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episode:58





街作りを開始して3ヶ月が経った。

もうすぐ本戦があるので聖国へと代表選手は向かう事になる。

それまでの目標であった外壁が出来上がった。


高さは20m厚さ5mほどと十分な高さと厚さがある壁で街全体を囲った。アニメや漫画などを参考に城壁の一部から敵へ攻撃出来るように城壁の一部に穴を空けて空間を作った。この高さから攻撃されたらたまったもんじゃないだろう。魔道具などを作って魔力砲的なのとか面白そうだが…そんな兵器的なのを作っていいのだろうか…



誰と戦争するつもりだよって?

いやいや…戦争なんてするつもりはないけど、用心のためだよ。

何事も備えあれば憂いなしというしね。

帝国との戦争になれば真っ先に狙われそうな場所に街を建てる訳だし心配だ。


石の外壁なので凄い丈夫かと言われると不安が残る仕上がりだが、安全にと思い頑張り過ぎた結果王都の城壁よりも立派なものが出来上がってしまった。これは…なんと説明しよう…数ヶ月でどのようにしたらこれが出来上がるのか説明出来る自信がない。



外壁の外回りには大きめの深さ6m幅10mほどの堀を作り、門のある南と西に橋を作った。

堀には水を流す予定だがある程度街の地形を考えてからしないと洪水などの原因になってしまうので今は保留だ。水の堀があれば飛んでこない限りは橋以外に攻める場所がないので上から攻撃し放題だ。



僕は今迷っている。

居住区を種族事に分けるのか…

それとも一緒にするのかだ。生活環境もそれぞれ違うはずなので一緒にしていいものか悩んでいる。仲良く暮らせる街を作るのだから一緒で良いだろうと思うけど…色々と不安だ。


唯一決めてあるのはエルフの森エリアだ。

流石に森で暮らしてたエルフ達を街中に住まわせるのはきついものがあるだろう。


大きな居住区を二つ作ってみんなで住むのも楽しそうだけど問題が色々と起きそうだ。


他種族に対応出来るよう4つの居住区を作るとせっかく他種族が賑う街を作りたいのに対立などが起きそうだ…。


これだけで大きく街の作りが変わってくるのだ。

街を作るって難しい…日本にいた頃は既に街があったから考えたこともなかった。最初に発展させてきた人達って凄い。


本戦が終わりゆっくり出来るようになってから考えようと思う。

婚約者達に相談をしたいが…前世の事を話していないのである程度の街作りは僕一人でやる事になるだろう。


信用はしてるが…成人してからでも遅くはないだろう。

正式に家族になった時に話そうと思っている。


殆ど毎日のように通ったが…僕の考えてた程は進んでいない。

小説などを読んでいるとチートな魔法使いはポンポンポンと街を作っていくイメージがある。


普通の人から見たらチートだと思う。

でも街作りはまだまだ時間がかかりそうだ。



明日からは集団行動なので暫くは抜け出して来れるかわからない…

早く街作りをしたいのにとてももどかしいが学生らしい事も大切だろう。


明日は早くから聖国へと向かうので僕は早めに屋敷へと戻った。

屋敷へ戻るとレグドンに稽古され倒れている部下と元気に励んでいる親衛隊のメンバー達がいた。新しく雇ったみんなには魔力の殆どを使い切るが1日に1回だけ転移が出来ると話した。

隠していてはいつか誰かが気づいてしまうのが目に見えてるからだ。


「おかえりなさい」


「旦那様おかえりなさいませ」


「ただいま、みんな頑張ってるね」


「はい、見込みある奴らなんで鍛えるのは任せてください」


「うん、お願いね。鍛錬もいいけどティーナも構ってあげないとだよ」


「はい、次の休みに街でも案内しようかと思ってます」


いいお兄さんだなー。

助ける事が出来て本当に良かった。

食事は殆ど貰えず垂れ流しの酷い状態だったが、人質という事もあり何もされなかったのが幸いだ。少しずつ笑顔が戻ってきている。


屋敷の中へと入る。


「あら早かったわね」


「明日から聖国だしね」


「そうね、楽しみだわ。街作りは順調かしら?」


「うん、今城壁が出来たとこかな?」


「ルイフ…あのね城壁って言った?」


「あ、外壁…だよ。街の」


「ルイフだから今更」


「レイは甘すぎよ。あんな帝国との国境に近い所に大きな城壁の街が出来たら戦争を仕掛けるのかと思うわよ。それに…まだ3ヶ月くらいしか経ってないのにどうやったら街を囲う城壁が建つのよ」


「ララは気にしすぎ、私達の夫になる人。凄いの当たり前」


「ウンウン、ルイフ君は凄いよねー、本戦には応援についてくからね」


「私も行きたいのですが…ダメ。ですよね」


「セイラは流石に危ないかな…」


「ルイフ様がいなくなるのはコグリッチ側もわかるでしょうし、いない間は私達がしっかりとお守りするので今回は我慢してください」


「んー…セイラごめんね。ずっと屋敷じゃ辛いよね」


「ううん、ワガママ言ってごめんなさい。寂しかっただけなの、生活には満足しているわよ。たまにグリコ様に外の散歩に連れて行ってもらってるしリアもいるから大丈夫よ」


「私がいるから大丈夫」


初耳だ…さすがグリコと言うべきか。報告くらいしろと言うべきか。

僕が出来ないケアをしていてくれたようだ。有難い。


ネピリアに任せておけばいいだろう。


僕は今日の夕食を楽しみに帰ってきている。

なぜなら…ついにお米を美味しく炊ける土鍋が出来上がったからだ。


街作りの最中、パモスさんの所へと通い、遂に完成したのだ。


中の方まで熱が回らなかったり、均一でなかったりと上手く出来るまでに結局3ヶ月近くかかってしまった。

僕のお米のために…申し訳がない。


完成した土鍋で食べるご飯は最高だった。

最初のご飯は、僕とパモスさん、レレムで頂いた。

久々に食べたお米に僕は恥ずかしながら涙を流してしまった。


二人もとても美味しいと喜んでくれたので残ったお米を僕はオニギリの形にして醤油を塗って焼いた。

醤油の香りがやばい、涎が…今にも溢れ出しそうだ。


焼きおにぎりを二人に手渡した。


「こ、これは。この香りはなんだ」


「醤油だよ」


パクっ


「う、うまいぞ。ルイフ…こんな美味しいもの食べた事がない」


大袈裟な…と思うかもしれないが、この世界に生きていると本当にそう思えてくる。美味しい食事はあるが殆どが素材が美味しいだけできちんと調理されてるものを食べる機会は庶民にはあまりない。

簡単に作れてこれだけ美味しい焼きおにぎり…屋台で売れば凄いことになるだろう。

アリオス家の領地でお米の栽培とか出来ないかな。

知識補充のため、そして食のために一度大和の国に行ってみたいな。


屋敷の中を芳しい香りが満たしていく。

僕が教えたレシピはチャーハンだ。

最初はこの味にみんなに慣れて欲しかったので確実に美味しいであろうチャーハンをマーニに教えた。


醤油や味噌を渡したら、それ以外の料理にも勝手に応用しだしたので、こちらの世界にない料理以外で僕の出番はないかもしれない…

もしかしたら日本の料理を試行錯誤しているうちに作り上げてしまうのではないかと思うくらいだ。


「いい香りね」


「美味しそう」


「お腹減ったよー」


「今日は僕がマーニに頼んだ特別メニューだから期待してて」


「ルイフ様の考えた料理…楽しみです」



僕が考えた訳じゃないけど…まあ日本の人がいる訳じゃないしいっか。いいよね?


出てきた料理を見てみんな首を傾げている。

あまり反応が…良くない?


「美味しそうな匂いはするけど…そんなに言うほどの料理には見えないわね。これお米よね」


「お米…べちゃべちゃしてて美味しくない」


「良いから食べてみてよみんな」


「そうですよ。ルイフ様が言うのですから美味しいはずですわ」


「お肉……」


みんな一口目を口に入れる。


パクっ


パクパクパク


パクパクパクパクパク


無言で食べている…

美味しい?って事でいいんだよね。

ネピリアは野菜ばっかりの生活からお肉ばっかりの生活に変わっている。いいのかエルフ族…。


僕も一口…パクっ


美味しい…余った野菜とかを消費する時によく作ったのを思い出した。お手軽で余った野菜や、一人分だと炊くと多すぎるお米をパパッと炒めるだけで美味しく出来る、一人暮らしの味方料理だ。


「美味しいですわ」


「美味しい…べちゃべちゃしてない」


「ルイフ君…凄いよこれ」


「ルイフ様さすがですわ」


好評価なようだ、日本の料理はこの世界でも通用しそうだ。

まあ中華料理なんだけどね。


「良かったよ、これからも色々と試したい料理があるからたまに出てくるから期待してて」


今日は明日から暫く屋敷を開けるので一緒に寝るのはセイラだ。

セイラはとても積極的というか、崇拝的と言うか…

自分を好きにしてくださいって感じに、抱きついてくる。


そんなセイラだが、たまに寝言でお母様、お父様と嘆いている。

セイラはまだ11歳だ。会いたいのだろう。


だが…まだコグリッチとの関わりなどがわからない。

それにセイラが王国にいる事が漏れれば狙ってくる人がいるかもしれないし、返せと言われても困る。

もう少し様子見だ、ごめんよセイラ。


僕はそぉっとベッドを抜け出し、

空いているスペースで作業をしている。


嫁達の武器を作っているのだ。

作っていると言っても合成だけで物はパレスさんに作って貰ってある。


・レイには黄色ボールで杖を。


・ララには赤色ボールで弓を。


・サーナには青色ボールで槍を。


・セイラには黒色ボールで剣を。


・ネピリアには緑色ボールで短剣を。


もう少しバリエーションが欲しいが…ボールの色が限られるため相性が良さそうなのを振り分けるしかないのだ。

付与だとどうしても合成の劣化版になってしまうのだ。

魔道具ならいいが、武器で妥協はしたくない。


明日出かける前にみんなに渡そう。

僕は武器をしまって、セイラの横に起こさないよう潜り込んだ。

こうやって嫁達と寝るのも最初に比べて慣れたものだ。

ドキドキするのは変わらないが、安心感からか最近はより快眠が出来るようになっている。


「おやすみ、セイラ」



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