Episode39 双剣のエフィスト(中編)
★今回初めて登場する怪物★
シルフ
風の精霊。風を操ることが出来、かなりの力持ちでもある。見た目は小さい。契約に必要なのは良心である。
先手を取ったのはエフィストであった。彼は右手の剣を縦に一閃。僕はそれを防ぐが、左手の第2の刃が横腹を狙う。僕は体をうねらせ、剣を横に薙いで振り払った。
スタッ!
そのまま、僕は後ろへ飛び退き、エフィストも同じく後ろへ飛び退いた。と、思えば、また走って今度は2本で剣を打ち込んでくる。僕はそれを剣で防ぎ、また振り払い、彼は後ろへ飛び退いた。その時、ふと、下を見て驚いた。なんと、服に斬った痕が残っていた。おそらく、飛び退き際にどちらかの剣を横薙ぎにし、その剣筋が服の繊維を掠めたのだろう。
「驚いたな。」
僕は微笑みながらそう囁く。その笑みにはエフィストに対する軽視など全く無かった。こうなれば、本気で掛からないと失礼だし、本気で掛からないとこっちが危ない。僕は剣に語りかける。
「アレス、行くぞ。」
そう言うと、剣は答えるように青白く光った。
「エフィスト、本気で行かせてもらう!」
そう言うと、エフィストは笑みを浮かべる。
「まだ、本気じゃなかったのか!こっちは、9割方の力で挑んだってんのに、本気じゃなくてもそれを防ぐか...。面白い!」
エフィストは変わった。僕と出会って、おそらくもっと強い奴とも出会ったのだろう。それらの出会いが発端となって、強者としても、人間としても成長した。実際に以前までの敵を見下すような目付きはもう無くなっている。
俺は脚力強化の魔法を唱え、大きく飛び上がる。そして、剣を掲げた状態で、放物線を描く。そらと、同時に三日月型の剣筋が産み出され、上からエフィストに斬りかかった。
キィィィィィン!
と、金属同士がぶつかる凄まじい音がした。見ると、僕の上からの一撃を、エフィストを2本の剣を十字にして防いでいる。さらに、彼は剣を押し出すとともに、両方の剣をそれぞれ横に広げた。そのおかげで、僕は空中に投げ出される。
さらに、エフィストは十字状の剣筋を生み出した。僕は、「魔力解放」で彼を後ろへ飛ばし、同時に反動によって自分も後ろへ飛び退いた。と思えば、強化された脚力で最速全身。その勢いと剣の一閃で彼を怯ませた。
僕はそのスキを逃さない。高速で剣を縦に横に薙ぐ。それをエフィストは左は左、右は右の剣で捌く。
キン!キン!キン!キン!キィィィィィン!
金属音が連なる中、彼は後ろへ飛び退いた。かと思えば、今度はあちらが高速で突きをしてくる。
シュシュンッ!シュシュンッ!シュシュンッ!
高速で突きの連続が繰り出される。二刀流のためか隙など何処にも無い。早口で動体視力増加の魔法を唱える。そうやって、動体視力を増した僕は、それらを首を左右にひねってかわす。
さらに、僕は自らの剣を横に一閃。エフィストは突きを止め、後ろへ飛び退いた。その瞬間、僕は前へ。そのまま、縦へ横へ剣を薙ぎ、またエフィストが2本の剣で捌く。
それから、後ろへ飛ぶ。そこへエフィストは2つの剣を振り投げてくる。僕は、防御の構えでそれを防ぐ。
「我が僕よ!」
それを見てエフィストはそう唱える。すると、2体の精霊がそらぞれの剣の柄を持ち、風の生み出す。ソイツらは自らの力と風の推進力押し出して来た。
すると、その小ささとは裏腹に、かなりの力が剣に加わる。僕は防御の姿勢のまま、少し後ろへ押される。僕は何とか踏ん張りながら、脚力強化魔法を再び唱え、さらに腕力強化魔法でエルフを押し退け、「魔力解放」で剣とともに吹き飛ばした。
それから、2本の剣はエフィストの元へ、2体の精霊は後ろへ飛ばされ、少し怯んだ。それを見て僕はニヤリと笑う。
「食らえ!」
そのまま、少し上に向かってソードビーム。それは一度に精霊2体を斬り裂き、魔方陣の中へと帰してしまう。
そして、僕とエフィストは再び激突する。今度は、1本の剣筋と2本の剣筋を交えさせて。