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episode:64

今年も後1日…





翌朝、聖都へ向けて出発するルイフ達。

まだ馬車で数時間の道のりがあるが、山の上に建つ大聖堂が遠くに見える。近くにいったらかなりの大きさなのだろう。

宗教的な国は好きではないが…どういった国なのだろう。


「聖女って僕達と同じくらいの年齢らしいけど、どんな子かあった事あるの?」


「あら、聖女にまで興味持ったの?」


「いや、違うよ。国を象徴するのが僕達と同じくらいの子って聞いたからどんな子なのかなって」


「私はないけどレイは一度あるわよね?」


「あるけど、変な仮面被ってたから顔はわからない、常に厳重に護衛がいたから、挨拶程度」


「ルイフ君、まさか聖女様までお嫁さんにしたりしないよね?」


「そんな訳…ないって。会った事ないし、聖国の象徴だよ?そんな事したら殺されちゃうよ」


「そうね、聖女に手を出したら国家問題ね。下手したら戦争…ううん、間違いなく戦争ね」


はははっ…女性問題で戦争か、怖い怖い。

聖女と関わる機会なんてまずないと…思うけど。


数時間程馬車で移動するとラファル大聖山の麓へと到着した。

見渡す限りが全て大きな山の壁だ。


ペンデルへの道として大きく山が切り開かれて綺麗な道になっている。大きな城壁で囲まれその中央に大きな聖堂がある。

近くに来るとその大きさに驚かされる…

お城と言った方がいいのではないかと思う。


山の中腹に位置するので街の大きさもそれ程大きくないのかと思っていたが、王国に近いくらいの広さがあるらしい。

この山大きすぎるでしょ…と言うか、昔この街を作ったと言われてる大賢者さん…凄すぎだ。


麓では厳重に馬車や持ち物の検査をされた。

学園長が向こうの責任者と話しているようで今は待機状態だ。


「大聖堂凄いね。観光できるのかな?」


「ムリよ。聖国の国民、それも身分の高い者しか入ることすら出来ないみたいよ?庶民は別の小さな神殿で祈りを捧げるらしいわ」


「なんか…それさ、おかしくない?」


「そうね、全てのものに幸福と平等の導きを。だったかしら。でもね、国とはそういうものよ。ルイフ」


そういうものなのか…

確かに日本で聞く宗教も上に立つ者だけが美味しい仕組みが取られていた。下から吸い上げ上に立つ者は豪遊…捕まってる人もいたな。


聖国の場合は、国そのものが宗教みたいになってるから検挙する事も出来ないのだろうが。


検査が終わったみたいで、城壁の中へと馬車を進める。

僕達が泊まるのはペンデルの街の西に位置する競技場の隣の宿泊施設だ。


各国の代表選手や主要な人物が泊まっても余るほどの部屋数があるらしい。競技場を囲むように3棟の建物がある。


まずは宿泊施設に向かうのだが、競技場の大きさに驚く…

僕の場合東京ドームくらいしか比較するものがないのだが…何個分だろうか?戦うだけなのにそれ程の面積がいるのだろうかと思うくらい広い。


後でわかったのだが、国民全員が集まり祈りを捧げる儀式が年に一度あるらしくそのためこれだけの面積の競技場が作られたらしい。

大きな競技場が4つくらいが複合されたような施設だ。


国民は住むエリア毎に分かれて祈りを捧げるとか…

想像するだけで、胡散臭い国だ。

しかし、街としてはとても綺麗で、前世で言うと歴史的建造物がとか

言いたくなるような美しい街だ。


宿泊施設に到着する。外観もそうだが、中も綺麗だ。

他の国の代表などを泊めるための施設だ、この施設一つにしても国の力を表すのだろう。


「広いわね、王国にもこういった施設欲しいわね」


「王国ってどこに泊まってもらうの?」


「王国は簡単な大会参加者用の施設があるわね。主要な方には高級宿泊施設に普通に泊まってもらうわね。本当に寝るくらいしか出来ないから。ここは凄いと思うわよ」


聖国はお金に余裕がある国なのかな?国民から吸い上げてるだけだと思うが…


「国民から吸い上げてるだけの国ではないのよ?聖国の聖水は弱い魔物を近寄らせない効果もあるし、アンデット対策としてどこの国でも使われているのよ。とても高価だけどそれだけの効果があるのよ。それに聖魔法が使えるのもこの国で洗礼を受けた神官だけよ?」


へー…ただの宗教国かと思ったが違ったようだ。

勝手に決めつけてごめんなさい…。


聖魔法…スキルとはまた違った魔法。

どうやって覚えさせているのだろう?ソフィアの力が弱まってからはスキルがないと魔法を使えないはずなんだけどな…


「今日はどこへ観光へ行くの?」


「その事だけど、今日は自由時間も短いしたまにはロッツとケンジと回ろうと思って」


「あら、そう。たまには女同士もいいわね」


「明日は私達と回る。ルイフわかった?」


「うん、わかってるよ」


僕は部屋へと移動する。3人部屋なのだが勿論ロッツとケンジと一緒だ。


「ロッツ、ケンジ」


「あれルイフじゃないか。姫様達のところにいると思ってたけど」


「いや、今日はロッツ達と回ろうと思って」


「どんな心境の変化だい?」


「喧嘩でもしたでござるか?」


「ううん、喧嘩もしてないし心境の変化もないよ。ただ単にたまには男同士で回ろうと思っただけだよ」


「そうでござるか、では一緒に回るでござるよ」


「そうだね、どこへ行こうか」


「とりあえずまずは大聖堂でしょ」


僕達は大聖堂へと向かう事にした。

宿泊施設前には馬車が用意されているので自由に使う事ができる。


馬車に乗り込みメイン通りである大聖堂が見える場所へと向かう。

各国の代表メンバーが集まってる事もあり、メイン通りは人であふれていた。沢山の屋台が出ておりお祭り状態だ。

屋台巡りをするだけでもとても楽しいだろう。


生徒達は皆国がわかるよう、胸にバッチを付けている。

帝国の生徒や聖国の生徒もこれで判断出来る。

他の国の代表はどんな人なんだろうか。


大聖堂の前に着いた僕達は広いメイン通りから北へと進み大聖堂の前にある長い階段の下に到着する。

中には入れないよう衛兵が見張っているようだ。


「これは凄いね」


「本当でござるな、近くで見るとお城の様でござる」


「これが大聖堂…凄いとしか言えないね」


近くで見るとさらに大きく…言葉にならずただ呆然と見つめてしまった。周りで見ている人もただすごーい、綺麗とかばっかりだ。

カメラがないのが残念だ。セイラやネピリア、それに他の屋敷で待っている人達にも見せてあげたかった。


「あの中どうなってるのか気になるね」


「そうでござるなー」


「おい、お前達王国の生徒だな?」


「そうだけど、僕達に何か用?」


「そうだ、俺は帝国の代表選手、デミルゴン様だ。王国の代表選手がどんな奴か見たいと思ってな、どこにいる?」


「他の国の代表選手への干渉はダメだと聞いていないのですか?」


「そんな事は知っている。ただ見るくらいいいだろう。僕は聞いているのではない。命令しているのだ。さあ案内しろ」


「あいにく、帝国の方を存じ上げないのであなたが何者かわかりませんので。もしお会いしたいなら王国代表である学園長に取り次ぎましょうか?」


「な、帝国の上級貴族である、デミルゴン・オルテレオス様を知らんだと…父は有名なデミオロ・オルテレオスだぞ」


「そうだぞ、お前らデミオロ君の言う事は絶対だぞ」


「知らないです…」


「本当に知らないのか?既にCランク冒険者でもあるこの俺を…いずれS級になると言われているこの俺様を…」


「す、すみません」


「なに…、まあ、いい。だが覚えておけ。勝つのは帝国だ」


代表選手自ら情報を言ってしまうとは…なんとも残念な人だ。

各国の代表の事は基本伏せられている、戦略を立てられないためだ。

ただし、前年度も出ている人は隠しようがないのだが誰が出るかはわからない情報を与えてどうするんだか…

僕には関係ない事だが…嫁達に一応伝えておこう。


「なんだったんだろうね」


「そうでござるな…嵐のような人でござった」


「ああいう人に限って弱いってのが普通だけどCランクって言ってたし結構強いのかな?」


「僕って今どれくらいなんだろう…?ほとんど活動出来てなくてEランクのままだけど」


「ロッツは…Dランク上位くらいかな?剣技上手になったけど魔物倒す経験の少なさがあるからねー。後Cランクは盗賊の依頼もあるから人を殺す事も時には出来ないと自分を守れないからね」


「盗賊…僕には…」


「人を殺せる事が凄い事ではないでござるよ。圧倒出来れば問題ないのでござる」


「そうだね、殺さなくても無力化出来るならそれでもいいのかな?でももしファムが危ないってなったらロッツどうするの?」


「そりゃ…殺す」


「でしょ。そういう事なんだよ。大切な人を守るために振るうならそれは悪い事じゃないんだ」


「ありがとう、ルイフ。王国へ戻ったら僕も冒険者としての活動を頑張ってみるよ。休みの日くらいしか行けないけどね」


「それじゃ拙者とパーティーを組むでござる。同じくらいの者同士ちょうどいいでござるよ」


なんかパーティーとか楽しそうだなー

ここで僕が入ってしまってはきっと違うんだろうな。


大聖堂を後にし今は屋台を見て回っている。

この街に入ってから妙に視線を感じる。なんだろうか…


「ソフィア、誰かに見られてるみたいなんだけど…」


「ちょっと待って、今確認するわね」


気になったのでソフィアに確認して貰う。

こういう時とても便利だ。


「2人いるわね。聖国の暗殺者よ」


暗殺者に狙われるような事したかな?


「ただルイフだけを見ている訳ではないわね。複数の人を監視しているみたいよ。街中に30人程いるわね」


「ああ、本戦参加者の見張りかな?各国から来る訳だし厳重になるよね」


「それにしても暗殺者とは物騒ね。それより私を崇めていないのはなぜよ、ちょっと観光して見てたけどあの像私じゃないわよ」


「えっ違う神様を祀ってるって事?」


「そうよ。前に見た時はちゃんと私の像だったのに…何があったのかしら。それにあの像の顔どこかで…思い出せないわね」


しっかりしろよ、女神…

記憶力弱い女神ってどうなの。


とりあえず気にしなくてよさそうだし、いいかな。

しかし、暗殺者ってどこの国にもいるんだな。


日本にも影の暗殺者組織とかいるのかな?…怖いね世の中。


屋台を巡っているとちょっとした発見があった。

ウインナーだ。お肉を腸詰めにしハーブをかけ焼いてある。


「おじさん、3人分ください」


「はいよ」


「何を買うんだい?ルイフ」


「んー名前わかんないんだけど、美味しそうな感じがしたから」


「お前さん達ウインナーを知らないのか?肉を魔物の腸の中に詰めた料理だ。美味いぞ、勇者様の好物だったらしい」


そのまんまウインナーなのか。

結構前世と共通するものがあって不思議だ。


「魔物の腸って…大丈夫なの?ルイフ」


パクっ


うまーい。久々のウインナー、これはリピート確定だ。

沢山買っておかないと。


「って食べた。だ、大丈夫」


「うん、美味しいよ。早く食べて見てよ二人共」


恐る恐る二人はウインナーを口にする。


パクっ


パクっ


「う、美味いでござる」


「美味しい…こんな料理があるなんて」


「そうだろそうだろ。うめえに決まってる、何せ俺が作ったんだからな」


「おじさんこれ20本ちょうだい」


「そんなに食えるのか?坊主」


「僕だけじゃなくて友達にもあげたいんだよ」


「おう、それはいい考えだ。ちょっと待ってろ」


おじさんはウインナーを大量に焼き始めた。

なんか20本よりかなり多く見えるけど…僕の頼んだ分だよね?


「おじさん20本より多くない?それ」


「気にすんな。俺の料理を気に入ってくれたんだ。サービスだ」


「ありがとう、おじさん」


焼けたウインナーは全部で40本…おじさん倍はダメでしょ。

料金は勿論20本分だった。


僕は手にいっぱいのウインナーを少しずつ亜空間倉庫に移動させていく。ロッツもケンジも気づかない。二人もお代わりしたウインナーを食べるのに夢中だ。


2本を追加で食べ残り38本を収納した。


「ルイフ殿もう食べたでござるか…?」


「えっルイフ、もう食べたの?早くない?」


「美味しすぎてつい、一気に食べちゃった」


二人は、えっ…って目で見ているがここは押し切る!


「そ、そうなんだ。お、美味しいから仕方ないよね」


「そうでござるな…ルイフ殿なら、ありえるでござるのか…」


二人の事は置いといて美味しそうなものを物色する。

他にもカカオ豆を扱ってるお店があった。

そう!チョコだ。勿論甘くもなく、ただ苦味のある豆の状態で売っている。豆を潰して水に溶かして飲むらしいが、その苦味が一部に需要があるらしい…


カカオ豆は獣人の国ガルンバロンで取れるらしい。

ユグル聖国に行く前に少し本で調べて知ったのだが、

獣人の国は聖国領と川を挟んだ南東にあるらしい。

ちょっと気になるが遠いのでいずれ行ってみようと思う。


チョコレートで異世界の食文化を革命出来そうだ。

だが、作るのが大変と聞いた事がある僕に出来るかが不安だ。

マーニにやり方を教えて頼めば何とかしてくれそうだが、僕が作って喜ばせてあげたいのだ…。


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