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Episode75 洗脳の呪い(後編)

 「エレキスピア!」

僕が言うと無数の紫雷の矢がバーロンたちの方へ連続射出される。テーラは完全に硬直し、マリアの方は皆の前に塞がり、

「プロテクト!プロテクト!プロテクト!」

と何層も障壁を重ねることでなんとか矢を凌ぐ。

 それを見て今度は「シャイニングインパクト」やら「クロスカリバー」やらを僕は放ち、流石にそれには皆が四散する。

「そんな...嫌よ、リドナー。戻ってきてっ!」

テーラはかわした後、そう言って涙目となる。そこへ書の呪いにかかる俺は容赦なく魔法を放つ。

 その魔法が放つは数個の光の刃。

「危ないっ!」

ボゴホゴボゴッーン!

そこをフレイアがテーラの前に現れ、その聖なる拳で盾を生む。その盾は刃を全て破壊。

 その内にバーロンはマリアに両足へ脚力強化、剣へ硬化を付与してもらい剣を片手に僕の方へ突っ込んでくる。迎撃のために放たれた魔法は全てマリアが処理をする。

 「おらぁぁぁっっっ!」

ガギィィィッッッン!

そして、バーロンの怒号は響き、続いて重い金属音も響く。彼は両手でしかも思いっ切り剣を振ったために、ロンギヌスで防御した僕の体は少し後ろへ向かった。それを見て、今度は至近距離からの光の爆発。

「モーメント!」

マリアは唱えて、バーロンを紙一重で引き戻した。

 ズドドドドド...!

このままでは仕方が無いのでニコラスも急所を外して火力を発揮する。狙うは肩や足。彼の狙いは正確で足に当たった際には確実にこちらの動きを封じてくる。

「せいやぁぁぁっっっ!おらぁぁぁっっっ!おらおらおらっ!」

それを機にフレイアの怒濤の連撃も僕を襲った。

 それらは僕の体のいたるところに傷を付けたものの致命傷にはならない。それどころか、その度に

「スーパーヒール!」

と僕は唱えてしまったので自らが戦力がすり減っていくだけであった。


 ズドドドドド...!

ギンギンギィィィッッッン!

「シャイニングインパクト!」

「せいやぁぁぁっっっ!」

そういった乱戦は長く続き、かなり戦力差が広がるもまた彼らは攻撃を行う。銃弾が足を撃ち抜き、剣が怯ませ、魔法は僕をっ飛ばす。さらに、そこへ聖なる蹴りが入り地に叩き付ける。

 その末に僕は高速移動をし、攻撃を処理しながらも詠唱を開始した。

我は神宿しゴッドドウェラー。我が師神の子ヘーミテオスを宿す者なり。その権限におき、うつつに住まいし全ての雷精に命ずる。今こそ、我のためその光と脅威を表したまえ!」

と。それを先に聞き付けたマリアは

「マズいっ!モーメント!」

と瞬間移動に入り、他の皆を洞窟の出口まで運ぶ。

 ドッゴォォォッッッン!

次の瞬間には後ろで大爆発が起こり、真上にあった海の水が一度巨大な柱になったかと思うと、今度はその大量の水が奔流となって洞窟に押し寄せた。マリアらはその波に飲み込まれるギリギリの所で何とか回避し、陸地まで何とか来る。

 「ハァ、ハァ。」

安堵の後は息切れがやって来るが、刹那的に僕は水の中から現れた。それを見ながらテーラは考えていた。

 リドナーがああなった原因は何か、と。答えはすぐに出た。明らかにあれは『分霊の書』が起こしている。となれば、するべきはその書の破壊。幸い、さっき水に濡れたお陰でその書は脆くなっていように見える。ならば、後はどう破壊するかを考えるのみ。近付けば確実に殺しにくるし、遠くからでは威力が落ちてそこで負ける。

 そこで、テーラは思い出した。あの黒いスライムに取り付かれた際のことを。あの時、彼女は操られつつも高度な短剣の術を使った。それは短剣の軌道操作。使う際には魔力が短剣と両手を結んでいたのも覚えている。おそらく、魔力を以て軌道を操作する、ということだろう。

 「でも、出来るかしら...。」

テーラが短剣を抜いて呟く。少し考え

「いいえ、やるのよテーラっ!」

と決意の後。それを彼女は形にした。

 シュンッ!シュンッ!シュンッ!

放たれたのは3本の刃。それらをテーラは魔力で繋ぎ軌道を強く想像する。と、その通りに刃は動きリドナーのベルトをまず裂いて、書を落とし、さらにそこへ刃が向かう。無論、一撃では傷が出来るのみ。が、連続でその表紙を切り裂き、切り裂き、次々に紙を散らす。

 シュンッ!シュンッ!シュンッ!

さらにもう3本を入れて、書の紙はさらに散る。

ジョキン、ジョキン、ジョキン...

そう言った音が続き、ついに書は木っ端微塵と化す。


 その瞬間にマリアらを襲っていた怒濤の魔法攻撃も終焉し、皆がやっと肩を落とした。

 やがて、我に返ってくると僕は自分がとんでもないことをしてしまったことに気付く。

 見えたのは、重い傷だらけの仲間たち。あれほどの傷の羅列は僕にしか出来ない。いくら不本意とは言えど、自らの不注意が呼んだ結果に僕は今までにない罪悪感を感じていた。


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