Episode61 連なる遭遇
巨蝗たちの討伐後、約半日。僕たちは森を抜け、広大な草原に出た。遮蔽物もほとんど見当たらず、相手にとって奇襲がしにくい代わりに、こちらもヤツらから逃げ出しにくいこととなる。
そして案の定、少し先で俺たちは凶虫の小軍に遭遇する。軍勢はタイプⅠ、タイプⅡ、タイプⅢ。それを見て、僕は飛び上がり、空中でソードビームを放ち、目前のタイプⅢを一斉に裂斬。と、ふと後ろを振り向くとそこにタイプⅢ。僕はそのままの勢いに任せて、その体を回転斬りで裂く。そこから、さらに下のタイプⅠへダイブ。そのまま、ソイツの核を貫いた。
ズドドドドド...!
ドゴォォォッッッン!
シュンッ!シュンッ!シュンッ!シュンッ!シュンッ!
轟く銃声に輝く爆裂、交う短剣。弾は四方の凶虫の核を撃ち抜き、爆裂は奴らの体を弾き飛ばし、短剣は奴らを地へ落とす。そこを、バーロンが止めにかかる。
「せりゃぁっ!おりゃぁっ!」
ギュィィィッッッン!ドゴォォォッッッン!
それらと共に、フレイアが打ち出すのは聖なる拳と蹴り。それにて、奴らが倒れる、倒れる。そうやって、僕たちは奴らの小軍を全滅させることに成功する。
それからも、ⅠとⅡとⅢの軍にⅠとⅡとⅣの軍、ⅠとⅡとⅤの軍。時には、ⅠとⅡとⅥの軍。その軍力は館に近付くにつれ強まって行き、最終的にはⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ、Ⅵの巨大な軍勢となる。僕はもう何度目になるのか大きく飛び上がり、ソードビームを放ち、魔法を放ち、魔力を解放する。下では銃が核を撃ち抜き、短剣が奴らを地に落とし、バーロンが止めを指す。
「シャインニング・ブレード!」
さらに、マリアの詠唱。杖先から光の刃が放ち出され、斬り裂いて行く。
それを横目に、僕は神宿しの力を以ってして縦横無尽に空を舞い、Ⅰを斬り裂き、Ⅱをソードビームで、Ⅲを魔法攻撃、Ⅳは仲間に任せ危なければ斬り裂く。Ⅴは地面に叩き付け、Ⅵは魔法攻撃。
「おりゃぁっ!」
その中、フレイアは拳を放ち、Ⅳを頭から潰す。本当にとんでもない威力である。僕はそう思いつつも突っ込んで来るタイプⅢを斬る。
そうして、僕たちは長期戦の末、奴らの大軍を何とか全滅させる。神宿しを以てしても、仲間の力を借りてしてもこの長期化。まだ聖剣士としての上達と神宿しとしての熟練が必要だな。僕はそう自覚をしつつ、その仲間と共に草原を抜け、館近くの林へと入る。
そこをしばらく進むと、茂みの先に館が見えた。が、そこには敵と思わしき人がおり、館の外周に内周、さらにはよく見ると館の中を回り歩いている。僕たちはそのまま茂みの下に戻り、そこで侵入作戦を立てることにした。