでしょうか…?一国の王女を名前呼びなんて…」
「いい。それにあなただって聖女」
「そうでしたね。レイさん…でいいですか?」
「さんはいらない」
「レイ…これでいい?」
なぜか顔が赤くなっている…
まさかそっちもいけるのかこの聖女。
「うん、それでいい」
「私はララよ。父が宰相をしているわ」
「私はサーナ。子爵家だから一番身分は低いかな」
「僕もルイフで」
「レイに、ララ、にサーナにルイフ。名前で呼ぶのは初めてだから緊張する。聖女になってからずっと仮面を被ってたし、聖堂の奥で一人ボッチだったから…」
恥ずかしさと緊張で赤くなっていたのか…
それにしても聖女って大変だな…監禁みたいなものか。
「それは酷いわね。これからは私達友達よ」
「友達…ありがとう」
アミは涙を流して喜んでいる。
仲良くなれたようで良かった。
「ルイフは何者なの…王女に宰相の娘に子爵家の娘って」
「だから本当にただの冒険者だって…実家も田舎の男爵家だし…」
「本当なの?」
「本当よ、惚れた女の弱みってやつね」
「ね、私達が惚れちゃったんだよー、身分の問題は解決するため動いてる感じかな?でもまだ内緒だから言っちゃダメだよ」
「アミもルイフのお嫁さんになる?」
「えっ…お嫁さんって私が…ルイフのお嫁さん?」
「そうね、ルイフの反応から見て好きなタイプだと思うわ。それに仲良くやってけそうだしアミならいいわよ」
「私も賛成ーアミちゃんもルイフのお嫁さんになろうよ」
ちょっと待ったー!!
フラグをきちんと折って来たのに、なぜ…そうなる。
僕は会話の内容についていく事が出来ない。
もはや何を言っているのか…考えがついていかない。
「でも…私がいるとみんなに迷惑がかかってしまいますよ?ルイフもそんな私じゃ嫌ですよね?」
「まとめて僕が守るから大丈夫だよ」
しまった、ついカッコつけてしまった。
「決定ね。と言っても後二人いるから確認取ってからだけど多分大丈夫ね」
「それにしても本当に聖女様をお嫁さんにしちゃうなんて…びっくりだね」
「僕が一番びっくりしてるよ…と言うか勝手に決めていいものなの?」
「普通はダメだけど、このまま王国に亡命する感じになるわよね?私達に匿ってもらって王国にでも逃亡しようって感じかしら?」
さすがララだ。全部わかっているようだ。
「さすがだね。その通りだよ」
「それにしてもアミ、ルイフで良かったわね。悪い人間だったら利用されて酷い目に遭ってたかもしれないわ」
「本当にそう思います。でも適当に選んだ訳じゃないんです。ルイフからは何か温かい、大丈夫だよって思わせてくれるようなオーラのようなものを感じたんです」
なんの事だろうか?フェロモンってやつか…
「私がいたからかしらね。一様聖女としての力を受け継いではいるようだし何か感じ取ったんじゃないかしら」
なるほど…ソフィアの気配を僕と間違えたのか。
「じゃあこれからの事を話しましょうか」




