Episod91 分裂、毒液、突進(後編)
百足の突進、からの蜘蛛の糸。
「とぅっ...やぁぁぁっっっ...!」
僕は飛び上がり、下の百足には頭を狙ってソードビーム。からの横から来た糸は
「魔力解放!」
吹き飛ばして、逆に蜘蛛たちをグルグル巻きにしてやる。
ズドドドドド...
そこへニコラスは銃を向けてソイツらを撃ち抜く。
ブゥゥゥウン!ブゥゥゥウン!
と、今度は蝿の突進だ。
ギュゥンッ!
と僕は加速して体を捻りその突進をかわし、剣を横に凪ぐ。その隙に蝦蛄までもが突進をしてくる。僕は咄嗟に剣で防御の構えを取るが、勢いは消しきれない。
「くっ!」
僕は貼り付いたまま押され、他の蝦蛄に挟み撃ちにされる。
「らぁっ!」
それを見て僕は両手で剣を思い切り押して前の蝦蛄を振り払い、空中で横に回転してソードビームを共に放つ。
ズドドドドド...
「やぁぁぁっっっ!」
「はぁっ!」
「シャイニングスルー!」
「せいやぁぁぁっっっ!」
ドガァッン!
あちらでは銃が蝶と蝿を撃ち抜き、剣が蟻を切り裂き、1つの短剣が蜘蛛の横腹を引き裂きもう1つの短剣が心臓に突き刺さっている。輝く針は百足を頭から順に潰す。
シュキィィィィィッッッッッン!
「くっ!」
と、螳螂が鎌を振り下ろすので僕は一度防ぐが、上から飛蝗がのし掛からんとしてきて後ろへ飛ばざるを得ず。そこへ蝦蛄が来るが僕はすぐさま体を捻って腹を切る。
と、そこで何かの気配を感じる。
「魔力解放!シャイニングインパクト!」
僕は魔力波で飛び上がってから、光の爆発を放つことで周囲を蹴散らして着地し、崖の上へ一瞬意識を向ける。すると、多くの敵を確認する。
その時、百足の毒液が飛んできた。僕は後ろへ下がってから再び斬り出し、剣を振り回しながら突進することでソイツを倒す。
ブゥゥゥウン!
「エレキスピア!」
そして、後ろから来た蝿には紫電の矢を放ち、前からの蝦蛄には
「シャイニングブレードっ!」
と数多の光の刃を放って裂く。
「魔力解放!」
続いてら魔力解放で蝶の鱗粉を跳ね返しつつ再び上を見る。すると、さっきよりも気配が濃くなっていることに気付く。
「プロテクト!エクステンダー!」
そこで、僕は障壁を生んでから感覚を真上へ飛ばす。より素早く飛ばし、より正確に感覚の伸びを止める。と、そこには体のあちらこちらに炎のような模様の刺青を入れた人の大軍が見えた。しかも、その先頭にいる男から思念のようなものが飛ばされているのも感じた。それが何かまでは分からないが、確実に何やら企んでいる。
そして、感覚を戻せばまるでそれに反応したかのように、蟻がおかしな挙動を示す
ズドドドドド...!
「やぁぁぁっっっ!」
「はあっ!はぁっ!」
「おらぁっ」
ドガァッン!
と、それは4人が次々と凶虫を倒している最中でも、であった。
まず、目の前の蝶と蝿が背を向け高く飛び上がる。
「なっ...。」
と、そんな声がしてあちらを見てみると、蟻や蜘蛛、蝦蛄も背を向けて走り出している。
ズドドドドド...
ニコラスはそれでも撃ち抜き続けるのだが、あちらはそれでも逃げる、逃げる。
「シャイニングブレード!」
しまいには、百足が分裂体は分裂体のまま、祖体も光の刃をわざと腹で受けて分裂体となりそそくさと消えていった。飛蝗や螳螂も同様だ。しかも、攻撃しようとすれば蟻どもが全て受け止める。
「仲間を手駒のように使いやがって...」
バーロンがそんなこと言っているが、本当にその通りなのである。
「しっかし、何なのよアイツら。急に退いて?私たちが強くて怖じ気づいたのかしら?」
マリアが傲慢なことを言うが、違うと断言できる。だが、何故退いたのかについてはにわかには答えが出ない。マリアが
「じゃあ、何なのよ?」
と聞いてきたから、かなり困った。
とは言え、その答えはすぐに出た。
「ん?」
僕はふと上を見る。すると、何やらこちらに急接近してくる人影をたくさん確認した。これは...落ちている!?僕がそう思った頃には彼等は既に別の姿となっていた。若干だがその上が暗くなっている。
「...!」
その様、僕は目を大きく見開き納めかけた剣を抜く。
「皆、武器を構え直すんだっ!凶虫よりも厄介な敵が来たっ!」
僕が叫ぶ頃にはもうヤツらの放つ炎が目の前に来ている。僕は反射的に、
「プロテクト!」
と唱えて障壁を生み炎を受け流した。その中、ニコラスは銃を構え直し、バーロンは剣を抜き直し、テーラは2本の短剣に手を掛け、マリアは杖を持ち直す。フレイアは拳を強く握った。
「まさか、この攻撃は...。」
マリアが上を睨み付ける。
「なるほどな...。ヤツらの攻撃に巻き込まれないように虫どもは退いたわけだ。」
バーロンもそう言う。と、なればあの思念の内容は大方「速やかにここから去れ」とかだろう。
僕は皆の言葉を受け、また納得を終え皆に言う。
「そうだな。龍どもの再臨だ。」
と。
そして、炎が晴れればヤツらは既に目と鼻の先であった。