Episode73 黒い霧
■今回初めて登場する書物■
神威の黒龍(バール・著)
黒龍・バハムートの伝承を借用し、傍観者として設定した自分の視点で物語調に描いたもの。伝承と違い、バハムートは物語終盤で一柱の神になる。
まず、僕が剣を片手に飛び出し、空を交った。空中で縦、横、斜めに空中回転を食らわせる。が、その切れ味を持ってしてもその腕は千切れることは無い。そこには深い傷が出来るのみ。もう一度同じところへ斬りかかろうとはするがその前に腕を再生される。
その瞬間に横から別の腕が飛び、壁に吹き飛ばされる。
「ぐふっ...!?」
結果、僕はそこに叩き付けられ痛々しい声ととともに地面へ落ちる。
「リドナー!」
それ見るマリアが叫ぶ。テーラの方は叫ぶ前に攻撃にかかる。彼女は瞬時に飛び出し、その目から光線を放つが、横にかわす。そこへ今度はヤツの左腕。彼女はそれを後ろ飛びで華麗にかわし、かと思えば思いっきり足を踏み出す。ヤツのその腕に飛び乗り、走る走る。
グゴォォォッッッ!
ゴーレムは唸り腕を上下にふるが、その運動量を借りてテーラは上へ。
「残念だったわね!こっちはそういうのんに馴れてんのよ。何があっても臨機応変に対応出来るわ!だから、早く黙りなさい!」
そう言って4本のナイフを一ヶ所に飛ばす。さらに、腰のもう2本をを抜き、今度はそと輝く目に飛び掛かる。そこへすかさず黒き光線。僕は立ち上がり、
「ホーリーシールド!」
と彼女の前に聖なる盾を現し、光線を打ち消せばすぐに散らす。
「やぁぁぁっっっ!」
重力と鋭利、それらが組み合わさり、ヤツの目が砕け散る。それを確認すれば、テーラをナイフを抜き他の4つも回収。
「シャイニングインパクト!」
そこへマリアのさらなる攻撃。光の爆発にヤツは少し吹っ飛び、「スピードウォーク」を唱えられたバーロンがゴーレムの左のアキレス腱辺りを左から右、右から左、さらに左から右。高速で反復し剣を振り回しそこに大きめの穴を生み出す。そのせいで、さらに仰け反り最後には自らの巨体を支えきれず左手首を残して後ろに倒れる。
ズドドドドド...!
ズッゴーンッ!
次にそこを狙うのはニコラスの放つ銃弾とフレイアの放つ聖なる拳。それらは倒れたヤツの体を容赦なく剥がしていく。
だが、いずれ自己再生により全て元に戻るであろう。それでは、キリが無いので僕は本来の目的を優先することとする。
「もう良い、みんな。ヤツは放ってもう1つの方を追うぞ!あっちが『分霊の書』の方だ!迎撃は必要があれなら各自で行うぞ!」
僕はそう言って、自らに回復魔法を向けて仲間とともにもう1つの方へ向かう。
しばらくすればユーベルゴーレムが現れるが速度は遅い。僕たちは全力で走りつつ、遠距離の攻撃手段を有する僕にマリア、ニコラスにフレイアは時折迎撃のために立ち止まり、
「クロスカリバー!」
「シャイニングインパクト!」
ズドドドドド...!
ズゴズコズッゴーンッ!
僕が現すのは魔力製の聖剣、ヤツは左腕で防ぐ。次にマリアが生み出すのは光の爆発、ヤツは両腕をクロスにして衝撃を跳ね返す。それと同様の策により、ニコラスからの銃弾もフレイアからの連撃も全て防いでみせる。そこには大きな窪みが出来てはいたが。
そんな迎撃をしつつも、僕たちは邪気を辿って進み最終的にとある書斎に辿り着く。
僕はそこにあった蜘蛛の巣を払いのけ邪気の源へ。
すると、そこに「分霊の書」はあった。名は『神威の黒龍』、バールの著した小説のようなものである。ユーベルゴーレムはすぐそこまで迫ってきている。どうんな細工が仕掛けてあるかは分からないが、対策を練っている暇は無い。第一、今まで対策などはせずとも助かっていた。
僕は神宿しの力を以て、そこまで飛び、そのまま手に持ち地面に叩きつける。それを目視しつつも、僕はそこから90度を回転して天井を蹴り、その際の勢いも借りて片手の魔剣で書を貫く。
するとその時、空いたその風穴から漆黒の煙霧が現れ、僕の全身を包む。今回ばかりは時間が無くても、どんな細工が来たとして防ぎきれる対策を練っておくべきであった。
その瞬間、少年の世界は大きく変化した。理性と共に。