表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕は異世界でカラーボールを投げる  作者: Rea
幼少期編
24/127

episode:24




今日は前からやろうと思っていた、井戸水を手押しポンプで組み上げる仕組みを作ろうと思う。


それにはパモスさんの協力が不可欠だ。

僕は3年間メンテナンスを行って貰いながら、信頼を勝ち取っていった。勿論前世の事は言っていないが、賢く閃く子と言う印象になっているはずだ。覚えている前世の記憶で役に立ちそうな事をたまに伝えて印象をつけていった。


勿論狩りを続けて力も証明した事も大きいかもしれない。

それとも、お肉を提供した事だろうか?ワイロのようなものではない。僕はメンテナンスの日には狩りをしてお肉を持ってパモスさんの所にいっていた。少しでも鍛治が捗るようにと思っての好意での提供だ。


そしてついにこの日が来た。

パモスさんから作りたいものを作ってやると言う言質をとった。


僕はパモスさんの所へ向かう、相変わらず熱気の強いお店だ。


「パモスさーん」


「パーモースさん」


大声で叫ぶと、パモスさんが現れた。


「うるさい、聞こえてるっつうの、で、何を作るか決まったのか?」


「はい、決まりました。紙借りてもいいですか?図面を描こうと思って」


「おう、ちょっと待ってろ」


僕はパモスさんに貰った紙に前世の記憶である手押しポンプのイメージを描いた。そしてそれに必要な部品も覚えてる限り書いてみた。


よくある、カーブの把手に蛇口が付いているタイプのものだ。

上下に動かす事で水が掬い上げられ蛇口に溢れて出るのだ。


一通り、仕組みは描いてみたがこれで伝わるだろうか…

小説や漫画などで見たことがある程度なので理論はわかるが作ったことがないのでパモスさんが作れるかがわからない。


「これでわかりますか?」


「これは…なんだ?物自体はわかるんだが、何をする武具だ」


武具だと思っているようだ。


「これは、井戸水を簡単に掬い上げる道具ですよ」


「何、どういう風になるのか説明してくれ」


僕は説明をした。


取っ手を上に動かす事により、筒に付いている上の弁の蓋が開き下の開いている弁から水が上にいく。そして、下に取っ手を動かす事で下の弁が水圧で塞がれ閉まる事で上弁も閉まる。上の弁が閉まっている事で行き場を失った水が蛇口まで押され溢れ出る。


わかるだろうか?説明は得意ではない。後はなんとかしてくれるだろう。確か呼び水も必要だ。


「ふむふむ、なんとなくはわかった、やってみないとどうにもならんが、これが出来たら町の暮らしは変わるだろう。水汲みは重労働だからな…これが本当にできるなら子供でも簡単に汲めるじゃねえか」


仕組み以外の事では作れないなんて一言も言わないパモスさん。

やはり鍛治の腕は一流だ。


3年間通っててわかった事がある。パモスさんはこんな町にいるような鍛治師ではない、っと思う。作ってくれるものの性能は普通じゃない気がする。フォレストボアからの突撃を受けても傷のつかない防具なんておかしいと思うのだ…勿論衝撃はくるし、痛みもあるが防具は無傷だったのだ。一体何者なのだろうか…



「少し時間もくれ、試作品をいくつか作ってくる。作るにしても時間がかかるからな。後は試作品はいいが、実際作るとなると少し素材が足りないかも知れん。錆びにくいようにミスリルパウダーを使う予定だが恐らく足りないな…」


これくらいなら父様に相談したらどうだろうか…

不審に思われることは無いと思うのだが。


「父様に相談をしてみます、パモスさんは試作品を作り始めてください」


「おう、いいのか?あまりお前は父親に頼りたくなさそうな気がしてたが」


「町の人の暮らしが良くなるのです、僕個人の考えを優先する気はありませんよ」


僕は父様の元へ向かった。

父様は執務室で仕事をしていた。


「父様失礼します」


「おう、なんだルイフ珍しいな」


「お願いがあるのですが、聞いていただけますか?」


「ルイフの言う事ならいいだろう、言ってみろ、無茶じゃ無い限り聞こう」


あれ、こんなに信頼されているとは…

これも、3年間の成果か…僕はこの3年間色々父様にアドバイスをしていたのだ。その一つが輪作である。異世界で内政チートと言えば輪作だろう。町では小麦も育てているし、森にはクローバーも生えているので問題ないだろうと思い、提案したのだ。


初めはなぜそんな事をと疑っていたが、祭りでの成果があった事から皆が後押ししてくれて試す事になった。徐々に成果が出ているようで僕の発言力が増しているのだ。


「ちょっと作りたいものがありまして、ミスリルパウダーと銅をたくさん欲しいのです」


「そうか、どれくらい必要かをまとめて出してくれたら用意しよう。お前の事だから町に必要なものなのだろう」


「ありがとうございます、父様。パモスさんに必要数を父様にと伝えておきます」


呆気なかったが、これで学園に行く前にはポンプも設置出来るだろう。衛生面の手配も色々としたいが、考えていることもあるので後回しだ。今は実験段階なのだ…後々伝えようと思う。


僕はすぐにパモスさんに伝えに行く。


「パモスさん、父様の許可が取れました。必要数を言ってもらえれば用意するとの事です」


「おぉ、早かったな。どんな説明をしたんだ?そんな簡単に許可が出るものでも無いだろう?試作品も含めると結構な金額になると思うが」


「欲しいものを伝えただけで、何を作るかはまだ伝えてないですよ」


「…ふむ。まぁお前を見てれば信頼して見たくなる気持ちはわかるな、俺が道具を作る事になるとはな…」


僕は隠し事が多い。それなのに信頼してくれる町のみんなの気持ちには応えたい。学園に行ったらすぐに帰宅は出来ない。距離も遠いしそんな長い休みも一年に1度あるくらいだ。それまでに少しでも出来る事をしておきたかったのだ。



数日が過ぎ…パモスから試作品が出来たと連絡が来た。

見に行くと僕の前世の記憶で見た事があるものとほとんど遜色のないものが出来ていた。

これを数日で作ってしまうとはさすがパモスさんだ。


「短いものでとりあえず試して見たがなんとか上手くいったはずだ。弁の開閉を上手くするのに手間取ってしまったがな。大きさを少しずつ調整したらなんとか水が出るまでに出来た。呼び水というのも初めて聞いたが、よく知っていたな?どこで見たんだよ」


「古い文献を読んでいて思いついたんですよ。家の書庫古い本が結構あるので、そこから似たようなもの作れないかなと考えたんです」


「ほぉ…それは凄いな、とりあえず試して見てくれ」


試してみると確かに水が出た。だが、取っ手の部分がかなり重いのではないのだろうか?


「水は出ますが…取っ手の部分もう少しスムーズに上下に動かせるくらいの重さにならないですかね、これだと子供には重い気がします」


「ふむ…やっぱり重いか。ちょっと改良してみる、また連絡する」


さらに数日が過ぎ、ついに出来たとパモスさんから連絡が合った。


「これでどうだ?」


試してみると、スムーズに開閉できた。

そして蛇口から出る水量もちょうど良さそうな大きに調整出来ている。後は実際に筒を長くして、井戸に入れて見ないといけない。


「その長いのが、完成品ですね。屋敷の裏の井戸へ行きましょう」


僕達は屋敷へ向けて移動する。

途中変なものを持っているものだから、町のみんなに注目されたがとりあえず手を振って屋敷へ向かう。


メイドのミラも呼んで設置をしてみる。

実際に使う人に使ってもらった方がいいからである。


パモスさんが井戸にポンプを設置する。


「ミラこれを上下に動かしてみて」


「はい、ルイフ様」


ミラが上下に動かすと…


ジャバジャバジャバー


蛇口から水が出た。桶の中に水が満たされていく。


「なんですか!これ!凄く楽です。ルイフ様」


「成功のようだな」


「パモスさんのおかげです。ミラ父様呼んできてくれる?」


「はい、呼んできますね」


ミラが父様を呼んできてくれた、お披露目タイムだ。


「父様これを見てください」


「おぉ、ようやく出来たのか…何を作るのかと思っていたが、これは一体」


「これを動かして見てください」


「これでいいのか?」


父様が上下に何度か動かす。


ジャバジャバジャバー


「これは…次はどんな事をするのかと思ったがこれ程のものを作り上げるとは。王都にすらこんな便利なものはないぞ?」


「あぁ、俺も初めて聞いた時は驚いた。これを売ればこの町はかなり発展できるんじゃねえか?」


「父様その事でお願いがあります。これは手押しポンプと言うのですが、これを売るのは後3年待って欲しいのです。勿論誰かにバレてしまった場合は仕方ないこともあるかも知れないですが。極力この町だけで収めて欲しいのです」



「それはいいが、これは人々の生活を豊かにするものだ。町だけで独占というのもな…それにお金が入ればお前の冒険者としての活動も捗るだろう?」


「それはわかってますが、革新的な事には障害がつきものです。僕が冒険者になって自分の身を守れるようになるまで待って欲しいのです」


「マルコ、ルイフの言う通りだな…この事を知れば必ず発明者であるルイフに矛先が向く。こいつは賢いがまだまだ未熟だ。待つべきだろう」


「わかった…そうしよう。悪いが多少町の利益も貰う事になるがいいか?7:3くらいになるだろう。パモスには町の分から1割払う」


「ありがとうございます。ルートについても考えがあるので僕に任せてください。3割ですね、十分です」


「いや、7がルイフお前だ。町には2割も残れば十分すぎる収入になるだろう」


あれ…2割の収益でも大きいのはわかるが普通は町に7割発明者に3割ほどで妥当ではないのだろうか。


「それは貰いすぎな気がしますので、半々でどうでしょう?」


「ふむ…ではルイフに5割、町に2割、パモス1割、残り2割はお前が町のために好きに使ってくれ。大人としての問題もあるのだ…子供であるルイフばっかに頼るわけにはいかん。それに皆、納得するだろう」



「わかりました、父様それでお願いします」



こうして学園に行く前に、町中にポンプをつける事が出来た。

町の人達は喜び…朝の重労働がなくなった事で、他の事に時間が使えるようになり、町の開拓が始まる事になった。

森を切り開き少しずつ町の規模を大きくする事になったのだ。



そして、10歳になり、数ヶ月が過ぎた。

再来週には学園の試験がある。クラス分けを決める大事な試験だ。

1週間後には王都へ向かう事になる。


その試験の3日後には結果発表があり、2日後には入学式だ。

僕は領地が遠いので、そのまま王都に滞在して合格すれば寮に入る事になる。とても楽しみだ。


合格できるのかって?

勉強もバッチリだ!とは言え幼稚園や小学生レベルの問題ばかりなので、歴史だけ覚えればほぼ満点を取れると思う。


実技は手加減するのがどちらかと言うと大変だろう。


その前に僕にはやらなければならない事があった。

そう、森の奥へ入ってみる事である。


フォレストボアでは限界を感じていたが、誰も入った事がない奥へ入るのは学園に入るギリギリまで鍛えてからにしようと決めていた。


そして来週から王都に立つ。最後の試練と思い今日、明日は奥へ探索に行こうと思う。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ