Episod94 四ツ首ノ龍
ゴォォォォォッッッッッ!
龍の口から業火は放たれる。
「かわせ!」
僕が合図を送るとブレイズドラゴンは左へ身を翻して炎をかわす。共に、バーロンにテーラ、マリアも合図を送りそれぞれ上下右へかわす。
ズパパパパパ...!
ニコラスはブレイズドラゴンにつかまりつつ、銃撃を放つ。
「放て!」
今度はブレイズドラゴンの攻撃。
ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
ヤツの横腹に向けて炎弾。流石は炎のエレメントドラゴンと言ったところでかなりの高火力。
グガァァァッッッ!
と悲鳴を挙げるヤツのそこには火傷があるのがすぐわかった。
ブンッ!
そんな僕らへヤツは尾を鞭のようにした攻撃。それをまともに食らい僕たちは龍ごと吹っ飛ぶ。
「太陽光線最大出力っ!」
とそこでマリアの声が響く。
キュィィィッッッン!
すると、その口元に光が収束するのを見る。それが、終わればすば今度は
「放てっ!」
と貯めたものを一気に放出する。
ギュゥゥゥッッッン!
その光線は高速で奴に直進し首の殻を砕く。そこへ今度はバーロンのグランドドラゴンが突っ込む。
「はぁっ!」
とフレイアは放ち、そこに傷を。バーロンは
「グランドドラゴン!」
とそこに体当たりを。それをもろに食らったヤツは吹っ飛ぶ。
ゴォォォォォッッッッッ!
が、ヤツが炎を放ったせいで追い討ちをかけることは出来なくなる。
だが、そこへ突っ込む勇敢さを見せるのもいた。
「水で炎を払いのけて進むのよ、シャークドラゴン!」
とテーラは言いつつシャークドラゴンの水で炎を退けて退けてついには、ヤツと目と鼻の先まで来る。
「撃て!」
そこで今度は水を球にしてその喉元へ。
ズドドドドド!
と音がするのが聞こえると、そこには深く傷ができていた。その内に僕たちも立て直し飛び上がる。
そこで、皆に言う。
「ジェミナイズストーンを使うぞ、皆!」
確実にダメージを与えてるとは言え、ヤツのピンピンしている様子だとまだまだ体力は残っているようだ。と言うか、恐らく核となっている敵を倒さなければヤツが倒れることはないだろう。
「そうね、このままじゃ埒が明かないわ。」
テーラは返し、バーロンも
「ああっ、わかった。」
マリアも
「ええ、了解よ。」
と返事する。
「すまん、フレイア。とりあえず降りるぞ。」
ブレイズドラゴンの上でバーロンはフレイアに言う。
「その何たらストーンってのが何かはわからんが、ヤツに致命傷を与えると信じるじ。」
対してフレイアも頷き、龍を低空飛行させたところで飛び降りる。ブレイズドラゴンに乗る僕も同じく、
「ニコラス、降りるぞ。」
とニコラスに言ってから低空飛行して飛び降りる。
「準備OKよ!」
「私も。」
それに、テーラ、マリアも続く。
そこから、僕がブレイズドラゴンに指示を出す形でジェミナイズストーンを起動する。
「ブレイズドラゴン、ジェミナイズストーンだ。」
四体の龍が降り立ったのを確認し、僕はブレイズドラゴンに言う。すると、
グオァァァァァッッッッッ!
と咆哮するのに続いて、グランドドラゴンとシーャクドラゴンとソルプテラゴンもそれぞれ
ギュォォォッッッ!
キュォォォッッッン!
キュォォォッッッ!
と咆哮する。
その様に戦いたかヤツは少し身構える。と、その刹那。四体の龍は一体の龍となった。
色は灰色、首四つ。1つは頭からのV字の突起が、1つは長い角と下にギザギザの突起が、1つには頭に固い殻、あと1つは口先が尖るといった特徴がある。
「面影残っているわね。」
それを見てテーラは言う。そう、それはそれぞれブレイズドラゴン、グランドドラゴン、シャークドラゴン、ソルプテラゴンの特徴そのものであった。
すると、早速の攻撃。
ギュゴォォォォォッッッッン!
鈍い音が聞こえたかと思うと、フォースドラゴンとも呼ぶべき合体したエレメントドラゴンが太陽光線を水と炎を孕んだ竜巻を纏わせ放っていた。要するにいきなりの大技。
グゴォォォッッッ!
危険を察知したかヤツも飛び上がりその光線を上へかわす。
「上だっ!追いかけろ!」
バーロンが言うと、フォースドラゴンは光線を放ったままヤツを追いかけ、ついに翼を切り落とす。
ドゴォォォッッッン!
無論、翼をうしなった龍は大蛇とほぼ同義。
「力を貯めるんだ!」
僕が言うと、従って4つの首が一ヶ所を見つめ、そこに炎やら土やら水やら光やらを収束し始めた。
ギュゥゥゥゥゥッッッッッン!
それはやがて巨大な球となり、その場に止まる。
「放てっ!」
そこで、僕は容赦なく告げた。後の今思えば随分と残酷なことをしたものである。
ドゴゴゴゴゴォォォッッッン!
その球がヤツに命中すると「ニュークドシャイニングインパクト」の3倍近くはあろう爆発が起こる。
その爆風は僕らの方まで至り、
「くっ!」
「ぐっ!」
「うっ...!」
「っ...。」
とその風に堪えるのに精一杯。
そして、再び安静が訪れた頃にはそこには龍の肉片と血みどろの男だけがいた。何度か見てきたはずのに僕たちはその様に吐き気を催す。
「ぐっ...がはっ...。貴様らは...我が同胞が必ず。」
血を吐きつつ彼は片手で匍匐前進し、もう片方をこちらに伸ばしそこで息絶えた。
「い、行くぞ。」
僕は唇を噛んで皆に言う。
「あぁ。」
「え、えぇ。」
「ええ...行くわよ。」
「おぅ。」
「行きましょう。」
それを聞き5人も承認する。
僕たちはまずジェミナイズストーンの結合を解除して、それぞれの召喚魔石に戻してやる。
次に血みどろの死体を谷の左端に寄せて、
「モールディング!」
と僕は唱えてそこに棺のような物を作る。そこへ彼を入れてから、壁に剣でR.I.P.と記した。
最後に皆で手を合わせてお辞儀をし、僕たちを再び嘆きの渓谷のその奥へと進むのであった。