episode:30
まだ日が昇る少し前…
「ルイフ様、ルイフ様…」
僕は目を開ける。
「まだ暗いよ…」
「ルイフ様今日の約束忘れたんですの?」
「約束…ってシャルルさん早いよ。まだ日が昇ってすらいないよ」
意識がだんだんとしっかりとしてきてようやく理解出来た。
シャルルさんと昨日約束した模擬戦の事だ。
それにしても早い。もう少し後でも十分依頼の待ち合わせに間に合うというのに。
「私は楽しみであまり寝れなかったのよ」
僕は仕方なく起きる事にする。
シャルルさんに先に裏庭に行ってもらってその間に僕は水魔法で顔を洗い目を覚ます。
待たすのもあれなので、裏庭へ向かう。
裏庭へ着くとガンツさんがいた。
「あれっガンツさんも起きてたんですね」
「そりゃあこんな勝負見逃せねえからな。シャルルに迎えに行かせてる間に朝の稽古をしていたんだよ」
シャルルさんは準備運動も終わってるようで凄い集中しているのが良くわかる。静かに闘志を燃やしている。
僕も準備運動をする。ストレッチはこの世界では特に重要だ。
スキルも身体の負担までは補助してくれない。
いくら強いスキルでも身体が正常に動かなければ最大限発揮出来ないのだ。
「お待たせしました。ではやりましょうか」
「お願いします。ルイフ様」
「よし、俺が合図をしよう、5、4、3、2、1、開始だ」
シャルルさんが動こうとした瞬間、僕は既にシャルルさんの首元に剣を当てていた。風圧でよろけて尻餅をつくシャルルさん。
ガンツさんの時と同じ状況だ。せめて父様くらいの強さがないと今の僕の素早さに付いてくるのは難しいだろう。
もう少し身体が成長すればさらに速くなるだろう。その時にはどれほど能力値が上がっているか楽しみだ。
「えっ一体何が」
「俺も同じだった。これがルイフ様の本当の力だ。理由はわからんが団長にはこの事は内緒だ…」
「内緒なのはいいけど。10歳でこんなに強いなんて…一体ルイフ様は何者なの」
「僕は僕だよ…あんまりそこは気にしないで貰えると有難いかな。これから先僕は村のみんながもっと快適に過ごせるように色々して行こうと思ってる。その時は手伝ってねシャルルさん」
上目遣いで僕はシャルルさんにお願いをする。
10歳だしまだいけるだろうか?
「そんな可愛い顔でお願いされたら断れるわけないわよ」
チョロイ…
「ありがとうございます」
「それにしても団長よりルイフ様のが強いんじゃないのー?」
「お前俺と同じ事言うなよ」
「父様にはまだまだ敵いませんよ」
僕はこれからする事を少し二人に話した。
まずは…
・冒険者ランクを上げる
・領地を発展させる
主に二つを話した。
僕はまだまだ強くなりたいので強い魔物を狩りたい。
なのでランクを上げつつ魔物を倒す必要がある。
「では私がルイフ様について行くわ」
「いやダメだろ」
「ダメですよ。領地を父様と守ってください」
「えーそんだけ大人びていて強いルイフ様なら私を貰ってくれると思ったのに」
「シャルルさんは美人ですが…流石に10歳の僕から見ると恋愛対象には今のところならないですよ」
「はははっそうだわな。シャルル残念だったな」
「もぉ…そんなはっきりと言わなくても。ルイフ様がもう少し大きくなったら興味が出るかも知れないじゃない」
「そうなったらお前はおばさんだな」
「忘れたのかしら?私は獣人とのハーフよ?見た目はしばらくこのままよ」
「シャルルさんって人族じゃないんですか?」
どう見てもシャルルさんは普通の人族にしか見えない…
耳も無ければ尻尾も見当たらない。モフモフもない。
まさか、服の中はモフモフ…なのか!
「そうね、人族の血が濃いからほぼ人族とかわりはないわね。成人を越えると老いが緩やかになるくらいかしら?後は身体能力が人族より多少高いわ」
「いいとこ取りってやつですね」
「ふふふっそうね。興味が出たら言ってね」
「はい、その時は…是非」
前世の僕から見ると全然ありだ。見た目は20台前半。
こんな子が大学にいたら皆がほっとかないだろうな…
しかし、10歳の精神に引っ張られているからか、魅力的なのはわかるが、興味が湧くかと言われると湧かないのだ…
話している間に朝食の時間になった。
トマがお迎えに来てくれたのだ。いつも通り仕事が出来る。
朝食はパンとスープだった。
パンには林檎の炒めたものが入っていた。林檎パン?と言った感じだろうか。領地ではパンをスープにつけるだけなのでとても贅沢だ。
ご飯を食べ終わったので準備を整えて門に向かう。
門に着くとフェンさんが既にいた。
「おはようございます。フェンさん。遅れてしまいましたか?」
「おはよう、ルイフ君。師匠もシャルルの姉さんもおはようございます、僕は依頼に行く時は誰よりも早く来ようと心掛けているんだ」
Aランクにもなって一番に来るように意識してるとは凄い人だな…
強くなるほど傲慢になる人が多いので最後に来そうなものだが。
「おう、フェンよろしくな」
「フェン君、よろしく」
僕達は馬車に乗って出発する。勿論御者はトマだ。
王都から1日の距離の森に今回は行く。
◼️順路
王都から東に5時間ほど進む
ロック山脈を越え3時間ほど進む。ちなみにロック山脈は整備されているので6時間ほどの道のりで越えることが出来る。
途中山脈に用意されている野営場で休息を取る予定だ。
森の名前はエンビスの森。
魔力溜まりが出来やすい森で弱い魔物でCランク。
今回は中腹の分岐を越えた先に普段はいるレッドスネーク退治だ。奥にはAランク級の魔物もいるらしい。中腹地点の分岐はユグル聖国へ行く道として通るのでここに強力な魔物がいると困るのだ。
普段は分岐にはいてもCランクの魔物しかいないようだが、なぜかレッドスネークが居座っているらしい。通る事が出来ず戻る商人も多いようで早急に倒して欲しいとの依頼だ。
レッドスネークは皮膚も硬く、動きも素早いので3日前に貼り出されていたようだが、中々受ける人がいなかったようだ。
王都から東に進んだ道にはほとんど魔物がいなかった。
商人の交易路になるので普段から間引かれているので魔物もあまり近づかなくなったらしい。といってもゴブリンや、フォレストウルフくらいしか出ないのだが。
順調な道のりの中、昔話をフェンさんから聞いた。
なんでもガンツさんは昔は冒険者ギルドのドンみたいな存在で、
常に弟子希望が絶えなかったらしい。
面倒見の良いガンツさんのおかげで今BランクやフェンさんのようにAランクになれたものが何人もいるらしい。
ガンツさんに会わなければ今生きていなかったかもな…と思い出しているのか暫くフェンさんは無言だった。
シャルルさんは、美人で強いからファンが多かったが、当時はとてもクールで人を呼び付けない感じだったようだ。
それが逆にファンを熱くさせ、熱狂的なファンも多かったとか。
冷めた目で見られると興奮するような人がファンの多くをしめていたことから。氷の女王とファンからは呼ばれていた。
この事を話し始めてからシャルルさんの様子がおかしくて笑ってしまった。シャルルさんにとっての黒歴史なのだろう。
楽しく話している間にロック山脈に到着した。
ロック山脈は山道を抜けていけばそれほど問題になる魔物は出ない。
しかし、山道を逸れて山の山頂に向かうとドラゴンがいるらしい。中腹ですら山道を逸れるとワイバーンがいるらしいので行くものはいない。襲って来たりしないのか?と思うが、縄張りから出ないのでこちらから近づかなければ大丈夫らしい。山の野営場からワイバーンくらいならたまに見えるらしい。一度ドラゴンを見て見たいものだ。日本でよく見るアニメや漫画の世界のドラゴンに似ているのだろうか?
それともドラ○ンボー○とかに出て来る7つの玉集めると出て来るような蛇っぽいドラゴンなのだろうか。強くなったら会いに行くのも楽しみだ。
ちなみに龍はSSランクだ。Sランクまでしか冒険者はないので簡単に言えば勝てないから近寄るなと言った感じだ。ワイバーンはBランク上位なのでAランク冒険者パーティーなら勝てる。Sランククランが主催で竜なら狩りをした実績があるとフェンさんが言っていた。また詳しく火竜について聞きたいものだ。
野営場に着くと何組か商人や冒険者達が滞在していた。
僕達は端っこの空いている所にいき休憩する。お昼ご飯はトマが宿に頼んで持って来てくれていた。お肉と野菜入りのパンだ。
「ルイフ様大丈夫か?疲れてないか?」
「お尻が痛いくらいかな。馬車に座ってるのはまだ慣れないかな」
「そうか…それは慣れだな。慣れればお尻が硬くなっていくからな」
「ちょっとー…ルイフ様のお尻が硬くなる訳無いじゃない。いつまでも可愛いままよ」
どういう理屈だよ…僕も後5年もすればこの可愛い姿ではなくなるというのに。
「シャルル姉さんってこんなキャラでしたっけ?…師匠」
「こいつはルイフ様にはいつもこうだぞ」
フェンさんが驚いて見ている。昔のシャルルさんを知らない僕にはわからない。いつも優しいお姉さんって感じの印象しかない。
「とりあえず休憩が済んだらすぐ向かうぞ」
今はお昼頃だ、ここから3時間くらい進むと草原にでる。
そこからさらに3時間でエンビスの森だ。森から1時間ほど離れた所に野営地があるのでそこで仮眠をとったら森に入る。
森に入ってから中腹の分岐までは1時間ほどだ。
「ワイバーン見れなかったなー…ガンツさん達は見た事あるんでしょ?」
「あぁ、俺らは冒険者長いからな。いつか見れるさ」
ワイバーンが見れないのは残念だったが、僕達は草原に向かって山道を進む。3時間ほど経ってもようやく草原に到着する。
山道を歩くのは能力値が高くても精神的疲労がとても溜まる。
山を降りた先は広大な大草原だった…
凄い景色だ。こんなの日本では見たことがない。馬車や人が通る道は整備されているもののその周りは全て草原だ。
こんな所で寝転んで、ゆっくりしたら気持ち良さそうだ。
3時間ほど歩いてようやく野営地についた。
意外と魔物って出ないんだな…と思って聞いてみた。
基本整備されているところは定期的に間引きされているから出ないらしい。そして魔物は一定の縄張りを持っているらしい。
街は基本安全だが、村などは森に面していたりするため、危険なところもあるらしい。
僕の領地も森に面しているので定期的に間引きをしている。
そのおかげで村に魔物がきていなかったようだ。知らなかった。
野営地は道脇に作られている。丸太で囲まれたキャンプ場みたいな感じだ。テントを張り、野営準備をして行く。
テントの張り方を知らなかったので、僕も手伝う事にして教えてもらった。
久々にフェンさんが師匠であるガンツさんに稽古をお願いしていた。
ガンツさんは軽々いなしていたが、さすがAランクだ。
途中からはガンツさんも本気を出していた。結局ガンツさんが勝ったがフェンさんの技術も侮れないものがあった。
そしてそこで問題が発生した…
「ルイフ様お食事です。といっても…野営用の干し肉なので申し訳ないのですが…」
「気にしなくて大丈夫だよ。僕は冒険者になるんだから」
貰った干し肉を食べる。
まずい…想像以上だ。
ここは仕方ない。僕は亜空間収納の中から、果物を出してこっそりと食べている。
「ルイフ様?何してるかしら。そこで」
僕は急いで押し込んだ。
「んっ 何もしてないよ…?」
「ルイフ様…」
シャルルさんが突然僕の目の前に顔を近づけてきた。
良い香りがする。
「これは、リンゴの香りね。みんながまずい干し肉食べてるのにルイフ様は…隠れてリンゴなのね」
キスされるかと思った、どうやら匂いを嗅いで確かめたらしい。
バレてしまった…
「後1個あるからあげるよ…だから内緒ね」
「仕方ないわね、そういう事なら貰うわね」
まだまだあるが、亜空間収納は流石にまだ話せない。
時空魔法の使い手自体今現在いないようだし。
シャルルさんは美味しそうに食べている。
食べ終わった二人は、稽古中の二人を見に行く。
野営地の外ではまだ稽古が続けられていた。
二人とも凄くタフだ…
「そろそろ休むわよ」
「おう、もうそんな時間か。フェン俺らも飯にして交代で寝るぞ」
「はい、師匠」
ガンツさんとフェンさんは無言で干し肉を食べている。
これはなんか申し訳ない。
帰りは我慢しよう…
二人が食べ終わったので、僕達は交代で寝る事になった。
まず初めに僕とシャルルさんが睡眠を取る事になった。
疲れているのですぐに眠れそうだ…
気づいたら交代の時間だった。爆睡していたようで、疲れも取れてスッキリだ。ガンツさんとフェンさんと交代して見張りに着く。
見張りについた時に僕はいい事を考えた。
それは…地面の土を少し弄って柔らかくして程よい硬さにする事で
見張り中の僕のお尻を守る事が出来るのではないかと考えた。
僕はイメージを集中させる。
シャルルさんにバレないように、お尻の下の土を柔らかくそして程よい硬さに。そう、低反発の枕をイメージする。
徐々にイメージが形になっていく。
そして、ついに出来た。僕はお尻を保護する事に成功したのだ。
「ルイフ様と冒険に出る事になるなんてなんか不思議ね」
「そうですね、安心して旅が出来るので、僕はとても助かってますよ、シャルルさんみたいに強い方がなぜ、田舎の町に…というか父様についてきたんでしょうか」
僕は長年思ってた疑問をぶつけた。
答えは意外にシンプルだった。
魔族との戦争中に自分の力に自信があった二人は他の騎士と共に魔族に突っ込んで行ったらしい。そして返り討ちに合い、ここで終わりか…と思ってた時に、父様が魔族と戦い、一人で魔族を倒し、まだ生き残っていたガンツさんとシャルルさんが救われたらしい。
要は命の恩人というやつだろう。
父様の強さに惚れた二人だったのだ。
その成果で父様が領地を貰ったのを聞いて二人ですぐに父様の所へ行き一緒に領地へ行きたいと伝えたそうだ。
最初は渋っていた。何せ二人は騎士の中でも出世コースを歩める実力があった。田舎の町に行くのはそれを潰す事になる。
めげずに二人は父様にいい続けた。
ある日父様が模擬戦をしようと言い出した。
そこで二人は父様と2:1で戦った。
認めて貰うためにそれはもう必死に…
そして敗北したものの二人の本気を認め、領地へ一緒にいけるよう父様は当時の騎士団長に頭を下げてくれたらしい。
そんな昔話しを聞いているうちに朝日が昇る。
僕達はガンツさんとフェンさんを起こしに行く。
テントの中に入ると既に二人は起きていた。
さすが長年冒険者をしてるベテランだ、時間には敏感だそうだ。
勿論トマは既に起き、馬の世話をしている。
朝食は…干し肉だ。我慢して食べた。
「よし、行くか」
ガンツさんの合図で出発する。
目指すはエンビスの森の中腹だ。
森の前に到着する…聞いていたほど恐ろしそうな森には見えない。
「思っていたのと違いますね。意外と普通の森に見えます」
「入って見たらわかるよ。ルイフ君、僕も最初はそう思ったからね」
「とりあえず、入って見たらわかるわよ」
森の中へ入ると言っていた意味がわかった。
徐々に光が失われ薄暗い不気味な雰囲気に変わって行く…
商人達もこんな所を通らなくてもいいのにな。
「薄暗い…こんな薄暗い所通るより遠回りした方が良さそうに見えますね」
「それでもここを通るのは、大回りをすると距離があるのもあるけど、ユグル聖国からするとここ以外の道が出来るのは困るってのもあるんだよ」
「戦争が起きた時のため…ですね。ここなら攻めるのも難しいですもんね」
「そうだ…少なくともルーンステラの攻撃の心配はいらなくなるからな」
「って事は他の国は別のルートから行けるんですか?」
「そうだな、聖国から見て西に位置するフェデル帝国なんかがそうだな。完全な軍事国家だからな…警戒するのも無理はない」
帝国…大体軍事国家っていい事しないんだよなー。
日本にいる時も核やら…いい噂がなかった。
歴史上でも酷いことをする国が多い印象だ。
いずれ冒険者として行くこともあるかもしれないけど、あんまり行く気がしないなー。
1時間もすると中腹付近についた。
「ちょっと待ってろ。見てくる」
ガンツさんが斥候をしてくれるようだが過保護すぎだ。
僕がやらないと意味がないんだけどな…
ガンツさんが戻ってきた。
「ちょっとまずい事になった…レッドスネークは確かにいたんだが、あれは特殊個体だ」
「どういう事よ、依頼はレッドスネークだったはずよね?」
「恐らくだが…レッドスネークの特殊個体を見た事がないものが依頼したのだろう。見た目は少し普通より大きいだけのレッドスネークだ」
「ガンツさんはなんでわかったの?」
「昔騎士団の団長に聞いた事があるんだよ。レッドスネークそっくりだが牙の色が黒の特殊個体がいるってな」
「今回は帰還かな?依頼間違えじゃ仕方ないしね。倒せるのであれば倒して行きたいけど、僕達4人だけじゃ厳しいですよね?師匠」
「そうだな…恐らくAランク中位くらいか?いや…上位もあり得るのか」
Aランク中位…そんなやばい敵がいるのか。
僕ならなんとかなる気がするが、フェンさんは僕の事を知らない。
どーしよーかな。こんな所にいつまでもいたら困る気がする。
「フェン急いで町に戻って知らせてきてくれるか?俺達は見張っておく。一番身軽で助けを呼べるのはお前だろう」
「はい、師匠任せてください、パーティメンバーを呼んで戻ります」
フェンさんは急いで準備をして帰還した。
これなら…挑む事が出来る。
「これでいいだろう。ルイフ様やりたいんですよね?」
「正直わからないから、ちょっと僕も見てきますね」
戦いに絶対はない。それに初めてのAランクモンスターだ…
僕は慎重にレッドスネークの特殊個体を見にいく。
木の陰から覗いてみるとレッドスネークは塒を巻いて分岐のど真ん中に陣取っていた。動く気配はなさそうだ。寝ているのだろうか。
体格は前に見たレッドスネークより大きい。
そして厳つい顔に黒い牙。鱗も一枚一枚がとても大きく見える。
こんなのが襲ってきたらまさに災害だ…
でも勝てる気がする。勿論ボールを使う前提なのだが。
剣術だけでは多分勝てないだろう。
僕はガンツさん達の元へ戻った。
「なんとかなりそうなんですが…一人でやりたいです」
「ふむ…やはりか。シャルルと話していたがルイフ様はお一人でするというんじゃないかと話していたとこだ」
「私達がいれば囮くらいは出来るけど…それでも一人で行く?」
二人を囮になんて出来ない…それに威力の上がったカラーボールを使って慣れないAランク級の魔物と戦っては巻き込むリスクのが大きい。
「ごめんね。巻き込む可能性があるからそれは避けたいんだ」
「わかった、だがなこれでも俺達は護衛だ。何かあればこっちに逃げてこい、時間稼ぎくらいはしてやる」
「そうよ、絶対に無理はしない事約束してね、ルイフ様」
「わかりました、約束します。ちょっと待っててくださいね」
僕は、戦う準備をする。その前に女神様に聞きたい事があった。
木の陰に隠れながらソフィアを呼び出す。
時空魔法の応用で召喚魔法と言うものがある。自由に出来る代わりにいつでも連絡が取れるように契約をしたのだ。
これはソフィアからの提案なので僕がした訳ではない。
召喚契約をすると魔力をスムーズに吸収出来るらしい。
「ソフィアちょっと聞きたいんだけど、次元切断って今の僕だとこの蛇相手にどれくらい時間必要…?」
「わー怖そうな蛇。うーん、5秒は止めて置けないと厳しいわね、普通に大技で倒せばいいんじゃないの?」
「あんまり被害を出すと道が使えなくなっちゃうからね。ここ聖国へ行く大事なルートみたいだし」
「ふーん、私はちょっと戻るわね」
ソフィアはどこかへ行ってしまった。
最近何かをしているようだが、念話で会話は済むため追及していない。
次元切断は亜空間魔法とかを試していた時にソフィアに聞いたら使えると言われたので練習していた魔法だ。
よく小説で最強に分類されている魔法として知っていたので、使えれば便利くらいな気持ちでソフィアに聞いた所存在したのだ。
300年前勇者パーティーにいた賢者が使っていたらしい。
ただ、今の僕では練度が足りないようで相手が動いていると使えないのだ。座標の固定が出来ず魔力が飛散してしまう。
そんな致命的な技をこんなところで使うのはリスクなのだが、周辺被害を最小限に抑えたいので赤のボールなどは出来るだけ避けたい。
最大限で投げたらクレーターだらけになってしまうだろう。
範囲は狭いがたくさん投げれば…悲惨な光景だ。
それに特殊個体は珍しい…素材を確保して置きたいのだ。
僕はいつもとは作戦を変える事にした。
いつもなら地面を凍らせてから滑らせて隙を作り倒すのだがそれをしてしまうと結局被害が大きくなる。
今回は落とし穴大作戦だ。
見張りの時に僕がお尻の下をバレないように柔らかくしたのと同じでレッドスネークの目の前の地面の中を水魔法と合わせてドロドロにしていく。そしてそこにハマったレッドスネークに向けて魔力を最大に込めた黄色のボールを3つほど放りこむ。
動きが止まった所で首を時空切断で切断するのだ。
いい作戦ではないだろうか?…
いつものように滑らせ痺れさせ爆発させ…と言った作戦とも言えない戦い方とは違う。今日は頭を使ったのだ。
気付かれないように魔力を最大限隠蔽しながらレッドスネークの手前2mほどのとこから大きな泥沼を地面の中に作っていく。
深さは…5mもあれば平気かな?
長さが20mほどあるからもっとかな?
考えながら進めていく。
結局10m四方ほどの落とし泥沼を作る事になった。
まだ慣れないせいか、20分ほどかかってしまった…ガンツさん達が心配してそうだ。何の音もなしに時間だけが過ぎていくのだから、おそらく気になるだろう。
準備は出来た…僕はレッドスネークの目の前に行き、黄色のボールを鼻の穴に投げた。
ビリビリビリビリビリッ
キシャーーーーーーーーー
レッドスネークの怒りの声が鳴り響く。
周辺を見た後僕に気づき睨みを効かせてくる。
僕は穴の1歩手前から対峙している。凄い威圧力だ…
正直怖い。こんな恐ろしい顔で睨まなくてもいいのに。
僕が次のボールを投げようとするとレッドスネークが突っ込んできた。
ビシャーーーーーーー
ベチャ
バチャバチャバチャバチャ
落ちたレッドスネークが大暴れしている。
だが、塒を巻いていたので気付かなかったが、思った以上にデカイ。
中心部は溺れているが、顔と尻尾部分は完全に出ている。
これでは切断出来ない。
凄い暴れようで泥がこちらにも飛んでくる。
風魔法でバリアのようなものを張り泥を防ぐ。
穴の寸法を完全に間違えた…ここからどうしようか。
暴れているため泥が掻き出されて徐々に泥沼が浅くなっている。
すぐに出てきそうだ…
さらに下へ掘って深くすると言う方法も考えたが…
今の練度では恐らく難しい。ゆっくりなら掘れるが、上がってくる方が早いだろう。
思いつかないので一先ず魔力を最大に込めた黄色のボールを投げ入れる。魔力を最大にしたボールは初めて使う。
バチバチバチッ
ドッガーンッ…眩い雷の柱が現れた?
雷が上からではなく下から生えたのだ。
凄い音に僕自身びっくりしてしまった。
作った穴丸々雷の柱で見えなくなった。
レッドスネークは…どうなったのだろうか。
念の為に少し離れて待機する。
光と煙が収まり、僕は様子を見にいく…
薄っすらまだ煙は残っているが雷で焼けたのだろう。
素材は無事だろうか。
煙がなくなり、レッドスネークの姿が見える。
赤かったレッドスネークが黒焦げになっている。もはや素材としては使えなさそうだ。
僕はそのまま近づき生死を確認しにいく。
ギャゥゥゥゥ…
まだ生きていた。近づこうとする僕を威嚇してくる。
真っ黒なのでどこが顔かよくわからないが。
さすがAランクの魔物の中でも防御力の高いレッドスネークの鱗だ。
あれだけの雷でも生きているなんて。
敬意を評して僕は赤色のボールを取り出す。
僕の最大の威力のボールで止めを刺すのだ。勿論魔力は込めていない。そんな事をしたら僕まで大変な事になってしまう。
僕は少し離れレッドスネークの頭に向けて投げる。
ドカーン
レッドスネークの頭は吹き飛んだ。
魔力を最大に込めたボールを使う時は僕自身離れるか守れる方法を模索するべきだろう。最初から使っていたら僕も巻き込まれていたかもしれない。罠を張った事で泥水の中だけで雷が収まったのが幸いだった。
とりあえず、終わったので二人の元へ戻る。
「戻りました、討伐は無事に済みましたよ」
ガバッ
シャルルさんだ。いきなり飛び付いてきた。
「心配したわよ…こんなに不安な戦いは初めてだわ」
「ちげえねえ、ルイフ様に何かあったら俺は団長に合わす顔がねえな。護衛なのに幼いルイフ様に任せて何も出来なかったなんてな…帰ったら鍛え直すぞ」
「心配かけてすみません。この通り怪我はないので大丈夫です。素材はボロボロにしてしまいましたけど…」
「素材なんていいわよ、無事でよかった」
「まぁ、一様報告しないといけないからな、見にいくか」
僕達はレッドスネークの元へ戻ったが…
そこにあったクレーターを見て二人が唖然としている。
「一体何をしたんだ…どうしたらこんな事に。それにレッドスネーク が丸焦げじゃねえか」
「ルイフ様にはまだまだ秘密がありそうね」
二人の視線が…痛いが。まだ言う時ではないのだ。
「これで完了って事でいいんですよね?それよりこの場所めちゃくちゃになってしまいましたがどうしましょう。なんかペナルティーとかあるんですかね?」
レッドスネークを倒したが、分岐のど真ん中がクレーターになっている。これでは馬車は通れない…直そうと思えば直せそうだがこれを直してしまったらそれこそびっくりされるだろう。
「いや、Aランクのレッドスネークを討伐したんだ、街道の被害くらい小さいもんだ。寧ろ感謝されるだろうな」
「今回の事はとりあえず3人で倒したって事にしましょう」
「え、ランクに大きく貢献されるけどいいの?早くランクの高い冒険者になりたいって言ってたじゃない」
「今は目立ちたくもないんですよ、二人と一緒に倒したなら多分僕に目が行く事はないでしょうし」
「ルイフ様の頼みなら俺達は聞くだけだが」
「ありがとう。二人共、帰ろっか、トマが待ってる」
「ちょっと待て、多分だが…お、あった」
「それレッドスネークの牙?ですか?」
「おう、特殊個体の牙は凄い頑丈と聞いていたからな、無事なんじゃないかと思ったが、傷はついてるがほとんど無傷だな」
驚いた…
あの攻撃を受けて牙はほとんどダメージを受けてないなんて。
魔法無効耐性に近いものを持っているのだろうか。
僕達は帰るためトマの待っている野営地に向かう。
何か忘れている気がするがいいだろう。
トマの元へ着くと馬の世話をトマがしていた。
安全地帯とは言え一人に長い時間してしまった。
「遅くなってごめんね、トマ」
「いえいえ、ご無事で何よりです。おかえりなさいませ、ルイフ様」
全くもってうちの領地には勿体無いくらい出来た執事だ。
何か今度お礼でもしようかな。
時間もかかってしまったので、早々に帰るため休憩を少ししてロック山脈を目指す。
3時間ほどだろうか…ロック山脈に到着した。
ここからまた野営地まで行くのに山道をひたすら進む必要がある。
車や飛行機がとても恋しい。
夕方暗くなってきた頃野営地に到着した。
昨日来た時より人が多く賑わっている。森は通れないのにどこにみんな行くんだろうか?疑問になって聞いてみると。
どうやらダンジョン都市ラビリオンに行っているらしい。
ダンジョン都市は町のすぐ外に3つのダンジョンがあるらしい。
◼️初心者用のイージスダンジョン
主にFランク〜Dランクが利用するダンジョン。
既に最奥が確認されており10F層が最深部だ。コアは破壊されないまま置いてあり、都市が素材やお宝を常に取れるように管理するダンジョンだ。
◼️中級者用のハーディスダンジョン
主にCランク〜Bランク向けのダンジョン。
最深部は30F層と初心者ダンジョンと比べると広い。
ここも管理されているダンジョンだ。
◼️上級者向けのアビスダンジョン
主にAランク〜 Sランク向けのダンジョン。
未だに10F層を突破出来ないらしい。5F層からAランク魔物が出てくるらしいが、数も多くSランククラン主催の高ランク討伐でようやく行けたのが、10Fのボス部屋の手前らしい。
そこに着くまでに瀕死のものが多く発生し、帰還した。
中級が30F層なので恐らく50F層またはそれ以上だろうと言われており、間引くのが精一杯な現状だ。
しかしAランク級のモンスターが沢山いるのでたまに大規模なクラン討伐が行われる。その後はオークションが開かれ凄い金額が動くのだとか。
そんな話を聞きながら、行って見たいなーと思っていると。
「ダンジョン都市に興味があるのか?坊主」
「はい、冒険者になったので是非そのうち挑戦したいと思っています」
「はははっ勇敢な事だな。この先が楽しみだ。俺はCランク冒険者のベンネだ。そしてこっちがライネとメナックだ。3人で青の巨人ってパーティーを組んでる。普段はダンジョン都市で冒険者をしている。もしくる事があれば頼ってくれ。色々話を聞かせてやる」
「ありがとうございます。その時は是非お願いします」
その後軽くダンジョンの話を聞かせてくれた。
イージスダンジョンは主に、スライムから始まり、ゴブリン、ゴブリンメイジなど中位種が出るらしい。10Fのボスはホブゴブリンかジャイアントスライムらしい。
有意義な時間だった。しかし青の巨人ってなんでつけたんだろ。
その後先に僕とシャルルさんが仮眠を取り、ガンツさんとトマがその後交代して眠る。トマはいつも通り馬車の中で寝ているが…
痛くないのかな。家族みたいに思っているし、テントで一緒に寝ればいいと思い誘ったが、それはダメらしい。優しいのは嬉しいが貴族としての行動も必要だと、逆に諭されてしまった。
見張りの番の時に鑑定をして能力値を確認した。
鑑定があるので僕はスクロールを使わなくていいので便利だ。
確認したのがこちらだ。大分レッドスネークのおかげで上がっていた。
___________________________
◆ステータス◆
名前:ルイフ・アリオス
年齢:10歳
レベル:24→41
HP1150→1420
MP860→1260
力 820→1080
体力 650→910
知力 400→560
敏捷 630→970
スキル
(武術)
身体能力強化7 剣術lv7→8 弓術lv3
見切りlv4 剛力lv2 投擲lv8
威圧lv2
(魔法)
火魔法lv4 風魔法lv3→4 水魔法lv2→3
魔力操作lv3→6 魔力回復lv2→3 詠唱短縮lv1→10
(その他)
鑑定lv7→9 気配察知lv6→8 危機察知lv1→3
気配遮断lv3→6 隠蔽lv2→6
ユニークスキル
カラーボールレベル4→5
加護
▪️▲ネ加護
女神の加護
称号
転生者
生死を賭けた者
スキルコレクター
______________________________
Lvは41と大幅に上がっている。格上だった事と加護の影響だろう。
能力値もかなり引き上げられた…能力値が上がるほど加護の影響か上がりもいい気がする。%で計算されているのだろうか?
スキルはあれから出ていないので増えていない。土魔法をイメージで使って見たがやはり覚えることは出来ていないようだ。
スキルがある方が負担が少なくなるので、イメージで使えるとはいえ、負担も大きい。スキルがあると勝手に補助して補ってくれる部分があるので、全然効率が違うのだ。
スキルも少し成長している。主に使ったスキルだけだが軒並み上がっている。
そしてカラーボールがついに5lvになった。
新しい能力がどうなったか見てみる。
◼️カラーボールlv5
・追尾機能と合成機能が追加
・黒色のボールが追加
・一度に出せるボール数×16
重さ80g
◼️追尾機能
投げたボールがそれても当てたいと思った間に当たるまで追尾する
◼️合成機能
ボールと物を合成出来るようになった。
例(赤ボールと剣を合成。爆発する力を持った剣になる)
但し合成すると威力は大幅に下がる
◼️黒色のボール
当たった相手の重量を重くする効果があるボール
ついに追尾機能が来た。
適当に投げても当たるという事だろうか。
もはや、カラーボールミサイルではないか。
合成は後々使えそうだ。魔剣みたいなのを作れるという事だろう。
町の騎士団の強化に使えそうだ。
重力を操るボール…カッコイイ
重くすることしか出来ないが、レッドスネークの時にあれば泥沼とのコンボが出来ただろう。色々と使い道を考えよう。
そんな事を考えている間に朝が来た。
シャルルさんも鑑定してみようかと思ったのだが…
僕の鑑定lvだと見てはいけないものも見えてしまう気がするので勝手に見るのはやめておいた。
父様の時は考えずにひたすら見ようと思っていたがプライバシーって大事だと思う。これは日本での前世があるからなのかも知れないが、どうしてもって時以外は敵以外見ない事にする。
人の内側を見る行為を見境なくしてしまうと付き合い方も変わってしまいそうだ。
ガンツさんが凄い勢いで目覚めて来た。
「フェンの事忘れてた」
「あら…そういえば」
僕達はレッドスネークを無事に倒した事からホッとしてフェンさんの事を忘れていた。慌てて帰ってパーティーメンバーを集めているはずだ。ゆっくりしている場合ではなかった。
急いでテントをたたみ、街へ帰る準備をする。
すると…
「あれ、師匠戻ってたんですか。お待たせしてすみません。みんなを集めるのに時間がかかってしまい…」
「あーそのなんだ…俺達で討伐したからもう解決だ」
「え、ええええっ…3人で倒しちゃったんですか。どんだけ強くなってるんですか。師匠達」
「ちょっと何よー。私達無駄足だったの?Aランクの特殊個体が出たからって休みなのにこんなとこまで来たのに」
斥候のナビアさんだ…お休みなのに呼び戻されたのに終わってたと聞いて御機嫌斜めなようだ。
「悪いな、状況が悪化して戦わないとまずい状況だったんだ」
「討伐出来たんだから、いいじゃないか。ナビア機嫌直してよ」
「もぉー、フェンが言うなら…仕方ないけど。ブツブツブツ」
なるほどそう言うことか…
というかフェンさんってまさに小説に出てくるハーレムパーティーだ。何と羨ましい。じゃなかった…けしからんものだ。
恐らく他の二人も…
僕達は街に戻る事にした。
その間どうやって倒したのかとか、フェンさんがしつこくガンツさんに聞いていた。上手い具合に逸らしながら一緒に街まで帰還した。
ギルドに戻ると大騒ぎになっていた。
レッドスネークの特殊個体など通常Sランクに依頼またはAランクパーティー何組かで挑むような魔物だ。
勿論Aランク上位のパーティーなら単体で挑めるだろうが…
Aランクなりたてでは歯が立たない。
フェンさん達が帰還した事で何があったのか…といった感じで
ギルド内は騒然としている。
僕達は受付に報告に行く。
依頼を受けたのは僕とフェンさんなので二人で報告だ。
「モナカさん、依頼完了の報告に来ました」
「あ、ルイフ君…無事で良かった。って完了?フェンさん達でてまだ1日しか経ってないけど」
「僕達がロック山脈野営地に着いたら既に討伐は終わっていたのでそのまま帰還したんですよ」
「えー3人で倒したって事ですか!?特殊個体はAランク中位に位置する魔物ですよ…ちょっとギルドマスター呼んできます」
一人でパニックになって慌ててモナカさんは行ってしまった。
少しするとギルドマスターが出てきた。
「ご苦労だったわね、モナカから事情は聞いたわ。とりあえず部屋まで全員来てもらうわよ」
僕達はマスタールームに行く。
「じゃあ…とりあえず事情をもう1回聞いていいかしら?」
フェンさんが代表して話をする。
レッドスネーク特殊個体を発見、そしてパーティーを集めるために自分が戻り、集めて出発した。
そしてロック山脈の野営地に着いた所で師匠を見つけ事情を聞いたら討伐したとの事で街へ戻った。
「じゃあルイフ君、次は討伐についていいかしら?」
僕は説明をする。
待機をして見張っていたら突然レッドスネークが暴れだした。
街などに移動されたらまずいと思い応戦しなんとか倒す事が出来た事。
「へぇーそう、とりあえずわかったわ、とりあえず依頼の個体とは違うから何か証明できるものあるかしら?」
僕は牙をギルドマスターに手渡す。
「ギルド証も預かるわね、この牙は買取でいいのかしら?」
「いえ、初討伐記念に残しておきたいです」
「そう、それは残念ね。とりあえずフェン君達はもういいわ。ルイフ君達は残って貰うわよ」
僕達は残されたまま、ギルドマスターが戻るのを待つ。
戻って来たようだ。
「待たせたわね、それで本当は何があったか聞かせてくれるかしら?ガンツとシャルル貴方達二人では荷が重いわ。一体ルイフ君何をしたのかしら?」
「僕は二人に守って貰っただけですよ」
「ふふふっそう言う事にしておこうかしら、ギルド証と今回の報酬よ。特殊個体って事で特別報酬が出ているけど…状況も急だったから本来の報酬ほどは出せないわ」
僕はギルド証と報酬の入った袋を貰う。
確認すると大金貨が4枚も入っていた。これはいい収入になったものだ。
ギルド証を見ると銀色のプレートに変わっていた。
「あの、ギルド証が銀色に…」
「えぇ、特殊個体を3人で倒したのよ。そんな人がCランクのままなのは問題なのよ、本部で確認を取って特例でBランクにさせて貰ったわ」
「良かったな、ルイフ様」
「さすがルイフ様ね、登録4日目でBランクなんて」
「ありがとうございました」
僕達はギルドを後にして宿屋に戻った。
「あれはバレてやがるな…」
「えぇ、そうね」
「何がバレてるんですか?」
どうやらギルドマスターは3人で倒した事は疑っていないが、僕が何かしたという事を確実に認識しているらしい。
そして驚いた事にギルドマスターはSランクの冒険者でもあるらしい。
「実力がある者から見れば俺とシャルルの実力では難しいとわかるのだろう。ルイフ様の実力を読むのは難しいみたいだから悩んでたようだがな」
「僕ってそんなに弱く見えますか?」
「こんな可愛らしい子供が強かったらびっくりよ。全然強いなんて思わないわ」
見た目が弱いと言われるのも考えものだが…
10歳の子供である以上仕方ない事だ。
今の僕とSランクのギルドマスターどれくらい強さの開きがあるのだろうか。ギルドマスターにも勝てないようじゃ魔王や邪神などがもし現れることがあった時に不安だ。
勿論勇者が現れるはずだから…関わるつもりはないのだが。




