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episode:62





僕は今ヨータスの町を嫁3人とミナを連れて観光している。

日本なら確実にインスタスポットになったと思う。


不思議な形の像や、変わった形の置物が色々な所に置いてある。

別名芸術の町ヨータスとも言うらしく、旅人が多いがデートスポットとしても有名らしい。


ヨータスの町にある、恋人の鐘を一緒に鳴らすと将来結ばれ幸せになると言われている。結婚前のカップルが多く観光に来るのはこのためだ。


日本でも似たようなのを聞いた事があるが、

テレビでも沢山のカップルが押し寄せているとやっていたな…

女の人はこう言うの本当に好きだ。

世界は変わっても同じようだ。


「綺麗な場所ねー」


「本当綺麗だよー。ルイフ君見てみて」


「地中海…みたいだなー」


「地中海?ヨータスだよ?」


「ああ、何でもないよ。みんなのが綺麗だけどね」


「ルイフのバカ、不意打ちずるい」


「全くよ。普段言わないのに、いきなりはずるいわね」


婚約者達は顔を赤くして不満を言ってくる。

恥ずかしいから普段は言えないんだよ。


「いいな…ボソボソ」


ミナの声は小さく、ルイフ達には届かなかった。


そのまま鐘のある場所へと向かっていく、婚約者達。

完全に鳴らす気でいるようだ…まだ婚約発表前なのにいいのだろうか。まさか3人共婚約者とは思わないから逆にいいのか?


鐘の前に着くと沢山の人が列をなしていた。

甘い香りがする?何だろう、嗅いだ事がある香りだ。懐かしい。


「いい匂いがするよー。何の匂いだろう」


「甘いお芋の香りよ」


「ミナちゃん食べた事あるのー?」


「ええ、前にお父様とここを通った時にね」


「ルイフ君、食べてからいこー」


「いいよ。レイもララも食べるよね」


「そうね、頂くわ」


「うん、待ってる」


僕、サーナ、ミナで屋台へと向かう。

列に並ぶといい感じに香りが流れてくる。上手い戦略だ。

こんな匂いが漂ってきたら買いたくなるに決まっている。


少し並ぶと僕達の番になった。

実際に現物を見て、何の匂いかようやくわかった。

焼き芋だ。皮があればわかったのだが、皮が剥かれて葉っぱに包まれている。


あー、いい匂いだ。落ち着く。

コンビニでも冬になると焼き芋やったりしてたな…レジにいると匂いが漂ってきて凄い食べたくなって、休憩中に買っちゃうんだよな。


レイとララが並んでいる列に戻る。


「お待たせ、はいこれ」


「ありがとう」


パクっ


うまーい。しっとりタイプのサツマイモだ。

ホクホクよりも僕は好きだった。


「美味しいね」


「美味しいですわ」


「ルイフ、もう1本食べたい」


「わかったよ、買ってくるね」


「あ、私も欲しい」


「二人共良く食べるわね」


レイとサーナは焼き芋の魅力にハマったようだ。

とてもわかるが、僕は我慢した。止まらなくなるからだ。


鐘を鳴らす番が回ってきたようだ。

みんな幸せそうに鐘を鳴らしていた。

幸せになって欲しいものだ。


「じゃあ、鳴らそうか?誰から鳴らそう…?」


「レイからね」


「うん、ルイフ鳴らしにいこ」


僕とレイは鐘を鳴らした。


カーン、カーン、カーン


「これで私達は幸せになれる」


「そうだね、幸せにするよ」


その後もララ、サーナと続き。恥ずかしいセリフを…

うあああ、前世の僕から考えられない言葉が次々と。これが自信のある人の思考なのか。


「次ミナちゃんだよ」


「わ、私は、恋人でもないからいいわよ」


「えー、しないの?」


「恋人がする鐘をなんで私が鳴らすのよ」


「観光に来たんだし、思い出作りにするって思えばどう?」


「ル、ルイフがそう言うなら…してあげてもいいわよ」


「うん、じゃあ鳴らしにいこう」


僕は手を引き、ミナと鐘の前に立つ。


カーンカーンカーン


「私も幸せになれるのかな。…ボソ」


僕はミナがボソッと呟いた言葉が聞こえたが…

何も言えなかった。


呟きだったので聞こえないフリをしてしまった。

どうするのが正解なのだろう。


「行くわよ。そろそろ自由時間終わりよ」


僕達の短い自由時間は終わり、僕達は別々の宿へと戻った。


「楽しかったかい?」


「楽しかったよ。二人は何してたの?」


「僕達は武器屋巡りをして来たよ」


「中々面白いものはなかったでござるな」


「聖国のものもいっぱいあるから面白いよね」


「ルイフは美女達とデートだからそりゃ面白いよね」


「ファムと回れないからって僕に当たらないでよ」


「で、ござるな」


「ケンジだって、思ってるよね?」


「拙者は故郷に許嫁を残してきている故、気にはならないでござるな」


「な、なんだって…ケンジまで僕を裏切るのか…ぼ、僕だって…」


「すまないでござる。そんなつもりはないのでござるが…」


「そ、そんな落ち込まなくてもロッツにはファムがいるでしょ、僕達全力で応援してるから」


「そうでござるよ。拙者達が応援してるからには百人力でござるよ」


「そ、そうだよね。僕だって…」


単純な奴だ。そこがまたいい奴なのだが。


「そうだ、ここの鐘の事は知ってる?よね?」


「幸せになれる鐘でござるな。あちこちに宣伝されてたので拙者でも知ってるでござるよ」


「帰りに寄る時までに、仲良くなればファムと鐘を鳴らせるかもしれないよ」


「ほ、本当にそう思う?出来るかな?」


「ああ、僕が全力で鍛えてあげるから、帰るまでに一度ファムと模擬戦をすればいい。勝てばファムはロッツ、君の物だ」


「おおおおお、ルイフ、君は天才か」


まあ、やる気があるのはいい事だ。

実際どうなるかわからないけど、お膳立てくらいはしてあげようと思っている。頑張れロッツ。


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