Episode77 巨人軍
★今回初めて登場する怪物★
ギガンテス
巨人の長。他の巨人と比べて体長はわすかに大きく、超高度の再生能力と巨人を呼んだりなどが出来る。武器の使用も可能で、現在エフィストがこれに変化する。
タイタン
巨人の通常種。トールの遺伝子を人間に移植したために生まれたが、その高度な再生能力は継承できなかった。多少武道の心得もある。普段はユミルにおり、その正体はヘカントンケイル族という種族である。
ブロロロロロ...
舗装されていない悪路を、車は構わず音を立てながら進む。何やら気配を感じるが、今のところ襲ってくる雰囲気ではない。
僕は一応、
「誰かが俺たちを見張っている。襲ってくる感じはないが、用心に超したことはない。」
と伝える。
「そうね。良い皆、あの黒い柱が見えたら迷わず戦闘体勢に入るのよ。あと、リドナー。この中じゃ勘が一番鋭いのは神様を宿してるあんたなんだから少しでも変な素振りを感じたらすぐ言いなさい。」
とマリアは返す。彼女はその後、他に何かあればそれは個人の判断に任せるとした。ただ、その場合は皆が戦闘体勢に入ると。
そして、何の動きも感じないまま、車はしばらく進む。
そこで、行く先に1人の男を見る。その顔には見覚えがあり、何やら憎悪のようなオーラが滲んでいるのを感じる。だが、それはあの時の罪悪感を解くものでもあった。
僕はマリアに車を止めさせ、周辺を警戒しながら彼に歩み寄る。名前はエフィスト、二刀使いのサモナーである。
「エフィスト、お前無事だったのか。」
僕が言うと、彼は憎たらしそうな声でこう言う。
「ああ、お陰さまでな。」
次にほくそ笑んで1本剣を抜く。
僕にはまた剣でやり合いたいと取れ、僕も剣の柄に手を掛ける。だが、予想は外れていた。
「...!!!」
そのことに先に気付いたのはバーロンであった。彼は僕に向かって
「リドナー、一旦離れろ!ソイツはクリスみたいに何かへ変身する気だ!」
と声を張り、我先に戦闘体勢へ。エフィスト右手の甲にドュンケル象徴の紋を視認したのである。
「フンッ...もう遅いっ!」
とエフィストは言い、その剣で紋様の中央へ目の印を刻む。そこからは血がドクドクと流れていたが変化のトリガーとしては機能する。
ドッゴーン!
まずエフィストに向けて黒の柱が落ちた。周囲には恐怖が吹き荒れ、何の身構えもしていなかった僕はあっさり吹っ飛ばされる。
「うわぁぁぁっっっ!」
僕は叫び、テーラも
「リドナー!」
と叫ぶ。それを聞きつけ僕はなんとか宙で身を翻し、車のトランク上へ降り立つ。一応柔らかい着地を意識したため故障はしてないだろうし、したところで僕の「フィックス」で直る。それを察してかマリアは怪訝な顔となっただけで、何も言って来なかった。
そして、あちらを見るとそこには赤肌の巨人が立っていた。体長は目測で10m近くある。
「リドナーーーーー...キサマヲ、コロス!」
ヤツはそう言っているのが聞こえる。共にて右手には剣、左手には盾、頭には兜が現れいかにも屈強なイメージを醸し出す。
次いで、回りにも大量の黒き柱が落ちる。
ドゴドゴドゴドゴドゴッーン!
轟音は連なり、続いて巨人らしき怪物が大量発生するのを見て取る。大きさは目前の敵より少し小さいぐらい。おそらく、先程から見張っていた者どもであろう。
「クッ...こんなことなら先にアイツらを押さえておくべきだったな。」
僕は歯軋りをしてトランクから降りる。
「そんなこと今さら言っても仕方がないわ。さぁ、行くわよ。」
マリアは返しながら車から降りて戦闘体勢に入る。同時に他も戦闘体勢に。
こうして、ヤツら巨人軍と僕らの戦いは唐突に始まった。