Episode74 洗脳の呪い(前編)
「シャイニングインパクト!」
僕は故意などで無く、まるで操られるように詠唱。すると、杖の先からは黒き光の爆発が生む。その爆破は瞬時に殴りかかるユーベルゴーレムの腕をその首から破壊する。
その時、僕は完全に洗脳の呪いに掛けられていた。その効力は能力者のを遥かに越え、神の領域へ達すると言っても過言では無いほどに絶大。何せ何も対策をしていなければ神を宿す僕でさえもあっさりと操られてしまったのだ。
そして、そんなことを自前の能力で察したのだろうか。腕を回復させ、ゴーレムは僕との協調を選ぶ。ヤツは僕を放置し仲間5人に拳を奮う。
グゴォォォッッッ!
初めはテーラが標的に。彼女は
「きゃぁっ!」
と悲鳴を上げて吹っ飛ばされる。バーロンが
「テーラ!」
と叫び、そちらを向くと今度は彼にその拳が襲う。
「ぐっ!」
苦しげな声を上げながらも、その殴りを体で受け止める。
「シャイニングブレード!」
次にマリアは唱えて、数多の光の刃を敵に向ける。その片刃はヤツの腕に傷をつけ続け、その箇所にニコラスの集中砲火。
ズドドドドド...
という銃声とともに腕が削ぎ落とされる。そこへ、今度はフレイアの聖なる拳に聖なる蹴り。
さすれば、また意識の無い僕の詠唱。
「エレキスピア!」
聖なる光は生じた紫電の矢と相殺し、その瞬間に紛れてユーベルゴーレムはマリアを握り、壁に衝突させる。次いで、僕の詠唱。
「クロスカリバー!」
「きゃっ!」
共に光の聖剣がマリアの肩に深く傷を負わせる。それでも、彼女は何とか立て直し、回復魔法にてある程度は即時回復する。
(リドナー、あなた一体どうしちゃったのよ...。)
と思うこともあった。
グゴゴゴォッ!
そこへまた敵の拳。バーロンが
「マリアっ!」
と声を張り、フレイアは飛び上がってそこに向かって聖なる拳。
ズドドドドド...!
ニコラスは銃弾を撃ち出し、ヤツのその目に傷を生む。その内に、丁度起き上がったテーラが彼女を退避させて、続け様の4本の投げナイフ。狙いはひび割れた赤い目、その狙いはまさに鋭く全て命中して目が砕ける。
「今よっ!」
テーラがそう言って飛び、目に刺さったナイフを回収。同時にバーロンの斬撃やらテーラの短剣投擲、マリアの魔法やらニコラスの銃撃、さらにはフレイアの放つ聖なる拳やら蹴りやらと。そんな連撃がゴーレムに集中し、未聞のごとく大きな損傷を引き起こす。
皆はそれを見て、畳み掛けようとするも、そこで僕が邪魔となる。飛んだのは多目的電磁砲の孕む内
の「超電磁砲」。継続期間が短い代わりに僕の持つものの中では一番の威力を誇るモード。
ズゴォォォッッッン!
音が響くと共にて、閃光が走りヤツの核ごと貫き、危うくそこにいたフレイアの首をも消し飛ばす所であった。彼はその前に横へ交わしたために消し飛んだのは左肩の一部であり、マリアの回復魔法で何とかなるほどではあったのだが。
無論、その全てが僕の無意識の内の出来事である。