episode:31
明日は結果発表の日だ。
受かってるのはわかっているのだが…緊張する。
受験生時代を思い出す。あの時も緊張しっぱなしだったな。
まさか異世界に来て試験を受ける事になるとは、人生わからないものだ。
僕は報酬を貰ったので食料など色々買い物をする事にする。
二人にもきっちり山分けしようとしたが断られた。護衛の一環なので給料の範囲内らしい。
フェンさん達にもお世話になったので渡さないとと思ったが、
ガンツさんに辞めておけと言われて辞めておいた。
新人がそんな気遣いをする必要はないとの事。
王都の散策にはシャルルさんが護衛でついてくる事になった。
普通に歩いていたら親子に見えるのだろうか?
今は冒険者の服装をして隣を歩いているので護衛には見えないだろう。
屋台で串焼きを食べながら、王都を散策する。
のんびりぶらぶら…こういう生活をずっとしていきたい。
今日の目的の一つである市場についた。
お米が恋しいのだ…この世界にあるかはわからないが王都なら色々なものが集まる。もしかしたらあるかもしれない。
王都の一番は圧巻だった。凄まじく広い。
日本で新しく出来た豊○市場より大分大きい。
魚だけでなく、野菜や、お肉、素材まで様々なものが売っている。
エリアが分かれていて探すのに困ることはないが、移動が大変だ。
お米は…野菜?肉や魚のとこにはないだろう。
とりあえず、お米を探しうろちょろ歩く。
「ルイフ様、そのお米というのはどういった形をしてるんですか?」
「お米は、小さくて…丸い粒がたくさんあって…んー形まで覚えてないよ」
色々な形のお米が合った気がするが、あまり気にして食べていなかったのでよく覚えていない。
野菜エリアには様々な食材が並んでいた。
人参、じゃがいも、なす、ピーマン、ねぎ、キャベツ、など見た事のある野菜がたくさん売っている。
味は一緒だろうか?形がちょっと違うのもあるが、とりあえず片っ端から購入していく。
「おい、待て、そいつを捕まえろ!」
突然そんな声が聞こえてきた。
盗みでも合ったのだろうか?…
僕は様子を見に行く。
様子を見に行くとそこは果物屋さんの前だった。
周りの店の店主と思われる男の人達に囲まれているのは獣耳の少女だった…。
薄汚れていて服もボロボロだ。スラムなどの子供だろうか。
「衛兵を誰か呼んできてくれ」
店主が言うと、誰かが走って呼びにいった。
なんだろう…とてもモヤモヤする。
「ちょっと行ってくるね」
「ルイフ様…ダメよ。あの子は盗みを働いたの。衛兵に捕まるのは当然だわ」
こんな小さな子が…食べ物に困って盗みを働かないといけないなんて…
僕はそのまま輪の中に入っていく。そして、獣耳の女の子の前に立つ。怯えながらもこちらを見ている。
「なんだ坊主の知り合いか?」
「いえ、知らない人ですが、こんな小さな子が囲まれていたら可哀想だと思って事情を聞こうかと」
「小さいってお前も同じくらいじゃねえか。それになこいつはリンゴを盗んだ。盗みは犯罪だ」
「リンゴ代は僕が払いますので、今回は許して貰えませんか?」
「お代を貰えるなら問題ないが…あんまりこいつらに関わるといい事ないぞ、毎週のように捕まるやつが出てるからな」
僕はお金を渡しその子を連れて道の脇に行く。
「お腹が空いてたの?」
「…」
泣きそうな顔で僕を見ている。怖がられている?のかな。
「怖がらなくていいよ、僕はルイフよろしくね、こっちはシャルルさんだよ。名前は?」
「アオ…」
「アオっていうんだ、どうして盗みなんてしたの?」
「妹が…病気でお腹空いててなんか食べさせてあげないと」
「そっかー。妹のためにしたんだね。妹さんはお家?」
「ぅん…」
「案内して貰っていい?力になれるかもしれないし」
「ルイフ様ダメよ。そんな危ないところにいっては」
「大丈夫だよ。それに病気の妹さんの事もきになるし」
戸惑っているようだ。シャルルさんは呆れている。
「ちょっとシャルルさんと待っててね」
僕は屋台とお店を周り食料を調達した。
そしてアオに案内をして貰い裏路地を抜けてスラム街へと足を踏み入れた。雰囲気は最悪だ…王都である事に間違いはないが、薄気味悪い雰囲気がする。こんな所に子供が住んでいるのか…
アオの家はスラムの一角に合った。中に入ると3畳ほどのスペースしかなく、家といって良いのかわからない小屋のような建物だった。
両親もいなく、妹と二人で1年前にここに辿り着き住んでいるらしい。
家は自由に空いてる所に住んでいるらしい。衛生面も最悪だ。
こんな所にいては病気になっても不思議じゃない。
中には少し段になった場所があり、そこに布が引かれていた。
そしてその上には一人の女の子が寝ていた。体調がとても悪そうで苦しそうだ。
「アカ帰ったよ、大丈夫?」
「ぉ姉ちゃん?…ぉかえり、そっちの人だーれ?」
「アカ、僕はルイフだよ。ご飯持ってきたから食べよっか」
体調の悪そうな顔だが笑顔で答えてくれる。
僕は買ってきた、果物と串焼きを並べる。体調が悪いのでアカは果物だ。串焼きはアオ用だ。育ち盛りの時期にタンパク質不足はダメだろう。
僕は果物をナイフで剥いてあげて、アカに渡してあげる。
アカに渡した果物の中には紫色のボールも混ざっている。ちょっと色が怪しいので警戒されるかと思ったが、一口サイズに切った果物を美味しいと言いながら食べている。紫色のボールを混ぜたのは病状を把握するため鑑定をした所、状態異常(毒)となっていたからだ。
「アオも串焼き食べていいよ。僕はいらないから好きなだけ食べて」
アオは凄い勢いで食べている。よっぽどお腹が空いていたのだろう。
むせそうになりながらも、20本買った大きめの串焼きを一人でたいらげてしまった。
「アカ調子はどうだい?」
「治った」
「ぇ、アカ治ったの?大丈夫なの?」
アオがアカを抱きしめて泣いている。
「大丈夫だよ。ごめんねお姉ちゃん、お兄ちゃんありがとぅ」
笑顔でそんな事を言ってくる。
可愛い。犬の獣人だろうか、ワンコみたいだ…
「ルイフ君ありがとう。こんなにご馳走して貰ってアカまで治して貰って、でも私達返せるものが何もないの」
不安そうにこちらを見ている。
「別に何もいらないよ。アオと会ったのも偶然だからね」
「さすがルイフ様ね、優しいわね、偶然に感謝するのよ」
「ぉ兄ちゃんもう行っちゃうの?」
「そろそろ帰らないといけないんだ、ごめんね」
アカが寂しそうな顔でこちらを見ている。
飼っちゃダメかな?って人間だから、飼うとか言っちゃいけない。
けどどうみても可愛いワンコに見えてしまう。
「二人は普段ご飯とかどうしてるの?」
「おじちゃん達がパンを1個毎日持ってきてくれるから…」
二人でパン1個って…
「二人はこのままずっとここでこの生活をしたい?」
「ちょっとルイフ様何を考えてるのよ」
「二人共僕と来る?僕は学園の寮に入るから一緒にはいられないけど、ちょうど実家でメイドを募集しようかと思っていたんだ。ここから凄く遠いけど…ちゃんとお手伝いが出来ればご飯も毎日食べれるしもっと綺麗なところで寝る事だって出来る。ここにこのままいたらまた病気になってしまうかもしれないし」
警戒しているのか…アオがとても悩んでいる。
「ぉ姉ちゃん。ぉ兄ちゃんとこにいこ?」
「いいの?アカ」
「ぅん」
「ルイフ君お願いします」
「って事だから、シャルルさん協力してね?」
「もうー。わかったわよ。団長にはルイフ様が言ってね」
僕とシャルルさんは二人を連れて宿に戻る事にした。
その途中でシャルルさんに二人の服を何着か買ってきて貰った。
持ち物は特に何もないらしく手ぶらだった。
宿に戻りガンツさんに事情を話す。
「そうか、まールイフ様の決定だ。俺達がどうこう言う問題じゃないな」
僕とガンツさんは一旦外に出て、アカとアオをシャルルさんに任せる。アカとアオは体を拭いたりすらしていないらしく、凄く汚れていたのだ。
「待たせたわね、ルイフ様。入っていいわよ」
僕とガンツさんは中に入る。
「おー見違えたな。可愛らしい嬢ちゃん達だ」
「ルイフ様、似合いますか?」
「ルイフぉ兄ちゃん様?アカ似合う?」
知らない間に様ずけになっている。シャルルさんが教育?したのだろう。
「二人共似合ってるよ。アカはそのままお兄ちゃんでいいよ」
「ルイフ様それはダメよ?ちゃんと貴族として振る舞わないと」
「でも、アカはまだちゃんと言えないみたいだし、言えるようになってからでいいと思うけど…」
「アカ、ルイフ様よ。お兄ちゃんはいらないの」
「ぉ兄ちゃんなのにぉ兄ちゃんいらないの??」
「シャルルさん構わないからそのままで」
「わかったわよ」
僕はガンツさんとシャルルさんに帰るときに二人を連れて行って貰う事にした。トマにもメイドとして教育して欲しいと話してある。
これで二人は大丈夫だろう。領地に可愛いメイドを獲得だ!
アカとアオは犬の獣人だと思っていたら狼の獣人らしい。
違いはよくわからないが…洗う前は灰色の毛だったが、今見ると白い綺麗なモフモフがとても可愛らしい。
今日はシャルルさんの部屋で二人は寝て貰う。
夕食を余分に頼み部屋まで持ってきて貰い二人に食べさせた。
二人はオーク肉のステーキをこれでもかというくらいのリアクションで食べていた。これだけ感動してもらえると嬉しいものだ。領地に戻ったらさらに美味しいボアの肉が食べれるが量が少ないので、食べ溜めして置いて欲しいものだ。
二人は初めての事やお腹いっぱい食べた事で眠くなったようで寝てしまった。僕も明日は結果発表なので早めに眠る事にした。




