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episode:34




今日は待ちに待った入学式だ。

期待と不安でいっぱいだ。っというほど二度目の学生なので思う事は少ない。楽しみではあるが、冒険者活動をメインにしたい僕には弊害だったりもする。


準備を済まし僕は入学式の会場である、学園の体育館へ向かう。

ここは室内での模擬試合などが行える広い会場のような場所だ。

結界が張ってあり、ここでの傷は結界を出るとなかったことになるのだとか…異世界便利過ぎる。


会場に入ると、クラス事にわかりやすく、クラス旗が立っていた。

Aクラスの旗を見つけ僕は席へ向かう。知らない男の子が一人座っている。挨拶をするべきだろう。


「おはよう、初めまして僕はルイフ・アリオスです。ルイフって呼んでもらえるといいかな」


「おはよう。僕の名前はロッツ・パナポマス。ロッツでいいよ。よろしく」


「わかったよ。ロッツよろしくね。確か剣が上手だったよね」



「自信はあったが、ルイフに軽くやられて上には上がいる事を知ったよ」


ロッツとは実際に普通に話すのは初めてなのだが、試験官として剣を交えた事があったのだ。僕が見た中ではこの学園で3番目くらいに剣の腕が立つ、そう感じた。


「僕より上もたくさんいるから、僕も必死だよ」


少しすると少しずつ席が埋まり始めた。

ミナやサーナ、そしてララもいる。

いつも通り挨拶を交わし成績順に席に座る。

僕の隣はララだ。


「ルイフ勉強も出来たのね、試験官の時もびっくりしたけど凄いわね」


「本が好きだから、色々小さい頃から読んでたからかな」


「謙遜しちゃって。レイも凄いって言ってたわよ」


「凄いだなんて…」


「なんでレイだと照れるのよ、私が最初に褒めたのよ?」


「いや…そんな事は。ないはず」


なぜ、レイだとと言われると自分でもわからない。

10歳の女の子、しかも王女様、そして整い過ぎた容姿。

もはや崇拝する対象と言ってもいいような存在だ。

田舎貴族の3男が興味を持って何になる…


「ふふ、まあいいわ、それよりスピーチは大丈夫なの?」


「うーん、ちゃんと考えたけど。前で話すのは緊張する…噛むかも」


「そんな弱気でどうするのよ、ルイフならいけるわ。頑張って堂々と話すのよ」



入学式が始まった。

始まる少し前にレイも席についた。

軽くおはようと言ったくらいで、何喋っていいかわからなくなり、ララに助けを求め、なんとか会話が成り立った感じだ。

王女様である、レイが会場に入るだけで会場中の会話が止まったのには驚いた。やはり王女という存在はこの世界では絶対的なのだろうか。


初めに学園長である。アレイナ・フラフトによる挨拶が行われた。

大体、学園に入学おめでとう、これから頑張ろうね。と言った内容だったと思う。


次は新入生代表挨拶だ。

名前を呼ばれ僕は前に出る。マイクの前に立ち辺りを見渡す。

結構な人の数だ…


僕は話始める。


「柔らかく暖かな風に舞う魔桜とともに、僕たちは今日、王都ルース学園の門をくぐりました。咲き誇る魔桜の花々は、まるで僕たちの入学を歓迎しているかのようです。今までとは違った日々が待っていると思います。不安もありますが期待もあるでしょう。共に学ぶ仲間として、一歩一歩確実に学んでいければと思っています。そして、何よりこれからの生活を楽しむ事がより自分自身を高みに導ける原動力になると思うので、新入生の皆で楽しみ、そして向上して行きましょう。新入生代表ルイフ・アリオス」


なんとか噛まずに言い切った。


パチパチパチパチ


会場中に拍手が鳴り響く。

どうやら上手くいったようだ。


僕は席に戻る。その後は各教室でのスケジュールの説明があり、10分の休憩後に各教室での自己紹介などの自由時間となった。


休憩中にミナ、ララ、サーナ、そしてレイとも話たが皆んな上手く出来てたと褒めてくれた。正直凄い嬉しかった。前世では代表などするキャラではなかったので、少し自信が持てた気がする。


自己紹介は僕から順に始まった。


「ルイフ・アリオスです。田舎の男爵家なので友達も少ないですし、知らない事も多いので、良ければ色々教えてください。よろしくお願いします」


無難に挨拶を済ます。


「ララ・フェニアスよ。宰相の娘だけど学園の中では気にせず接してもらえると有難いわ。よろしく」



「レイナード・ルーンステラです。第二王女ですが…ララと同じく、ここでは身分は関係ありませんので、よろしくお願いします」



「ミナーラ・アイラスよ。お茶会などにきたい人は是非やりましょ、よろしくね」



「ロッツ・パナポマスだよ。剣の腕に自信があるよ…まぁルイフには勝てないんだけどね。僕はこの学園で一番の剣士を目指す。よろしく」



その後もネイル・ミーティア

ムム・エナトス

ルルベル・トートロ


ケンジ・ハナサカと続き。


「サーナス・アルテナです。カフェとかでお茶するのが好きです。仲良くしてください」


今年のAクラスは10人のようだ。

TOP20位までの生徒の中からAクラス入りが出来る生徒が選別される。去年は7人だったようなので10人は多い方だ。今年は優秀なのだろう。


気になったのはケンジ・ハナサカだ。

大和の国からの留学生との事だ…これはまさか米・醤油・味噌などを手に入れるチャンスがあるかもしれない。早めに仲良くなろうと僕は誓った。



そして驚いたのが、Aクラスの授業時間の短さだ。

Aクラスは基本的に午前の授業の後は自由勉強らしい。

図書館で勉強もよし、教官を捕まえて実技訓練もよし。

ある程度の実力があるので、下手にカリキュラム通りやるよりも成長が早いとの考慮らしい。


午後は冒険者活動が出来そうだ。


とりあえず今日は解散になったので、ミナ達の元へ…今日は行かないのだ。


ケンジ・ハナサカの元へ僕は向かう。


「ケンジ君、少し話せるー?」


「ケンジでいいでござるよ。首席のルイフ君から話してもらえるとは光栄でござるな」


「僕もルイフでいいよ。それでね大和の国の事を知りたいんだ。特に食生活の事を!」


「変わってるでござるな。食生活でござるか?」


「うん、僕知らない国の事を知るのが好きなんだ」


「そうでござるか…では拙者の知る範囲で話させて頂くでござる」


話はこうだった。

主食はお米らしい。

そして魚に大根おろしと醤油をかけて食べるのがケンジは好きらしい。そしてスープではなく味噌汁を飲むとの事。


これは…大和の国に是非行ってみたい。

米、醤油、味噌が手に入るではないか…この世界に来てから半ば諦めていた日本の主食や調味料が手に入る。学園にきて一番の成果だ。


僕が食べてみたいから、大和の国にいつか言ってみたいと言ったら、王都にも大和の国からの商売人の店があるらしい。


王都では基本はパン食なので、あまり知られていないそうだが、醤油や味噌も売られているらしい。僕はこの後すぐに…そのお店に向かう事を決めた。


「ありがとう、ケンジ、いい話が聞けたよ」


「いいでござるよ。大和の国に興味を持ってもらえるのは拙者も嬉しいでござる」



「ルイフー、なんですぐに来ないのよ」


ミナがふてくされている。


「あ、ごめん。ちょっと大和の国に興味があってさ」


「大和の国?」


「そうそう、その国の料理が珍しくて美味しいと聞いてたから、ケンジに聞いてたんだ」


「私は一度食べた事があるわ。レイも一緒だったわよね、お米といったかしら不思議な食感の食べ物だったけど美味しかったわ」


ララとレイは食べた事があるようだ。さすが王女と宰相の娘だ。色々な交流があるのだろう。


「そうそれ、僕それが食べたいんだよ。だからこの後買いに行こうと思って」


「ダメよ?私達とお茶をするのだから。レイとララの寮は特別寮でお庭がついてるからそこでするのよ」


「え、でも僕、お米を…」


「ルイフは私とお茶は嫌なのかしら?」


「いや、勿論行きますとも」


レイに言われたら断れない。王女という事もあるが、見つめられると、魅了にかかったかのように、はいと答えてしまいそうになるのだ。笑顔で返されると、これは刺激が強すぎる。


「わーい、ルイフ君も一緒だ」


「あ、ロッツ帰るの?一緒にお茶会」


「悪いね、僕は今から稽古さ。少しでも君との差を縮めないとだからね」


軽くあしらわれてしまった。

男一人の参加は結構気まづいのだ。前世ではこれをハーレムと言うが、いいものでもない。基本女の子が話してるのに相槌をうつだけだ。ほとんど喋る隙がない。


「ルイフもう二人も友達増やしたのね。私と会うまで友達いなかったのにやるじゃない」


「事実だけど、それは…言わないで。僕だって友達くらい作れるから」


相変わらずはっきり言うミナであった…

もう少しオブラートに包んで欲しいものだ。


お米や醤油などを買いたい気持ちを抑えて僕はお茶会の場へ赴く。

レイとララの住む寮と聞いたが、行ってみると寮というより屋敷だった。さすがと言うべきか。メイドや執事もたくさんおり、既に外のテラスにはお茶会の準備がされていた。


僕の寮ですらすごいと思っていたのに…これは予想外だ。

王女や宰相の娘とはいえ、学園の生徒に屋敷とは…


今日のお茶菓子はスコーンだった。

この世界の貴族はスコーン以外出さないのかな?

前世の頃からあまりこのパサパサ感と口の渇き感があまり好みではなかった。フラペチーノは好きだったので新作は欠かさず飲んでいたのでまた飲みたいものだ…。


ガールズトークはいつも通り、相槌を打つのが精一杯だ。

みんな楽しそうに話している。話題が次々と変わるが、なぜ尽きないのか不思議だ…


「そういえば夏に私達ルイフの領地まで遊びにいく事にしたのよ」


「楽しみだよね」


「えー私も行くわ」


「私もよ」


「レイはさすがにまずいんじゃない?それに本当に森しかないよ?本気で行くの?」


「何言ってるのよ、行くって一度決めたのだから行くのよ」


「私も…」


「さすがにレイはまずいわよね。王女様を辺境の地に連れて行くなんて言ったら…大騒ぎになるわよ」


「ララはいいの?」


「ミナとサーナと一緒に行くと言えば護衛も付けれるし大丈夫だと思うわよ」


「ずるいわ、私だけ置いてくなんて、何か方法が…そうよ第一騎士団を連れていくわ」


「そんな事許されないわよ…王国最高戦力を夏休みの護衛なんて」


レイは口をむっとさせて頰を膨らませている。

可愛すぎる。


「ちょっとルイフ見惚れてないで何か案を出しなさいよ」


「見惚れてなんか…案と言われても。Sランク冒険者に頼むとか?」


「Sランク冒険者が動くわけないでしょ…王国に対等に意見できるくらいの強さを持つ者よ。夏休みの護衛に。あっ爽剣よ。ルイフのお父様に頼むのはどうよ?」


「父様?Sランク冒険者じゃないよ?」


「それに匹敵するくらいの強さを持つってお父様が言っていたわ」


「それでも難しいと思うわよ?レイは王女よ、何か合ったら大変よ」


考えたが何も浮かんでこない。

転移魔法が完成したら、連れてはいけるが今の所いうつもりはないからレイを連れていく手段はなさそうだ。


「いいのよ、私はお城で一人で過ごすから」


ララがナデナデしてレイを慰めている。


「レイ、僕がSランク冒険者になっていつか連れていくからね」


「約束よ?」


「うん、約束」


この笑顔が見たくて約束してしまったが…

Sランクは人外の領域。何年かかるのだろうか。

能力値だけならそろそろSランクの領域にあるのだろうか?

父様を参考に考えるともう少し必要だろうか…


何れにしても冒険者としてSランクを目指す予定だ。

頑張ろう。


ガールズトークは夕方まで続いた。

夕焼け空になってきた所でお開きとなった。


僕は馬車に乗るのを断り、お米を買うために急ぐ…

場所は王都の商店街が並ぶエリアだ。


そこの一角に雑貨屋さんがある。名前は雑貨屋豊臣だ。

僕は武器屋や魔道具やの並ぶエリアの看板を見ながら雑貨屋を探す。

たくさんあるので探すのはとても苦労した。


そのお店は暖簾に豊臣と書かれているだけのお店だった。

表に出ているのは、木彫りの人形などだけだ。


こんな所にお米が売っているのだろうか…

僕は中に入っていく。


「すみませんー」


「これはこれは、すみません、片付けをしていたもので気づきませんでした」


「僕がこんな時間に来たのが悪いのでお気になさらず。まだ購入できますか?」


「はい、何が必要でしょう?」


「お米と醤油と味噌をください」


「これは珍しいですな、お米や醤油をご存知とは」


「クラスの子に聞いたんですよー美味しいと」


「大和の国出身の人ですかね。この国では中々量を買われる方がいないので好きに買っていってくださいな」


「じゃあ、大金貨1枚で買えるだけください」


「大金貨1枚ですか?これは助かりますわー。在庫がはけれそうですわ」


どれくらい買えるのかわからなかったので所持金から困らない範囲と思ったのだが結構な量が買えるようだ。


「用意はしますが…どうやって持っていきます?」


「馬車で運ばせますので、用意だけして貰えますか?」


馬車などないが…見てない隙に亜空間にしまってしまえばいいだろう。


この後僕は唖然とした。

積み上げられた、米俵、そして醤油、味噌の入った大樽。


米俵20個に醤油樽20、味噌樽20だ。

こんなに買えるとは思わなかった。


大金貨1枚というと日本円だと100万円くらいか…

そう考えると妥当ななのかな?前世では考えられないお金の使い方だ…。時給900円のコンビニのバイトで100万円の貯金を作るのに一体どれだけかかるのか。金銭感覚が麻痺してきそうだ。


とりあえず裏の倉庫の前に並べて貰った。

お金を渡し、取りに来るのを待っていると伝えた。


「まいどです、私は大和の国出身のゴエモンと言います。今後とも御贔屓によろしくお願いしますわ」


僕はゴエモンさんに挨拶を済ませ閉店準備に戻った隙に全てを亜空間収納に収めた。


「ゴエモンさんそろそろ僕は帰りますね。またいい物あればお願いします」


「まいどーって商品は?」


僕は手を振ってそのまま帰る。

後でゴエモンさんが唖然と固まったのは無理もない事だ。

あれだけの商品がほんの3分ほどの間に消えてしまったのだ…

僕は嬉しさのあまり、そこまで考えていなかった。


寮に戻った僕は自分の部屋に帰宅し夕食を食べた。

お米を調理したいが…炊飯器がない事に気がついた。


「なんて事だ…」


BBQなどの時に使う飯盒のようなものを作るか、土鍋だろうか。

土鍋を見かけたことはないが…大和国ならもしかしたら。


だが行く事は出来ないので飯盒を作ってもらうしかない。

そんな要望に沿ったものを作ってくれる人はパモスさんしかいない。

これは夏休みまでお預けになりそうなだ。


醤油と味噌は使えるので、それを活かした料理を作ろう。

僕はシャワーを浴び、ベッドで横になりながら日本の料理を想像して眠りについた。


それからの日々は凄く単純な毎日の繰り返しだった。

算数に歴史、魔法学、剣術の実技どれも面白みがない内容だ。


そんな日々にも問題がなかったわけではない。


問題の発端は伯爵家次女であるネイル・ミーティアと取り巻きの男爵家三女ムム・エナトス、そして子爵家次女のルルベル・トートロである。


王女であるレイや宰相の娘のララと親しく話す僕が気に入らないらしい。田舎貴族の分際でとか、レイ様やララ様にはふさわしくないだの二人がいない所で何度か絡まれたのだ。


僕は基本無視だ。だが、今後厄介な事になりそうな気がする。

対策を考えないと!…



ロッツは放課後にタイラ先生に稽古をつけて貰っているらしい。

僕に勝つために必死なようだ。良い剣士になりそうだ。


そんな日々を過ごし土曜日になった。



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