Episode64 退散
★今回初めて登場する怪物★
タイプⅦ
惑星・ユミルに住む巨大なカマキリ。凶虫の一種。左右合わせて2本の緑の長い鎌を持ち、鋭利かつ硬質。その鎌を使って攻撃する。小さく跳ねて移動する。正体はヘルメスという種族である。
ワイバーン
赤い大型の巨龍。動きは少し鈍く、威力の増した巨大な炎弾を放つ。防御力にも優れる。
■今回初めて登場する書物■
『邪悪なる天使と聖なる悪魔』(レクイエム・著)
天使と悪魔の立場が逆転する物語。最終的に立場は元へ戻る。復刻版が発売されるほどの不朽の名作。リドナーもかつて持っていた。
それはすぐに見つかった。本の題は『邪悪なる天使と聖なる悪魔』。作者はレクイエム。今はもう壊れたあの家にもその復刻版があるが、この本はそれほどの不朽の名作なのである。それは神が落とした雷により天使と悪魔の立場が逆転、加え元の立場へ戻ろうと人と協力をする物語だ。
その原本を壊すのは惜しいが、どう見ても邪気の源はここである。しかも、この邪気は今まで壊してきた本から漂う物と同じで、どう足掻いてもこれが僕たちの探す『分霊の書』の1つである。僕は棚からそれを取り出し、床に放り落とす。そして、剣を抜き、切っ先を本の革に。僕は剣を振り上げ、
「せいやっーーー!」
怒号と共に聖なる力を溜め込みその狙い目掛けて剣を突き刺すように振り下ろす。すると、剣は本を貫通し、辺りへ紙が飛び散る。
それに合わせてドュンケルが仕掛けたであろう細工が発動する。穴空きの書が元に戻り始めたのである。
「元に戻った、だと!?」
僕は目を大きく見開き、その様子に硬直する。さらに運の悪いことにドアに営利な緑の鎌が突き刺さり、細い穴が空き、木片が飛び散った。そう言えば、さっき黒い柱が落ちた時のような地響きがあった。
「みんな!ドアに向けて武器を構えるんだ!」
そこで、僕は彼らに伝え、さっきと同じように聖なる力を溜め、何度も突き刺す。だが、その度、その度、完全再生をする。その内にドアに開いた、穴はかなり大きくなっている。迷ってる暇は無い、か。僕はそう思い杖を抜いて詠唱を開始する。
「我は神宿し。我が師神の子ヘーミテオスを宿す者なり。その権限におき、現に住まいし全ての雷精に命ずる。今こそ、我のためその光と脅威を表したまえ!」
と、ついにドアが壊れ、中に凶虫が進撃してくる。だが、僕の方が早かった。詠唱の内、杖先に現れた3つの魔法陣。それは回転しながら輝き、奥の陣に力を集わせ、小さな雷の球が現れる。
僕はその瞬間、後ろへ下がり5人に触れ、
「モーメント!」
そのまま、6人は瞬間移動で上へ、その最中、凶虫を裂き、「エクステンダー」を唱え、視力を遠くへ伸ばし、先程の場所をむる。と、そこには凶虫の死体の山と壊れる本棚、飛び散る木片。その奥に灰燼と化した1つの本。分かりにくくはあったが、黒く焦げた革から革を繋ぎ合わせると『邪悪なる天使と聖なる悪魔』となる。僕はそれを確認し、笑みを浮かべる。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、リドナー!」
「何?」
テーラの声で我に返ってきた僕。
「何じゃないわよ!壁にぶつかるっー!」
そこへマリアの叫び。そこで、僕もやっと気付いて、軌道を曲げて、ギリギリで衝突を回避。
「はぁ。危なかった。もう、しっかりしてよね。」
マリアに注意に僕は謝り、目の前の凶虫をソードビームで一掃。
そんな感じで僕たちは高速で館の中を進み、玄関のドア斬り潰し、館の外へ。すると、そこにはあの青い龍がおり、こちらへ火炎を放射してくる。それを避けたからか軌道は大きく反れ、さらに速度も落ちる。それを良いことに龍は尾で正確にこちらを叩く。流石の僕もその痛みに耐えかねず、「モーメント」が解かれる。不可抗力であった。
そして、そこへ龍が緑の竜と赤の龍が炎弾を撃ち、金色の龍がこちらへ突っ込んでくる。しかも、僕の方に噛み付き、いとも簡単に持ち上げ、それに飛び上がる。コイツ、小さいくせ力が強いっ!そうは思ったものの今の僕の敵では無い。僕は
「僕なら大丈夫だ!構わず目の前の敵を倒しつつ、退散しろ!」
と大きく叫び、片手に持つ剣を噛み付く龍に向け、刃を伸ばす。それは龍を貫通して、金色を弾けさせる。
「モーメント!」
その瞬間、僕は唱え、目の前の蝿に蝶に龍にを裂き、彼らの上から襲いかかる、蜘蛛たちを空中回転斬りで同時に斬り、回転したまま、地面に着地。
「ぐっ...!?」
と、右足首に激痛が走る。足首の骨の1つや2つ砕けたか?そう思う僕へ、蝿が突っ込むが、僕はそちらを向かず剣で裂く。さらに、書斎で見た戻りの鎌をもった巨大カマキリが羽を使って跳ねながら3匹こちらへ。僕は左足を軸に回り、振り下ろされた鎌を剣で受け止める。
キィィィッッッン!バチッ!
と、金属音が火花が散る。僕は力任せに横へ剣を凪ぐ。
シュキィィィッッッン!
剣先が少し砕ける、カマキリは大きく怯む。僕はその隙をコンマ1秒も逃さず、その横へと急加速。そこで、僕は軌道をカクッと曲げ、ヤツらを一直線に見る。そのまま、剣を広げ根本で核を連続して裂斬。ヤツらその場で倒れ、急に止まれない僕は回転をしつつ、ブレーキを掛ける。その際、茂み散り、3本程木が倒れ、止まったのは森の中。僕は道へ戻り、館の後ろまで。その先には陽の森地下通路の入り口が見える。
ズドドドドド!
「やぁ!」
「おおらぁぁぁっっっ!」
「おりゃぁっ!」
「シャイニングブレード!」
ギュィィィッッッン!
弾は核を撃ち抜き、短剣は動きを止め、長剣が核を貫く。聖なる拳と蹴り核を弾かせ、光の刃は空を交い核を裂く。僕の放ったソードビームは一気にヤツらを弾いた。地面には沢山の鮮血が流れていた。僕はそれをあまり見ないようにした
そして、そんな迎撃の末、僕たちはヤツらの追撃を逃れ、陽の森地下通路の中へ。そこで、疲れはてた僕たちは息を切らしながら床に寝転ぶ。僕は念のため、目の前の通路の入り口だけ、「モールディング」使って厚い壁を作る。こうして、僕たちは退散に成功したのであった。