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Episode71 歯車とクリスタル

 さて、場所を見つけたのは良いがそこは完全に閉ざされている。魔力による固い障壁が残っているためにちょっとやそっと魔法では破壊も不可能であろう。

 かと言って、「ニュークドシャイニングインパクト」のような極大の魔法を使ってしまえば、ここは海の下なために一気に水が流れて、皆に危険が及ぶ。かろうじて水から逃げ切ったとして低体温症など二次的なもので死ぬことだって十分考えられる。

 と、なればこのドアをどうにかして開けるしかない。

 「見てあれ。」

皆にそれを伝えると、早速テーラがあるところを指差した。

「あれクリスタルじゃない?」

その指の先を見ると確かにそこには八面体型のクリスタルが埋め込まれていた。

 「しかも、そこから線みたいなのが一杯出ているわよ。その先は...何?あの出っ張りは?」

次にマリアが言う。そこには僕も気付いていたし、出っ張りの正体も何となく分かった。要因となったのはどの出っ張りも大小様々な円が並び、その全てがくっついているからである。ちなみに、円は5つで左から最大のもの、二番目に大きいもの、最小のもの、大小中間のもの、二番目に小さいものである。 

 「あそこには丸い物が、恐らく歯車が埋められそうだ。」

「でも、所々壊れているようだぞ?」

僕が言えば、バーロンが補足する。

 「状況から察するに奴等が無理矢理壊して何処かにばらまいたのだろう。」

そこで、フレイアが入ってきた。

「それだな。ってこと歯車を探す必要があるのか。あの巨体ならそう遠くへは運べまい。歩く速度は遅いだろうからな。」

僕はそう言って仲間と目でやり取りをする。少し危険ではあるが手分けして探すこととなる。

 「円は5つだから歯車は5つだ。僕が1つ、マリアとフレイアで1つずつ、バーロンで1つ、テーラとニコラスが1つを担当することとしよう。もし敵にあったら戦おうとせず、逃げるんだ。確実に倒せる相手であれば別だけど。」

僕は取り合えず配分を伝え、ついでに釘も刺しておく。そもそも、そのつもりの配分なのだから。

 そして、皆があちらこちらへ散っていた。敵の気配は感じないためにそこまで強い敵はいないとは思うのだが。

 

 それから僕は暫く洞窟を進む。ここには来たことは無かったが、案外広いもんなんだな。そう思いながら僕はその道を進む。たまに凶暴化した敵にはあったのだが、少し歩みを止めて

「シャイニングカッター」を唱え、目の前のを斬り裂いていくだけだったので気に障ることは無い。

 「おっ、あった。」

僕はそこからちょっといった所でその歯車を見つける。その大きさは中ぐらいで右から2つものものだろう。僕はその中心に手をかざし、

「フルーティング!」

と浮遊魔法を発動。そのまま、浮かせて元に戻り始めた。


 同じ道を戻れば先にニコラス以外皆がいる。バーロンが取ってきたのは最大、フレイアは二番目に小さく、マリアは2番目に小さい。あと、テーラとニコラス、歯車で言えば最小のもののみである。

「テーラとニコラスは?」

僕が聞くと3人は小首を傾げるのみ。

 それからまたしばらくしてやっとこさ2人の声が聞こえてきた。だが、何やら様子がおかしい。

「はぁ、はぁ...。助けてぇっ!」

息切れの混じるテーラの声に、

ズドドドドド...!

と言う銃声。さらに、地響き。

 「キャァァァァァッッッッッ!」

叫ぶ彼女の後ろにいたのはなんと複数の小銃所持のウッドゴーレム。何とか、ニコラスが後ろ向きで走って迎撃しているが対したダメージにはなっていない。僕はすぐさま剣を抜き、神宿しゴッドドウェラーの力を解放し、

ギュゥゥゥッッッン

と急加速。そのままの勢いで飛び上がり空を交って敵を一掃。

 その内にあっちでは歯車を順番にはめていた。時折、マリアの「フィックス」による出っ張り修理を挟みながら。そのため、僕が戻ってきた頃にはあとはどう動かすかということだけであった。

 クリスタルから伸びている線には銀が使われている。銀は電気を通しやすいとともに、魔力も通しやすい。

「だが、どうやってあそこに魔力を流そうか?」

僕は頭を抱える。始めに思い付いた魔力解放も障壁が弾き返した。つまり、あの障壁は魔力そのものを遮断してしまう代物であり魔法は使えない。

 と、そこでマリアが言う。

「ねぇ、見て。このクリスタル、『イルミネーション』の光に反応したわよ。」

その先には扉のと同質のクリスタルがあり、確かに反応するのが見てとれた。しかも、その度に魔力が漏れ出ている。察するに光か魔力に反応しているのだろう。

「あれって光に反応しているんじゃないか。あそこを開くのにも必要なようだしな。あの障壁、外部からの魔力を一切受け付けないんだろ?じゃぁ、魔力じゃなくあの魔法の光に反応してるんじゃないか?」

とフレイア。先の魔力解放を見て察したのだろう。

「あぁ。魔力解放には反応しなかったしな。」

僕はそう答えて皆に聞く。

 「なぁ、皆。ここに来る途中何か見たりはしなかったか?」

何かがあればそれが手掛かりとなると感じた僕は全員に聞こえるように言う。と、テーラの方から声が聞こえた。

「そう言えば、歯車を見つけた少し先に別の出口があったわ。そこから光が差してたの。あっちの方角ってオーディン島だからその何処かと繋がってるんじゃないかしら?ちなみに、あの怪物にはそこで会ったの。」

なるほど、あっちにも光があるのか。入ってきた所からの光を何とかここまで届かせられないかと今考えていたが、その光もありだな。

 僕はそう思い、

「なぁ、他に何か無かったか?」

と聞くと、テーラは首を横に振り、変わってニコラスが答える。

「さっき後ろ走りで銃を撃っていた時に見たんですけど、青銅製のものでしょうか?青黒い像みたいなのが点在したんです。台の上に丸い物が縦に置いてある感じのでした。まあ、実際は繋がってたんですか。あと、錆びていましたがその昔、丸い物の方は動かせたんだと思います。」

その言葉が決め手だった。

 これで、クリスタルに光を送る方法は大体予想がついた。僕は早速、テーラとニコラスが来た方向へと歩き始めた。

今回はかなり久しくなった謎解き回でしたね。復習をしておきますと今回の謎解きは「扉の上のクリスタルに魔法を使わず光を届かせる」と言うものです。答え合わせとなる次話の投稿は3日後となる予定ですので是非謎を解いてみて見てください。ヒントはニコラスの言っていた青銅製の像のようなものを使うことです。どのようにして使うか考えてみてください。

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