Episode45 毒を撒く者
★今回初めて登場する怪物★
タイプⅤ
惑星・ユミルに住む巨大な蝶。凶虫の一種。常に毒性のある鱗粉を撒き散らし、羽で強風を吹かせることも出来る。正体は、プシュケと言う民族である。
次なる目的地。それは、島の南南東辺りにある戒めの入り江で、そこの中央にある湾内図書館は潮風や海水によりかなり風化していると言う。もし、本当にそこまで風化しているのなら湾内図書館はとても古いと考えられ、行ってみる価値ありと言うことである。
そのことをマリアに伝えると、
「オーケー。」
と頷き、戒めの入り江に向けて車を進ませてくれた。だが、そろそろ敵のドュンケルが自分の魂が破壊されていっていることに気付き始めているかもしれない。その予想が正しければ、ここで邪魔が入ってもおかしくない。僕はしっかりと心を引き締めた。
そして、案の定、それは起こってしまう。突如、僕たちの乗る車を5つの黒い柱が囲んだ。そこから出てきた禍々しい色の羽をばたつかせ、毒々しくも美しい鱗粉を撒き散らす巨大な蝶である。その蝶はゆっくりとこちらに近付いてきた。
善は急げ。そんな言葉を胸に僕たちは車から降り、先手を取る。
ズドドドドド...!
ニコラスが銃を撃つ。それは見事、ヤツらの羽に命中。一部の蝶が落ちて行く。もちろん、羽が意味を成さなくなったのである。
「シャイニングブレード!」
マリアが唱える。生み出された光の刃は時に羽を斬り裂き、時に体を斬り裂きどんどん蝶を倒していく。
それに続いて僕もソードビームを放つ。それはヤツらに辺り、どんどん落としていく。だが、数が多過ぎて、キリが無い。ソードビームを放っても放っても数が減る様子は無く、蝶の大群が押し寄せてくる。
「エレキスピア!」
紫電の矢が敵を撃ち抜く。それでも、数が減った様子は無い。
そして、ヤツらはついにここまで来てしまう。
「マズい!」
僕は叫ぶ。
「諦めるのはまだ早いわ!」
テーラはそう言ってナイフを投げる。それは、全て奴の羽に命中し落ちていく。すると、蝶が羽を大きく動かす。それとともに暴風とも言うべき強風が四方八方から吹き付けてくる。その風にのってあの毒々しい鱗粉も飛んでくる。それに当たったバーロンが何の活躍も見せないまま、地面に倒れ伏した。
それから、次々と鱗粉により、みんなが倒れていく。何とか僕とテーラ、マリアは鱗粉をかわし、立っていることが出来ている。
「シャイニングブレード!」
「エレキスピア!」
「やぁっ!」
マリアは光の刃、僕は紫電の矢、テーラは投げナイフ。それは大群に均等に飛んでいくが、またあの強風が吹き荒れ、全くダメージを、与えられない。ソードビームを試してみてもキリが無い。
「これは逃げ切るしかないわね。」
そう言ってマリアは、車を出す。幸い、ヤツらの移動速度は遅い。それなら、歯が立たない相手と戦い続けるよりも、逃げ切るの一番だ。僕もテーラも同じ気持ちであった。僕はバーロンを担いで運び、テーラはニコラスを担いで運ぶ。次いで、僕とテーラが乗ると、既に乗っていたマリアがアクセルを踏んだ。
「サイレント・ムーブ!ブラインド・インナー!」
途中でマリアがそう唱えた瞬間、ヤツらは右往左往し始める。その結果、やがて、僕たちはヤツらから逃げ切ることに成功した。