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Episode51 海戦(後編)

 「撃てっー!」

「撃てっー!」

「撃てっー!」

僕たちが船を奪ったことに気づいたその瞬間、四方八方からそんな大声が聞こえてきた。

ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!

すると、禍々しい障気を纏った大砲の弾が一斉に僕たちの奪った船に襲いかかり、傷をつけていく。だが、幸い、この船はタフでそう簡単に壊れそうにはない。

 舵を務める僕は、

「面舵一杯!」

と声を張り、舵を右へ回し、右方向へ。

ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!

そこへ、艦隊の砲撃の連なり。僕は、舵を右へ切りつつ、テーラとバーロンに

「地下へ行って、砲弾を撃ち返してくれ!」

と言う。すると、2人はうなずき地下へ。そして、バーロンの

「撃てっー!」

ともに幾度も砲弾が放たれた。

 それから、俺たちは艦隊の右翼の端を迂回。ヤツらの後ろに来たところで、僕は「テレパシー」で

「どんどん撃つんだ!」

と言う。どうやら、あの砲弾は大砲内で魔法によって作られているらしく、充填には少し時間がかかるが、弾は無限らしいのだ。だから、僕はどんどん撃つべきだと判断したのだ。そして、彼らからは、

「わかったぞ!」

「わかったわ。」

と承諾し、今度は合図なしに各々で艦隊に砲弾を放ち始めた。

 T字戦法。アルカディアに通っいた頃に知った海戦での戦略。世界史で習ったのだが、随分前に行った日本がロシアのバルチック艦隊に使った戦法。大砲のそれは大砲の無い船の前や後ろを取ると言うもの。特に、後ろを取られると、対処にも時間がかかる。しかも、ヤツらはこの戦法を知らない。

 そんなこんなで、僕たちはどんどん船に砲弾を当てていく。全艦が砲弾をこちらに向けたのは、それらの外傷が顕著になった後であった。

ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!ドゴーン!

幾つもの砲弾が飛び交う中、僕たちは次なる作戦へ出た。

 僕はまず帆を畳ませ、錨を下ろさせた。それから、テーラとバーロンには砲撃を続行させ、マリアに以前使った「クローン」での車量産を頼んだ。

「どうして?」

と聞かれたので、僕は編み出した作戦を伝えた。それは、無人の分身した車に爆弾のようなものを詰め込み、各艦の甲板へとお見舞いすると言う作戦である。

 すると、マリアは驚きと言うより呆れの顔で、

「リドナー。アンタっていっつもいっつも飛んでもない作戦を思い付くわね。良いわ、その作戦乗った!」

と何だかんだで了承してくれた。僕はまず、

「モールディング!」

と唱えて、ジャンプ台を作る。それから、マリアが甲板に車を出し、「クローン」を唱えた分身を作る。次に、僕は船の柵の一部を剣で砕き、そこに強い衝撃で「シャイニングインパクト」が発動されるように「カスタマー」を使って改造。それをまたマリアの「クローン」で予備を作らせた。

 「魔力よ解き放て!」

そして、その声とともに、爆弾を積んだ無人の車が空を走り、1曹の船に激突。すると、甲板の上で光の爆発。その衝撃でヤツらは四方へ吹っ飛び、海に落ちていく者も何人かいる。僕はマリアとともにこれを何度も繰り返し、何度も爆発を起こし、マリアの魔力が少なくなれば、僕の魔法で回復させたりとしながら、ヤツらに大きな侵害を与えていく。砲弾を放つ余裕も無くなったらしく、ヤツらから砲弾が放たれることは無くなった。

 僕たちはそんな大混乱の中、それに紛れて船に着けてあった小舟に乗り込み、湾内図書館へと漕ぎ出で始めた。あの作戦ならヤツらを全滅させるのも難しくはなかったのだが、僕たちは一分一秒でも早く、「分霊の書」を全て破壊したい一心である。だから、僕たちはここまで来たらヤツらを全滅させたい、と言うプライドよりも、いずれ訪れる平和を早くもたらそうとするのを優先することが出来たのであった。

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