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Episode95 憂鏡の間

■今回初めて登場する書物■

『ドラゴン』(トリル・著)

竜族の伝説についての書物。全5冊の「『黄昏』別冊本」として書かれた物であり、その中でも竜に関する神話・伝承が詳しく記される。

 それから、谷底をしばらく進むとそこに3階建ての図書館があった。強い邪気を感じるし恐らくここに最後の『分霊の書』があるのだろう。

 「入るぞ。」

僕が言うと皆が頷く。ので、

ギィィィッッッ...

と軋むような音を立てる扉を強く押して開ける。見たところ敵もいない。

「大丈夫だ。」

僕はそう言って率先して入って行く。

 本棚は高く聳え、しかも奥まで続いている。上を見れば真ん中が吹き抜けとなった階層2つも見える。今までと比べてかなり広い。

シュシュシュシュシュ...

と上から本の化け物が現れた。

 「はぁっ!」

まず攻撃にかかったのはフレイア。聖なる拳が次々ヤツらを貫通し、一気に数体倒した。

「負けられるかっ!」

「負けられないわねっ!」

バーロン、マリアも言ってそれぞれ攻撃する。

「おらぁっ!」

バーロンは数体引き寄せてそこから一閃。

「シャイニングブレード!」

とマリアは幾つかの光の刃で数体一掃。

 倣って僕も

「魔力解放!」

と魔力波でヤツらを一ヵ所に集めてから、ソードビームで全て切り裂く。

ズドドドドド...

並んで、ニコラスは銃で撃ち抜いては撃ち抜き、弾が切れればマガジンを入れ換え再び銃撃を放つ。

「やぁっ!やぁっ!はぁっ!」

一方、テーラは突っ込んでくるのをナイフで何度も刺して倒していく。

 ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴン、ドゴン...!

すると、今度は上から炎の球やら光の球やらが飛んでくる。

「はぁっ!」

ギュゥンッ!

と言う音ともにも僕は真上へ。

「やぁっ!はぁっ!」

そこでその球をすべて弾き返し、今度は

「エレキスピア!」

と紫電の矢でヤツらを撃ち抜き、続くソードビームで止めを指す。


 そんな風に俺たち本の怪物を倒しつつ前進し、邪気の筋を辿っていく。

 「1階にはないか...。」

僕は呟き4人を連れたまま2階へ行く。先程よりも魔力が濃く感じられる。

「な、何この魔力...。」

それをマリアも感じたようだ。確実に書に近付いてきている証拠である。

 だが...。

「2階にもやっぱりなしか...。」

僕はまた同じことを呟き、いざ3階へ。

 すると、さらに魔力がまた増幅する。

「この先だ。」

そこでやっとのことで邪気の源を見つける。吹き抜けを奥まで進み、奥の壁まで行ったその先。しかし、もちろんそこには壁が立ち塞がっている。

 そこまで行くと、

「この先って壁しかないじゃない」

マリアは言う。が確かに、この先から感じるのだ。というか...。

「いや、この先だ。下と比べて壁までの感覚が狭い。恐らくだが、隠し部屋がある。」

などと言いながら端から本を弄ったり、棚のあちこちを叩いたりしている突如棚が沈んでそこに扉があらわれた。

 ガチャ、ガチャガチャ...

ドアを開けようとするとそんな音が聞こえてくる。

「どうやら鍵がかかってるみたいね。」

「あぁ。しかも...『オープン』っ!」

そう唱えても鍵が開かない。おそらく、魔法で解錠というのは無理らしい。

「なら、こうするしかない。」

僕は扉に手を翳す。

「離れてくれっ!」

それから皆にそう言う。

 そして、

「シャイニングインパクト!」

と光の爆発で扉を吹っ飛ばし中に入った。すると、目の前に分霊の書らしきものが落ちている。本の題は『ドラゴン』、著者はトリル。竜族の伝説についての書物と聞いたことがある。

 僕は魔剣に力を貯め、その書を穿ち貫く。すると、どこか別の所に転移した。


 「...!」

そこにはもう1人の自分がいた。

「フッ...。どうした、もう1人の僕。」

しかし、雰囲気が僕と違って邪悪である。

 自分自身、とは彼が一番恐れていた者であった。自身の持つ神宿しゴッド・ドウェラーの力。その強大さに頼る一方で、強い恐怖も感じていたのである。書に洗脳され仲間を危険にさらしたあの日からのことである。

 ここは憂鏡の間。ドュンケルの施した細工の1つである。この間に転移した者の目の前にはその者が一番恐れるものが現れる。破壊されたならせめてその者を恐怖に陥れるとの消極的防護であった。

 「そうだ、もう1人の僕。その心、僕に委ねないか?委ねれば仲間を危険にさらすなど考えることもなくなる。」

「嫌だ!」

もう1人の僕に言われ、僕は反駁する。

「ならば、力付くでお前の心を折る!」

 シュキィィィッッッン!

そして、僕の銀光の魔剣ともう1人の漆黒の魔剣が激突する。正真正銘、文字通りに自分自身との戦いが始まった。

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