Episod93 蒼龍と四龍
グゴァァァッッッ！
奴は咆哮し、火炎放射を放つ。そろそろ、マリアやフレイアの魔力も減ってきているはずだ。僕の方もかなり使ってはいるが回復が早いからか既に人並みは超えている。
「魔力解放！」
と叫びその炎を吹き飛ばさんとするが失敗。押さえきれず僕はその炎をもろに受けた。全身に広がる鋭い痛みとともに
「リドナー！」
と言うテーラの声が聞こえる。おまけに火が口の中にも入って口がかなりヒリヒリしている。僕は
「スーパーヒール！」
唱えて全身の火傷と体内の火傷を治癒しつつ、
「クロスカリバー！」
と特大の十字の聖剣を振るう。
ギュォォォッッッ！
すると、ヤツの咆哮が聞こえ次の瞬間には空高く飛び上がっていた。
「くそっ...。」
僕は歯を軋らせて、聖剣を動かすが龍は上下左右に上手く交わしまた火炎放射が放たれた。そこで、マリアが
「プロテクト！」
と僕の前へ障壁を生む。おかげで炎は裂けて通過する。
ゴォォォッッッ！
今度は上からの炎。奴は炎を吐きながら頭上を何度も通過した。僕は
「プロテクト！ロングリーチ！」
と巨大な障壁で皆を囲みその炎から守る。その中でマリアが
「シャイニングブレード！」
と数十の光の刃を放ったがヤツの堅い殻に弾かれ砕かれる。
ギュィィィィィッッッッッン！
「はっ！」
ギュゴォッン！
今度はフレイア。彼は力を右拳に収束し、ヤツに向けて一気に解放。そうして生まれた巨大な拳はかなりヤツを吹っ飛ばしたがまだピンピンしてやがる。
「おい、おい、おいっ！あんな化物どうやって倒すんだよ！」
その様にバーロンも驚きを隠せない様子だ。
だが、それでも攻撃を止めるわけにはいかない。
ズドドドドド...！
ヤツが再び降下してきたところへニコラスは銃を撃つ。狙うは一ヶ所。銃弾を何度も受ければ流石に脆くなるだろうと言う考えであった。だが...。
「やはり、無理ですか...。」
少しは脆くなったのだろうが、目に見える程という訳には行かなかった。
と、また火炎放射。僕は
「プロテクト！」
と叫んでから
ギュゥッン！
と加速するともに
「フローティング」
と詠唱。僕を囲む障壁は炎を裂き、超速でヤツに突っ込む。
グガァァァッッッ！
そして、横切る際に銃を撃った所を斬ると、やっとのことで顕著なダメージを与えることが出来た。
「たぁっ！」
そこへ、僕はさらなる攻撃。
ギャァァァッッッ！
すると、さらなるダメージ。僕は地面に降り立ち、自らにかかった「プロテクト」と「フローティング」を解除した。
グガァァァッッッ！
今度はヤツが突進攻撃をしてきた。ダメージを二度与えた、とはいえ体力がありすぎるために痛くも痒くもない様子である。
バリンッ！
「ニュークドシャイニングインパクト」にも耐えた障壁は砕け散り、僕は
「プロテクト！プロテクト！プロテクト！」
と何度も叫んでヤツの行く手を阻みつつ、その隙に「モーメント」で皆と退いた。それにすぐ気付いたヤツは突進攻撃を止め、足を地面につけてこちらを向く。
「ならばっ！」
すると、バーロンは自らの召喚魔石を地面にぶつけ。緑の魔方陣からグランドドラゴンを出現する。次いで、マリアとテーラも
「フフ..乗った。」
「乗ったわ！」
とそれぞれ、ソルプテラゴンとシャークドラゴンを召喚する。
「目には目を歯には歯を、ってことか！じゃあ、僕もっ！」
と続いて、僕がブレイズドラゴンを召喚。
グガァァァッッッ！
両者は睨み合い、あちらが咆哮すれば
グォォォッッッン！
キュゴォォォッッッ！
グゴアァァァッッッ！
キュォォォッッッ！
とそれぞれに威嚇の咆哮を返す。僕たちはその後ろで四龍の背に乗っかり、僕は
「さあ、ニコラス。乗ってくれ。」
とニコラスに手を差し伸べる。
「はい、ありがとうございます。」
彼はその手を掴んで、僕の後ろに乗った。見ると、あっちでは
「フレイア、乗れっ！」
「ああ。」
とバーロンがグランドドラゴンにフレイアを乗せている。これで、ブレイズドラゴンとグランドドラゴンは遠距離攻撃の手段をもう1つ得る。
「飛べっ！」
そして、僕が龍に合図を出すと高く飛び上がった。
「飛べぇっ！」
「飛んでっ！」
「飛ぶのよっ！」
同時に他の三龍も飛び上がり、僕の左に並ぶ。
蒼い巨龍と四体の龍、その背に乗っかる神宿しと剣士、銃使いに短剣使いに魔法使い。加えて、アストラルファイター。彼らの激戦は今始まる。
