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episode:52




目が覚めると、柔らかい感触。

手じゃなく顔にだ。


「く、苦しいよカルメ」


「んん。ル、ルイフ様?おはようございます」


「なんでまた脱いでるの!?」


「ふふふ、顔赤くしてルイフ様可愛い」


昨日はネネにからかわれて赤くしていたのに、これはいいのか…

下着姿で魅力的な女性に抱かれながら寝ている僕だが緊張もするし鼓動も激しくなる。しかし…肝心のものはあまり変化がない。


「そんなに襲われたいの?僕だってもう10歳だ、やろうと思えばできるんだよ?」


「そ、そんな事言ってないです…」


「結局恥ずかしいのはカルメの方じゃん」


「ル、ルイフ様なら別にいいですよ?…」


あれ…僕の想定外の答えが返ってきた。

少しからかうだけのつもりだったのだが…


「い、いや。婚約者がいるのにそれはまずいかな」


「そ、そうですよね」


僕はうまく逃げた。そう逃げたのだ。

少し気まづい状況になりながらもネネが朝食に呼びにきたので朝食を食べに行く。昨日同様とても美味しい食事だった。


今日は朝からデイクルスの街を目指す。

ついにコグリッチ公爵の治める街へと足を運ぶ。


レグドンの妹は無事だろうか…

不安もよぎるが今はそんな事よりもいち早く助けに向かうのが先決だろう。


今日は馬車で行く予定だ。

門の前の乗り合いの馬車に乗り街を目指す。


人はそれ程多くなく、僕達以外に3人の冒険者が乗っているだけだ。

3人は同じパーテイーのようだ。静かなので会話がまる聞こえなのだ。決して盗み聞きしているわけではない。


馬車だと大体3時間半の道のりらしい。

徒歩よりは大分早いが…やっぱお尻が痛い。


車のシートは神だと思える程だ。


そうこうしている間に街の門が見えてきた。

特に何もなく無事に到着した。


途中冒険者達が変な話をしていた。

最近、デイクルスの街で変な黒ずくめの集団が目撃されているらしい。何も事件が起きていないから問題にはなっていないが…

コグリッチ公爵の屋敷へ入っていくのを見た人がいるらしく、お抱えの商人か護衛だろうと思われているらしい。


コグリッチ公爵は重税をかけたりはしないが逆らうものには厳しいので誰も確認のしようがないらしい。


暗殺者がそんな簡単に目撃されるわけないし…

なんの集団なのだろうか。タイミング的にセイラが関係している気がするが。


よくない事にならないといいな。


「ありがとうございました」


僕達は門の中に入り乗合馬車のおじさんに挨拶を済ませ宿を探す。

カルメも数回来たくらいらしいので、少しぶらっとしながら宿屋を探す。


「ソフィアどう?」


「いたわよ、そのコグリッチ公爵の屋敷の離れの地下にいるわね」


その間に僕はソフィアにティーネの捜索を頼んでいたのだ。

どうやらティーネを見つけたようだ。


「ティーネは無事?」


「そうね、衰弱と出てるから弱っているようだけど…生きているのは間違いないわね」


無事のようだ、僕はホッとして思わず。

安堵の息を漏らした。


「どうかされました?」


「いや、ティーネが無事なようで安心して」


「ほんとですか!姫様もお喜びになります。でもなんでわかるんですか?それも魔法ですか…?」


「んー、そんな感じ。コグリッチ公爵の屋敷の離れの地下にいるみたいだね。もう少し声落としてね…いつ誰が聞いているかわからないから」


「すみません…。もうなんでもありですね…ルイフ様」


「そんな目で見ないでよ…僕にだってできない事はあるからね」


力が足りないからこそ、こんなコソコソとしているのだ…


宿屋はすぐに良さそうなところが見つかった。

大きな街だけあって綺麗な宿屋がたくさんあった。


その中でもコグリッチ公爵の屋敷に近い宿屋を選んだ。

忍び込むなら近い方がいいだろう。


ん、今なんか視線を感じた気が…


「ソフィア、誰か僕を見てない?」


「いるわね。顔をマスクで覆って黒いマントをつけてる暗殺者っぽい人が見てるわよ。コグリッチ公爵の影の部隊のようね。20人ほどが街中を監視してるようね」


「僕達の事バレたのかな?」


「わからないけど…ルイフ以外にも新しく入ってきた冒険者や商人の傍には同じ格好の人がいるから。怪しい可能性のある人をチェックしてるだけじゃないかしら?」



どうやらバレているわけではなさそうだ。

バレてしまえばとてもやりずらくなるのは目に見えている。


とりあえず宿の部屋でも気を抜かずにあまりコグリッチの事を話さない方がいいだろう。カルメにもティーネを助けるまではコグリッチ関係の話はしないよう言及した。


助けに行くのは今日の夜の予定だ。

それまではゆっくり過ごす。


大きな街なので観光もいいだろう、息抜きをしていないといざという時に失敗してしまうものだ。


カルメと共に街へと出る。

何か面白いものはないかなと、ぶらぶら歩いている。

決してデートではない。


服屋に寄ってカルメの服を選んであげた。

ここまでついて来てくれたプレゼントだ。


この街で行動する上でも普通の旅っぽい事をしていた方がいいだろう。ワインレッドのワンピースがカルメの色気を引き立てる。

うん、美人は何着ても似合う。


ぶらぶら歩いていると大きな本屋さんを見かけた。


「ここ大きいね。王都の本屋より大きくない?」


「世の中に出回っている本の中でもこの街出身の作者が多いのよ」


「へーそうなんだ。意外だね。ちょっと気になるから見ていこうか」


本屋の中にはたくさん本があった。

その中で気になったのは錬金術についての本だ。


「ルイフ様…そんな本読んでどうするんですか?錬金術師を名乗るものは大体詐欺師扱いされてますし、そんな存在しないようなものを見てもあてになりませんよ」


「錬金術師っていないの?」


「お伽話の世界でしか…私は知らないですね。石を金にしたり、ミスリルにしたり…そんな事が出来たら大変な事ですよ。出来るわけがないです」


「お伽の話ね」


「錬金術師アリテレス、かつて存在したと言われる伝説の金属オリハルコンを錬金術で作ったと言われているわ。そして石をミスリルや黄金に変えて1000年前の大戦で勇者達を助けたと言われているわね。そんな昔の話誰も知らないし子供用のお伽話ね」


「1000年前か…300年前の大戦の時はいなかったの?」


「いるもなにも、作り話のたぐいよ。それにもしいたらもっと簡単に魔族を倒せたはずよ」


「ソフィア、アリテレスって知ってる?」


「知ってるわよ。時の精霊の別名よ。珍しく外に出て来たと思ったら地上に分身を作ってなんかしてたのよね、その時の名前がアリテレスだったわね」


「じゃあ錬金術って存在するの?」


「するもなにもユニークスキルでもないわよ?」


「えっそうなの?じゃあなんでお伽の話なんかになってるの?」


「それは、魔力を馬鹿みたいに使うから普通の人間が覚えても使えないからよ。だから詐欺師扱いされたのね。レアスキルだけど覚える人も稀だから魔力の高いもので使える人がいなかったんでしょうね」


そういう事か…

なんと言ったらいいのだろうか詐欺師扱いされた人も魔力さえ恵まれていればこの世界の歴史に残っただろうに。


でもそんな事が出来たら戦争も激しくなるし、めちゃくちゃになりそうだ。物価もあったもんじゃないしな…よかったのかもしれない。


「レアスキルだし、あなたのガチャならそのうち覚える事もあるんじゃない?あなたなら使えるわよといってもあなたの今の魔力でもオリハルコンは作れないわよ」


「いや、僕が考えてたのは街を作った時の壁を頑丈にしたりとかそっちだよ」


「それくらいなら時間かければいけるんじゃないかしら?土を石に変えて、石を鉄に鉄をミスリルにそんな所かしら」


「おお、そんな事出来るんだ」


「毎日それだけしても半年以上かかるわね」


そんなにかかるのか…

街も作るとなるとちょっと厳しそうだ。しかし素材を揃えたりするよりは理想のものが作れそうだ。ゆっくりやればいいだろう。

というか錬金術スキル一生でないって場合もあるよね…


「どうされました?ルイフ様」


「ああ、いや、本のこと考えてて」


ソフィアとの話に夢中でぼけっとしてるように見えたようだ。


「そうでしたか、買われるんですか?」


「ううん、今回はいいかな。そろそろ行こっか」


僕達は本屋を出て宿屋へと戻る。

王都を見ていて思ったのだが、確信が持てなかった事がある。


この世界には、冷蔵庫や暖房器具などがないのだ。

文明を著しく変えるような行為はしないが、魔道具は一般的に作られていて出回っている。勿論大した効果はなく、代表的なものが魔力を込めるとつく灯の魔道具だろうか。


だが、僕にはカラーボールがある。

上手く作れば冷蔵庫やコンロ、暖房器具まで作る事が出来そうだ。

まずは僕の街と実家からちょっとずつ改革をしていこう。

上手く作れるかはわからないがレグドンの妹の救出が済めば時間もあくし街と共に進めていこう。


夕食は麺料理だった。この世界に来て初めてじゃないかな?

麺を見かけたら購入しておこう。ここで出て来た麺はラーメンに入っている細いちぢれ麺みたいな感じだった。


鍋の締めに食べる麺料理と言った方がわかりやすいかもしれない。


部屋に戻り、僕は準備をする。

勿論忍び込むための準備だ。


ソフィアに確認した所、ティーナの位置は変わっていないという事だ。


「もう少ししたら僕は出るよ。カルメはここで待機してて」


「で、でも私も…」


「ダメだよ。二人で行ったらバレる可能性も増えるし、カルメは姿消せないでしょ」


「はい、お気をつけて…」


「1時間以内に戻るから待ってて」


僕は気配を消しコグリッチの屋敷へと向かう。

コグリッチの屋敷はとてもわかりやすかった…


これでもかと言うくらいに誇張をした屋敷。

煌びやかな…装飾。


庭に大きな金の像が飾られ屋敷の周りを囲む壁の至る所に誰の像だろうか…小さい金色の像が等間隔に飾られている。これがバイモン・コグリッチだろうか?


趣味の悪い屋敷だ。


僕は屋敷の正面から侵入する。

屋敷の前の門番は僕に気づかない。


隠密と透明化この二つを使っていてバレる事は多分ないだろう。


屋敷の離れへと向かう。この地下にティーナがいる。

扉は固く頑丈そうだ。鍵がかけられている。


僕の力なら無理やり開けれそうだが…それをしてはバレてしまう。

どうしたらいいだろう。


鉄の棒を押し上げれば開くので複雑な鍵ではないのだが…

昔の鍵にありそうなギギギギギギっといった音が確実にするタイプの鍵だ。扉も恐らく同じで開ける時に音がしそうな建てつけだ。


静かなこの状況で何かをすれば恐らく…バレる


あっ サイレントの魔法を使えば問題ないのか。

僕はサイレントの魔法を使ってから鍵を開ける。

うん、問題はなさそうだ。音はしていない。


扉を開ける…


よし、問題なし、音はなっていない。

中に入り地下を目指す。


地下の扉が見つからないな…

ソフィアがいると言ったのだから地下があるはずなのだが。


殺気…


シュっ


僕は咄嗟に避けた。


「誰だ…」


「ほう、避けたか、さすがBランク冒険者と言ったところか」


「なぜ僕が来たのがバレたのか知らないけど…地下にいるティーナは返して貰うよ」


「なぜその事を知っているのかは知らんが、間抜けだな。扉に使われている魔道具も見破れんとは」


魔道具が仕掛けられていたのか…

迂闊だった。


「お前を倒せば済む話だから問題ないよ」


「ははは、Bランク如きがこの私を倒す?私の実力はAランク冒険者に匹敵する。お前では指一本触れる事は出来ないさ」


僕は咄嗟に浮かべておいた、黄色のボールを後ろからぶつける。

勿論透明化とサイレントの魔法を組み合わせてあるボールだ。


「死ね、我はコグリッチ家影が一人…」


アババババババババババババ


「な、なんだこれは…不意打ちとは卑怯な…名前も聞かぬとは…無念ウグっ」


名前くらい聞いてあげても良かったかもしれない…

しかし、油断大敵というか、絶対Aランクの実力ないよね…

あれば不意打ちとはいえ気ずくくらいはするよね。


でも一人にバレたという事は他にもバレているかもしれない、急がないと…


影の誰かさん?を置いて地下への扉を探す。

地下への扉は意外な所にあった…


離れの扉に入ってすぐの所だ。まさか入ってすぐの所に地下への扉があるとは思わず探すのに苦労した。


地下へと入る、ジメッとした空気、そして少し臭う。

地下は鉄格子の檻で囲われた空間になっていた…


檻の中には鎖に繋がれた様々な種族の人がいた。

皆やせ細り、とても健康とは言えない感じだ。

中には酷い怪我をしている人もいる…

とても居心地が悪い。一体なんのために。


僕はティーナを探していく。

ソフィアの案内で場所はすぐにわかった。


奥の檻に力なく鎖に繋がれている女の子がいた。

この子がティーナか…レグドンとは似ていないな…


「君がティーナでいいかな?」


虚ろな目を僕に向ける。


「だ、だれ…」


「僕はルイフ、レグドンに頼まれて君を助けに来たんだ」


「お兄ちゃんに?…」


「うん、そうだよ。今助けるからね」


僕は鉄格子を時空魔法で切断した。

近くにいくとその臭いに顔をしかめそうになるが、なんとか耐える。

トイレにも行かせて貰えなかったのだろう…しかし女の子の前でその反応がまずい事はいくら僕でもわかる。


クリーンの魔法を使い綺麗にしてあげる。


「捕まって」


僕はティーナの手を引き転移魔法を使う。

転移先は宿だ。


「カルメ、ただいま」


「ルイフ様おかえ…」


「どうしたの?ちゃんと無事に助けてきたよ」


「い、いえ。服くらい着せてあげたらどうかと思って…」


檻は暗くてよくわからなかったが、ティーナは服を着ていなかった。


「あ、そのちが…暗くて着てないの知らなくて」


「とりあえず、休ませてあげた方が良さそうですね、相当弱っているようですし」


僕はカルメに任せて一旦部屋の外へと出る。

着替えだ。僕がする訳にはいかないからね。


着替えが終わったようでカルメが呼びに来た。

部屋に入ると眠っているティーナがいた。

相当な疲れが溜まっていたのだろう…これは暫く起きなさそうだ。


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