Episode59 伝言
ある日のシャインズ王国。その都の郊外に位置するとある館。
「じゃぁ、私は能力者探しに言ってくる。」
片刃の剣を持った万物裂斬・フランが後ろへ手を振りつつ、その門を出た。それを受けるは彼女の幼馴染みの転移・アレックスに寝返りの 洗脳・オーロラ、その恋人・ジャック。さらには、ルーカスをおぶるリドナーの弟・アレク。
彼らはフランを見送った後、館の中へと戻った。先程あったテレフォンボードを通じての伝言で、彼らは既に4つの分霊の書を破壊されたことを知る。そして、5つ目の場所に何か心当たりがなのかも聞かれたのであった。リドナーたちは今5つ目の場所を探していると言うことである。
そこで、アレックス、オーロラ、ジャック、アレクによる小規模の討論が始まった。
「こことここ、こことここにあった分霊の書は既に彼らに壊されている。」
アレックスはアレクが描いたバッファル島の簡易地図に4つの×印をつける。それがあるのは、陰の館、山麓の図書館、陽の館、湾内図書館と既に壊された分霊の書のあった場所。その後、オーロラが
「分霊の書は邪気を放ち続けていて、古い図書館とかにあるんだよね?」
と復習を試みる。
「あぁ、その通りだ。」
それを聞き、アレクがハッとした。
「どうしたの?アレク君。」
そこはすかさずジャック。すると、アレクは
「はい。僕たちの実家の館なんですがその地下には書斎がありまして、館が建てられた時に改装されてらしいんですが、古くからあった図書館の地下シェルターだったそうで。大切な書物が移動させられたんです。おそらく、その中に1つあるのではないでしょうか。」
と館の歴史を述べる。それは本当だし、筋もしっかりと通っている。結果、彼らを彼を信じることにし、テレフォンボードを起動した。
その討論が始まる少し前。森を出たバッファルの6人はそこで火を焚き、夕食を取っていた。海で釣った魚の素焼きに木の実の盛り合わせなどの質素な物をメインに事前に「ゲート」の空間へ入れていたご馳走の内1つ・冷凍チーズカレーを微弱の電撃魔法でレンジの代わりとした。
魚の素焼きや木の実の盛り合わせも十分美味しかったが、贅沢を言えば全部チーズカレーのような物にしたかった。だが、数に限りがあるし、今食べて後で食べられないよりはましだろう。僕が1つしか出さなかったのはそのためである。
そして、夕食が終われば僕はすぐにヘーミテオス師へ語り掛け、挨拶の後、次々と課題をこなしていく。その末に、僕はまた力を分けてもらった。僕はそれが終われば、「ゲート」の中から『黄昏の巨獣総集』を取り出し、先に遭遇した蝦蛄や蝶、巨人のことを調べる。タイプⅣにタイプⅤ、タイタン。やはりその正体は全て人間で、僕たちは恐らく数百人は殺したことになる。いくら全て敵とは言え、僕たちは大量虐殺者。罪悪感は否めなかった。
と、テレフォンボードが光るのを感じた。神宿しの力なのか、元から持っている力なのか、ただの勘なのか、は分からない。まあ、そんなことはどうだっていい。僕は「ゲート」を開きそれを取り出した。すると感じた通り、それは光っていた。僕は起動して、受信モードにした。すると、アレクの声が聞こえてくる。
「兄さん!実家の地下の書斎だ!あそこには古い図書館の重要書物が保管されている!」
と。そうか!僕はアレクに言われて思い出す。あの館の地下にある書斎にはそんな歴史があった。行ってみる価値は十分。僕は
「みんな!次の分霊の書の場所が分かったかもしれない!」
と声を張ると、みんなが寄ってきた。ちなみに、フレイアには既に説明済みである。
「次は恐らく僕の実家。陽の森近くのあの館だ!」
次いで、バーロンが
「それじゃぁ、明日の朝そこへ向けて出発だ!」
と代わりに出発の時を告げてくる。見ると、もうみんな食べ終わってるようで、僕たちはテントを張り、浅い眠りにつく。見張りは交代ですることにした。
目指すは北西の先。良くも悪くも思い入れのあるあの館。父が手に入れ、母とは同じ屋根の下。そして、僕ら兄弟の所縁の館ともいうべきあの我が家である。