Episode58 加勢
巨人たちを全滅させてから少し後。僕は先にあの男の元へと行き、倒れる彼に手を差し伸べた。それを見て、彼は
「すまない。」
と言って、その手を握り立ち上がった。
「俺はフレイア。」
男改めフレイアさんが名乗る。
「僕はリドナー。」
僕も名乗り返す。それに次いで、
「俺はバーロンだ。」
「私はテーラよ。」
「私はマリアって言うわ。」
「僕はニコラスだ。」
と4人も名乗る。それから、フレイアさんは僕たちと1人ずつ握手をしていった。
「フレイアさん。さっきのは?拳だけであの量の凶虫を倒してしまうなんて...。」
僕は早速気になることを聞いてみた。すると、
「ブルータル?ヤツらはそう言う名前なのか。あ、あぁ。俺はアストラルファイターなんだ。で、最後に使ったのは聖力解放っていう必殺技だ。例えるなら、魔法使いが使う『魔力解放』の強化版のようなものだ。しかし、それと違って全ての力を解放してしまう。だから、力尽きてしまったんだ。助けてくれて本当にありがとう。」
と返ってくる。僕は何となく理解できたが、完全に理解は出来なかった。ただそれでも、フレイアが強者だということは充分すぎる程分かった。
「それより、こっちが聞きたい。リドナーのあの戦い方は何だ?あの速度に跳躍。只者じゃないように見えたが。」
と、今度はフレイアさんが聞いてきた。それに僕は
「僕のジョブは変哲もない聖剣士なんです。だけど、神の子が宿っているんです。ヘーミテオスと言う名前なんですがね。僕はその神を師匠と精神干渉を交わして人間を超える力を手に入れたんです。まだ、力は断片程度なんですが。」
と答える。それに、彼は
「初めは冗談だと思ったが、そう考えれば辻褄が合うな。」
と言う。
「俺はあんな地下街の閉じ込めやがった敵どもに制裁を下してやろうと思っている。そこにお前たちがいれば百人力だ。一緒に行っても良いか?」
さらに、フレイアさんは仲間に入ろうとしてくる。だが、直感的にはそれを呑めなかった。なぜなら、僕たちに着いてくれば多くの危険が及ぶかもしれないからだ。が、良く良く考えてみれば、彼は強い意思を持ってヤツらに仕返しをしようとしてる。ここで断ったとしても、1人でヤツらの元へいくだろう。ならば、もっと危ない。
「良いですよ。」
僕は承諾し、再び握手を交わす。すると、
「仲間ともなれば他人行儀な言葉遣いはいらん。普通に友達としゃべるようにしてくれ。名前は呼び捨てで良い。」
と彼。僕は握手をしたまま、
「そうだな。これからよろしく、フレイア。」
「あぁ、よろしくな。」
僕の言葉に彼が返してきた。
こうして、僕たちとフレイアが仲間となった。バーロン、テーラ、マリア、ニコラス、フレイア。この時、僕に総勢5人の仲間が出来、さらに心強く感じられたのであった。