Episode7 最後の冒険
★今回初めて登場する怪物★
タイプⅠ
黄昏界にある星・ユミルに住む巨大な黒蟻。凶虫の一種で、とても素早く、フェロモンを出して仲間を呼ぶことが出来る。その正体は、ミュルミドンという民族である。
●今回初めて登場するアイテム●
多機能型電磁砲
様々な機能のある、電磁砲。小型式、中型式、大型式、超大型式など様々な種類があり、アレックスは小型式とその劣化版を持っている。
■今回初めて登場する書物■
黄昏の巨獣総集(シェブドエル・著)
黄昏界にある星・ウトガルドのヴァルハラ宮殿大図書館で貸し出し及び販売が行われている本。黄昏界にいる巨獣たちについて様々な情報が記されている。著者のシェブドエルは、初めて黄昏界からこの世界にやって来た人物で、やがて、ネブカドネザルの側近となり、バビロンの空中庭園を完成させたと言われている。
作戦通り、僕たちは結界の歪みからバッファル島内部に侵入することが出来た(やはり、館ごと瞬間移動した)。そこは、すでに暗く陰気のくさい空間となってしまっていた。
僕たちは、館から出て、もう一度、魔方陣を起動しようとした。しかし、アレックスさんがそれを止めて、
「私の転移で戻すから大丈夫だ。」
と言ってくらたので、僕は彼に任せることにした。すると、彼は手で壁に触れ、館を転移させた。もちろん、結界には引っ掛からない。行きにこれを使えなかったのは、行き先の座標を掴めていなかったからだ。しかし、帰りは別。僕たちがさっきいた場所なのだから、座標は掴めている。おそらく、そう言うことだろう。僕は心の中でそう納得した。そして、アレックスさんも転移をしようとしていた。
と、その時、突如、近くの空に黒い霧の柱が現れた。かと、思うとこちらに巨大な黒蟻が襲ってきたのだ。ソイツらは明らかに敵意を向けている。しかし、戦うにも武器がないのだ。
「凶虫タイプⅠだ!ソイツらはとても素早いぞ!気を付けろ!」
アレックスさんが僕たちにそう言う。確かに、素早い。わずか、10秒ほどで僕たちのいるところにたどり着き、襲いかかって来た。僕は、3人の体に触れ、近くの茂みの中に瞬間移動した。続いて、その蟻たちはアレックスさんを発見し、襲いかかった。
しかし、彼は慌てることなくポケットの中からおもちゃのタイヤのような見た目の機械を取りだし、その上にあるリボルバーを何度か回し、
「食らえ!電磁誘導光線!」
と言った。すると、その機械から彼と初めてあった時に見た、光線が放たれ、その蟻たちを蹴散らした。この時、それはオーバーヒートしていた。その様子はまるで、SF映画を見ているかのようだった。
「あの、それは?」
僕はアレックスさんにそう聞いてみる。すると、
「あぁ、これは、多機能型電磁砲の小型式だよ。この上のリボルバーを回すことで、様々なことが出来るんだ。まぁ、1回使うとオーバーヒートしてしまうんだけどね。」
と教えられた。
「はぁ...。」
あまりの科学力に僕は言葉が出なかった。
この世界にも、電磁砲というものは多々、存在する。しかし、それはどれも大型の物でこんな小型の物は存在しない。それに、多機能型というのも無い。やはり、あちらの科学は凄いなと僕は感心した。
それから、彼は転移を使って、僕たちの旅の持ち物を運んでくれた。僕たちは、お礼をする。と、彼は
「どういたしまして。そうだ、これを持っていってくれ。」
と言って、とある本とさっきの多機能型電磁砲のような物を渡してくれ、さらには
「その本は、凶虫や君たちの会った巨人などについて書かれた、いわば、図鑑という物だ。そして、そっちは多機能型電磁砲の劣化式とても言おうかな。私のこれよりは出力や機能数は劣るが、君たちにとってはこの方が扱いやすいだろう。」
と説明もしてくれた。
僕たちは、もう一度、お礼を言い、彼が転移するまで手を振り続けた。その後、僕とテーラは心の中で再度、彼にお礼をした。なぜなら、彼がジャック、アレクとともにルーカスたちのお世話をすると言ってくれたからである。どうやら、彼はそういうことに慣れているらしいのだ。
そして、荷物をまとめ、武器を装備した僕たちはおそらく、最後になるであろう(僕とテーラもそろそろ良い年になるし、子供もいるのでそう予測した)冒険に出発した。