episode:59
メリークリスマス。
今日学園生上位50名はユグル聖国へと出発する。
朝食はご飯と味噌汁。マーニがウィスペンと協力して僕の希望した味を再現してくれたのだ。
落ち着くー。やっぱ日本人はこれだよな。焼き鮭があればさらに良い。今度鮭も買っておいて貰おう。
「みんなに渡したいものがある」
「何よ勿体ぶって」
僕は一つずつ武器を出していく。
「これはレイの杖、雷の属性を宿してあるよ」
「ありがと、ルイフ」
「これはララの弓ね。打った矢が爆発するから気をつけてね。魔力を込めたら矢が出る魔道具にもなってるから矢はいらないよ」
「弓なんて打った事ないけど便利ね…剣よりはみんなのサポートが出来るから私向きね。有難く頂くわ」
「サーナには槍だよ。氷属性を宿してる」
「ルイフ君有難う。ちょっと変わった槍だね?」
「薙刀って言って、上手く説明出来ないけどサーナが使いやすいように少し短めで作ってあるよ」
「セイラには剣だよ。重力の属性を宿してあるから切った所がどんどん重くなるよ。剣の修行をアミア達としてたって聞いたから剣がいいかなって」
「ルイフ様…留守の間アミア達と特訓して強くなりますわ」
「うん、頑張ってね」
「最後はネピリアだね。武器は扱ったことがなさそうだったから、短剣にしたよ。元々魔法を使うみたいだから斬ると回復する短剣にしといたから素早いネピリアにぴったりだと思うんだ」
「さすがルイフ様です。使いこなしてみせますね」
みんなに渡し終わった。これで少しはみんな強くなれただろう。
武器に振り回されてはいけないので本当は鍛えてからあげるつもりだったんだけど物騒だからね。過保護かもだけど…今の僕にとってとても大切な存在なんだ。
もし、魔王や邪神が現れた時、自分である程度守れるくらいの強さは持っていて欲しい。一緒に戦って欲しいとは言わないが。
ダンジョン都市ラビリオン、落ち着いたら僕も強くなるための修行をしに行こう。それにダンジョンってなんか冒険者っぽくて憧れるよね。
僕、レイ、ララ、サーナは学園へと向かう。
すぐ近くなのでギリギリに出れば間に合うのでとても楽だ。
学園の前には沢山の大きな馬車が並んでいた。
教師、生徒、護衛の冒険者含め合計72人が乗るのだ、これくらい必要なのだろう。
全員揃ったところで
アレイナ・フラフト学園長の挨拶が始まる。
今日は聖国へ向かう学生以外は休みだ。
「今日からユグル聖国へ向かう事になるわ。ここにいるのは優秀な生徒50名、本戦に出る代表は5名だけど皆しっかりとその目に代表選手の戦いを焼き付けて。そしてその戦いから得た物を活かせた者が次の代表選手になるのよ。今から馬車に順番に乗ってもらうけど、王国の学園生として恥のない行いを心掛けて行動するように。あなた達が王国の代表として行くのよ。いいかしら?ではみんな馬車に乗ってね」
馬車に乗る順番は実力順だ。
10人乗りの馬車が8台
先生達12名と冒険者10名が6人と4名ずつに分かれ前後を護衛する。
間に僕達学園生の馬車が入る感じだ。
残りの冒険者は真ん中の馬車に学生と一緒に乗るようだ。
馬車の順番はこうだ。
1:先生6名冒険者4名
2:代表選手5名
3〜4:学園生
5:学園生と冒険者2名
6〜7:学園生
8:先生6名冒険者4名
これで全員だ。
冒険者はAランクパーティー2組にBランクパーティー1組だ。
最初に自己紹介があったのでその内容を記載しよう。
◼️Aランクパーティー 奇跡の光
・リーダーフェン
・ナビア
・リービア
・アーシェ
フェンさんとは一度組んでいるので心強い。
知っている強いパーティーが護衛にいると安心できる。
◼️Aランクパーティー 剣舞
・リーダーナギ
・パン
・シグネス
3人とも剣の腕が一流の実力者らしい。
・ケイラ 唯一の後衛で弓使い。
バランス悪そうに見えるが、後衛のケイラさんが上手くフォローするのだろうか?
◼️Bランクパーティ そよ風
・リーダーフウカ
・シェルフ
二人共風魔法の使い手らしい。リーダーのフウカは剣も出来るらしい。魔法使い二人のパーティーでBランクって事はかなり腕が立つのだろう。前衛無しとは大胆なパーティーだけどフウカさんが剣使えるから前後になってるのかな?
頼もしいパーティーだ。安心して聖国へと向かえそうだ。
聖国へ向かうには、ロック山脈を越えて、エンビスの森を抜けなければならない。
聖国まではおよそ1週間程の道のりだ。本戦の前々日に到着予定だ。
初日はロック山脈の野営地まで進む予定だ。
集団なので通常よりも時間がかかる。
馬車の中には僕の婚約者であるレイとララそしてミナとファム・カルロスだ。ちょっと気まづい。
ミナは少し前に怒らせてからあまり話を出来ていない。
そしてファムは話したくないオーラをガンガンに出しているように見える。レイとララとミナが仲良く話している中ファムは一人窓の外を眺めている。僕は相槌を打ちながら街をどうするか考えている。
別の物事を考えているのが一番時間が経つのも早いのだ。
弱い魔物しかいないので冒険者達が討伐し無事野営地に到着した。
7時間ほどの道のりだった。
山の野営地は広いが、これだけの人数と馬車を止めると少し狭く感じる。
一斉にテントを建てていく。
初日は各自持ち込みなので自由にご飯を食べている。
僕はマーニに大量に作ってもらったご飯を亜空間倉庫に入れてあるので、こそっと出して3人に渡した。
勿論3人とはレイ、ララ、サーナだ。
ご飯の時間は自由時間なのでサーナもこちらに合流したのだ。
今日のご飯はカットステーキとおにぎりだ。
野営中は食べやすいものがいいからね。
熱々のステーキとホカホカおにぎりはとても美味しい。
おにぎりの中身は肉味噌だ。ミンチではないが、イメージを伝えたら似た感じに上手く作ってくれたのだ。とても美味しい。
「美味しいー。やっぱマーニのご飯は最高ね」
「おにぎりの具、これが一番好き」
「ルイフ君がいると遠出も苦にならないね」
「4人共何食べてるの?その変な形の白いのは何?」
「ミナちゃんもちょっと食べる?ここに具が入ってるからここ齧るといいよ」
「ちょっともらうわね」
パクっ
「何これ美味しいわ。というか…なんでこんなに温かいのよ」
「これはおにぎりって言う料理でルイフ君が考えたんだよ」
だから、僕が考えたんじゃないって…
おにぎりは多分…大和の国に行ったらありそうだよね。
変に広まるのは避けないと。
「へーそうなの。ルイフやるじゃない」
「うん、良かったらまだ一つ残ってるから食べる?」
「頂くわ」
カバンから出すふりをし、取り出したおにぎりを手渡す。
ミナはもう怒っていない?ようだ。良かった。久しぶりに話した気がする。
「それよりなんで温かいのよ、そのステーキも湯気出てるじゃない」
う、痛い所を指摘されたものだ。
なんと答えたものか。
「ルイフだから気にしちゃダメ」
「そうよ」
「ルイフ君だからね」
「そっか、ルイフ…なら仕方ないのかしら?」
意味がわからないが、納得したようでそれ以上指摘はなかった。
まあいっか…
僕はそのまま婚約者達のいるテントへと入ろうとした。
「ルイフ君何をしてるのかしら?」
「学園長?何をしてるって寝ようかと…」
「あなた聞いてなかったの?寝るテントは男女別よ…女の子しかいないテントに一人男を入れる訳がないでしょう?」
あれ…聞いてなかった。
周囲の視線が痛い。よく見ると男女分かれている…
「す、すみません!!…」
僕は慌てて男子用テントの方へと向かった…
恥ずかしい…みんなもなんで言ってくれなかったんだ。
「ルイフ何してんのさ…」
「女性に興味がある年頃でござるからな」
「ロッツもケンジも誤解だからね?」
「これが代表だからね、他の国の女性が心配だ」
「そうでござるなー大和の国は出ませんが美女も多くいますぞ」
「二人とも…」
「冗談だよ。ルイフの事だからまた別の事考えてたんでしょ」
「美女がいるのは本当でござるよ」
「さて、意地悪されたままってのもあれだから…ロッツの好きな人でもバラそうか」
「えっ、なんの事だい?」
「好きな人がいるでござるか?それは聞きたいですな」
「ロッツはね、ファムの事が好きなんだよね」
「な、なんでその事を…あっしまった」
「ファムというと、ファム・カルロス殿の事でござるか…ロッツ殿はああいった武人が好みでござるか」
「い、いや、そのなんというか、凄いなと初めは剣技に憧れてたんだ。だけど見ているうちに…その…」
「わかるぞ、ロッツ君。僕に任せなさい!」
「ってルイフ…何を企んで」
「いやいや、大丈夫安心しなさい」
「これは悪いことを企んでいる顔でござるな…ロッツ殿御愁傷様でござる」
「なんて冗談だよ。さっきからかわれた仕返し」
「全く心臓に悪いよ」
「でも応援するよ、剣好き同士お似合いだと思うし」
「そうでござるな、お互い同じ剣の頂きを目指すもの同士いいでござるな」
「そ、そうかなー。有難う」
ロッツは照れて鼻の下を伸ばしている。
お似合いとは言ったが向こうが気にいるかは知らないのだ。
気心の知れた2人との会話はやはり楽しい。
男友達と嫁はまた違うのだ。
僕達は就寝時間ギリギリまで楽しく話をした。
ロッツの恋は果たしてどうなるのか…




